環境

気候変動対策技術や資源循環・環境保全技術の開発

2020年10月に、我が国は2050年を目途に温室効果ガス排出ゼロをめざし、脱炭素社会に向かう取り組みを表明しました。いわゆるカーボンニュートラルへの挑戦がわが国でも開始されました。また、この取り組みに農林水産業分野から積極的に貢献していくために、2021年5月に農林水産省から「みどりの食料システム戦略」が策定されました。

カーボンニュートラルを実現するためには、農業生産の現場からのGHG削減が不可欠です。作物栽培、家畜生産、採取型森林資源利用を通じ加速化されるGHG排出は、人々の生活や社会への負担を増幅する原因となります。農林水産業に大きく依存している開発途上地域の農家の多くは小規模農家であり、洪水や干ばつによる生産量の減少は家族の日々の生活を脅かすことになります。

また、市場に出回る農産物の量が減少すれば、市場価格が高騰し、消費者の生活が厳しくなってしまいます。GHG排出による気候変動の深刻化は、人々の生活を直接的・間接的に苦しめていることがわかります。持続的開発目標(SDGs)が掲げる17の目標を実現していくために、カーボンニュートラルな社会が必要なのです。

私たち国際農研は、そのような国々の国立農業研究機関等と協力し、各国のNDC達成に向けた協力を通じ、気候変動の影響に苦しむ小規模農家が必要とする技術開発に取り組んでいます。また、日本の科学技術イノベーションの集大成である「みどりの食料システム戦略」がアジアモンスーン地域の取組モデルとなるよう、当該地域の国々との国際共同研究を進めています。

新規研究プロジェクト(令和7年度~)

農業分野における二国間クレジット制度活用プラットフォーム

関連する研究プロジェクト

研究成果情報

関連するJIRCASの動き

荒井見和主任研究員と伊ヶ崎健大主任研究員らの論文が日本土壌肥料学会の欧文誌論文賞に選定

国際農研(JIRCAS)の荒井見和主任研究員および伊ヶ崎健大主任研究員(いずれも生産環境・畜産領域)らの論文「Protective role of reactive aluminum phases to stabilize soil organic matter against long-term cultivation in the humid tropics under volcanic influence」が、第24回日本土壌肥料学会 SSPN Award(欧文誌論文賞)に選定されました。

国際農研とフィリピン機関の共同研究5年間の成果を総括-サトウキビ栽培技術の現地実証へ

2025年12月1日、フィリピン共和国ネグロス島において、国際農研(JIRCAS)はフィリピンの共同研究機関とともに、5年間の国際共同研究の成果を総括するシンポジウムを開催しました。主催は国際農研で、在フィリピン日本国大使館から遠藤和也 特命全権大使および赤坂英則 一等書記官が出席し、日比両国の協力の重要性が改めて確認されました。

プレスリリース

関連するイベント・シンポジウム

イベント
開催日
- (日本時間)
石垣島の熱研を学ぼう!~第17回 熱研オンライン講演会~
場所
オンライン
シンポジウム
開催日
(日本時間)
JIRCAS国際シンポジウム2023
強靭な熱帯林と持続的な産業の共存を実現するイノベーションに向けて
受付期間:
- (日本時間)
場所
ハイブリッド(国連大学ウ・タント国際会議場およびオンライン)
(150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-70 国際連合大学UNU3階)

現地の動き

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出張報告書

論文

2025