情報
戦略的な国際情報の収集分析提供によるセンター機能の強化
今日、グローバル・フードシステムは、気候変動や感染症といった地球規模の危機にさらされています。また、国際的に取引される農産物の需要・供給の不均衡が、グローバル・フードシステムを通じて瞬時に波及し、国・地域の経済パフォーマンスに影響を与え、社会格差の拡大をもたらす時代に突入しています。さらに今後開発途上国を中心に予測される人口増や都市化による食料消費の質・量的変化の加速は、食料供給・流通・需要の全段階に影響を及ぼし、食料栄養安全保障に不確実性をもたらすと考えられます。
政策・戦略策定者にとり、グローバルなアジェンダ・セッティングの場に参画していくためには、グローバル・フードシステムに関わる現状分析・将来動向についての最新の知見や科学に基づく戦略的議論について、体系的に整理された情報へのアクセスが不可欠です。また、研究者にとっても、地球規模課題解決のための研究課題を見極める上で、世界の科学技術ニーズに関する情報を常に更新する必要性が高まっています。
本プログラムでは、複雑化・多様化する開発途上地域の農林水産業と地球規模の食料システムに係る課題や開発ニーズに関する情報を多角的に収集・分析し、国内外に広く情報を発信し、オピニオン・リーダーとして、科学的知見に基づき地球規模課題の解決策について情報発信していくことを目指します。
そのため、以下の取り組みを行います。
- 戦略的情報収集分析提供プロジェクト【戦略情報】
- 研究成果の実用化と事業展開を実現する民間連携モデルの構築【実用化連携】
- サブサハラアフリカでの農業デジタル化推進に貢献するための研究開発可能性調査【農業デジタル化情報】
- 熱帯性作物の持続的生産に向けた遺伝資源の情報整備と利用促進技術の開発および国内外との連携強化【熱帯作物資源】
- みどりの食料システム基盤農業技術のアジアモンスーン地域応用促進事業【グリーンアジア】
ダウンロード
- テクノロジー・ショーケース― アジアモンスーン地域 ―
- テクノロジー・ショーケース― サブサハラアフリカ ―

研究成果情報
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プレスリリース
関連するイベント・シンポジウム
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ハイブリッド(ビジョンセンター日比谷会議室301号・およびオンラインWebex配信)(100-0006 東京都千代田区有楽町1-5-1 日比谷マリンビル 3階)

持続可能な食料システムにおける零細漁業と養殖業の役割
2022 持続可能な食料システムにおける零細漁業と養殖業の役割
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ハイブリッド(「一橋大学一橋講堂」および「オンライン」) 一橋大学一橋講堂では150名までを予定(101-8439 東京都千代田区一ツ橋2丁目1-2 学術総合センター 2階)

現地の動き
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705. 地球システムにおけるティッピング・エレメントの遠隔相関
2023-01-27 地球システムにおいて、人為的な活動により地球が次第に不可逆性を伴うような大規模な変化を伴う転換点(ティッピング・ポイント)を超えてしまいそうな大規模なサブシステム(ティッピング・エレメント)として、グリーンランドの氷床融解をはじめ、アマゾン森林破壊、などが挙げられています。これらは地球システムにおいて遠隔相関し、ドミノ倒し的に気候システムに予期しないような影響を及ぼす可能性があると指摘されています。最近Nature Climate Change誌で公表された論文は、アマゾン熱帯雨林が転換点に達すると、そこから一見遠く離れたチベット高原に波及するメカニズムを指摘しました。 -
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703. 氷河・積雪の融解
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