情報

戦略的な国際情報の収集分析提供によるセンター機能の強化

今日、グローバル・フードシステムは、気候変動や感染症といった地球規模の危機にさらされています。また、国際的に取引される農産物の需要・供給の不均衡が、グローバル・フードシステムを通じて瞬時に波及し、国・地域の経済パフォーマンスに影響を与え、社会格差の拡大をもたらす時代に突入しています。さらに今後開発途上国を中心に予測される人口増や都市化による食料消費の質・量的変化の加速は、食料供給・流通・需要の全段階に影響を及ぼし、食料栄養安全保障に不確実性をもたらすと考えられます。

政策・戦略策定者にとり、グローバルなアジェンダ・セッティングの場に参画していくためには、グローバル・フードシステムに関わる現状分析・将来動向についての最新の知見や科学に基づく戦略的議論について、体系的に整理された情報へのアクセスが不可欠です。また、研究者にとっても、地球規模課題解決のための研究課題を見極める上で、世界の科学技術ニーズに関する情報を常に更新する必要性が高まっています。

本プログラムでは、複雑化・多様化する開発途上地域の農林水産業と地球規模の食料システムに係る課題や開発ニーズに関する情報を多角的に収集・分析し、国内外に広く情報を発信し、オピニオン・リーダーとして、科学的知見に基づき地球規模課題の解決策について情報発信していくことを目指します。

そのため、以下の取り組みを行います。

 

関連する研究プロジェクト

研究成果情報

関連するJIRCASの動き

村岡研究員らの論文が第11回アジア農業経済学会国際会議において大会賞を受賞

令和5年3月18~20日に開催された第11回アジア農業経済学会国際会議(青山学院大学)において、村岡里恵研究員(社会科学領域)らの研究成果「Sustainable Intensification of Maize Farming in Kenya: Evidence from a Longitudinal Smallholder Survey」が大会賞(第三位)を受賞しました。

駐日シンガポール共和国大使館商務部ご一行が植物工場を視察

駐日シンガポール共和国大使館商務部ファビアン・タン参事官ら3名が植物工場の視察のため熱帯・島嶼研究拠点を訪問されました。

プレスリリース

関連するイベント・シンポジウム

イベント
開催日
(日本時間)
セミナー「栄養改善と生活向上に資するローカル・ランドスケープ由来の食利用を促進するための科学と伝統知の適用」
受付期間:
- (日本時間)
場所
ハイブリッド(ビジョンセンター日比谷会議室301号・およびオンラインWebex配信)
(100-0006 東京都千代田区有楽町1-5-1 日比谷マリンビル 3階)
シンポジウム
開催日
(日本時間)
JIRCAS国際シンポジウム2022
持続可能な食料システムにおける零細漁業と養殖業の役割

2022 持続可能な食料システムにおける零細漁業と養殖業の役割

受付期間:
- (日本時間)
場所
ハイブリッド(「一橋大学一橋講堂」および「オンライン」) 一橋大学一橋講堂では150名までを予定
(101-8439 東京都千代田区一ツ橋2丁目1-2 学術総合センター 2階)

現地の動き

  • Pick Up

    790. 温暖化の人的コスト

    温暖化が人類にもたらすコストは貨幣価値で推計されることが多いのですが、気候正義の推進には、健康被害や人的犠牲が脆弱な社会層に偏る傾向があるという不平等・格差に目を向ける必要があります。Nature Sustainability誌で公表された論文は、人的コストを推計する方法として、人類が居住可能な気候ニッチ(‘human climate niche’)に着目、気候変動によって既に9%の人々が気候ニッチ外に押しやられており、2.7℃の温暖化シナリオのもとでは21世紀末までに3分の1の人々が影響を受ける可能性を示しました。
  • Pick Up

    789. エネルギー摂取と季節

    食料安全保障の1つの要素は「安定性」ですが、特に発展途上地域の小規模農家にとって、季節性は食の安定性に影響を及ぼす大きな要因です。収穫直後は食べることができたとしても、収穫前の時期には手に入らなくなってしまうことがあります。
  • Pick Up

    788. マダガスカルの鉄過剰ストレス圃場において耐性イネ系統が発揮するメカニズムを解明

    鉄過剰ストレスはアジアやアフリカの多くの水田地域で発生し、イネの収量を大幅に減少させることから、それに対する耐性の向上が求められています。しかし、これまで耐性の鍵となる遺伝子や生理的要因は明らかとなっておらず、重要要因の探索が必要とされています。国際農研はマダガスカルの鉄過剰ストレス圃場における、遺伝的に多様なイネ系統を用いた2年間の試験から、鉄過剰ストレス耐性を持つ系統が、生育ステージによって異なるメカニズムを発揮することを明らかにしました。そして、鉄過剰ストレス耐性が、これまで認識されていたものより複雑なメカニズムにより支えられていることを示しました。この研究は、鉄過剰ストレス耐性の評価の際には、圃場における全ステージを通した評価が必要であることを示すとともに、特定の生理機能に優れた親系統を利用した育種により鉄過剰ストレス耐性の向上が可能であることを示唆します。
  • Pick Up

    787. ゲノム編集でリン欠乏条件での収量性が向上したイネを作出

    分げつはイネの生産性において重要な形質です。国際農研では、ゲノム編集によって分げつに関わるイネの遺伝子OsTB1を改変することで分げつ数が増加し、リン欠乏条件でのイネの収量性を向上させられる可能性を示しました。サブサハラアフリカなど、肥料や土壌からのリン供給が乏しい地域でのイネの生産性向上にこの知見が役立つと期待できます。
  • Pick Up

    786. 高α-トコフェロール含量ダイズ開発によるダイズ機能性の向上

    トコフェロールはビタミンEとして知られる脂溶性の抗酸化物質であり、がんや動脈硬化などの生活習慣病や循環器系疾患を予防する生理的な機能を持っています。トコフェロールのうちビタミンE活性が最も高いのはα-トコフェロールです。しかし、ダイズのα-トコフェロール含有率は低く、ダイズの機能性の活用を制限していました。国際農研では、ダイズのトコフェロール生合成経路を制御するDNA領域と候補遺伝子を明らかにすることができました。トコフェロール生合成経路を変化させることで、α-トコフェロール含量を高めたダイズを開発できる可能性があります。

出張報告書