国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター | JIRCAS

研究成果情報

国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。

各年度の国際農林水産業研究成果情報

  • ⽔稲の葉⾊に基づく施肥設計はメタン発酵消化液の肥料利⽤でも有効である (2019)

    ベトナムのメコンデルタにおける水稲栽培において、バイオガスダイジェスターのメタン発酵消化液を肥料利用する際に、安価な葉色板で測定・数値化できる葉色の変化から施用時期を決定することで、慣行レベルの子実収量を達成できる。

  • 酸素ナノバブル⽔による湛⽔⽔⽥⼟壌の⾼酸素化とメタン⽣成抑制 (2019)

    ナノバブルとは直径1 µm以下の微小気泡で、水中に長期間存在できる。純酸素を材料ガスとするナノバブルを高密度に含む水を作成し、湛水状態の土壌カラムに上部から通水すると、土壌表面付近の浅層中の酸素濃度が上昇するとともに、メタン生成が抑えられる。

  • エチオピア⾼原の⼩流域流末のため池堆砂を利⽤した農地造成 (2019)

    エチオピア高原の小流域の流末に位置するため池では、堆砂による取水機能の低下が進行している。ため池堆砂を除去・運搬し、農地造成用土として用いる。ため池の堆砂量と利用可能水量を推定し、農地造成計画を樹立できる。

  • ⼟壌改良資材のナノ加⼯による施⽤効果の向上 (2019)

    石灰をナノ加工することで、土壌下方への移動が容易になる。リン鉱石をナノ加工し、酸性土壌にヘクタールあたり1,000 kg施用することによって、土壌酸度が矯正されるとともに、植物体にリンが吸収され、植物の生育が良くなる。

  • ソルガムの⽣物的硝化抑制にはアンモニア酸化古細菌の抑制が関連する (2019)

    ソルガムが根から分泌する難水溶性の硝化抑制物質であるソルゴレオンは、生育とともに下層土に向かって新生される根から分泌され、分泌量には系統間差がある。ソルゴレオンの分泌量が多い系統の根圏土壌では、硝化活性とアンモニア酸化古細菌数がともに低下することから、ソルガムの生物的硝化抑制にはアンモニア酸化古細菌数の抑制が関連している。

  • アフリカ産低品位リン鉱⽯は炭酸カリウム添加焼成により肥料化できる (2019)

    アフリカ産低品位リン鉱石の肥料化においてアルカリを加えた焼成処理が有効であるが、炭酸ナトリウムに代えて炭酸カリウムを添加することで土壌中のナトリウム集積を回避でき、肥料化が可能である。炭酸カリウム添加焼成物の施用効果は、市販の肥料である重過リン酸石灰と同等である。

  • イネ⽣育に対する⼟壌のリン供給能は室内分光スペクトルから迅速に推定できる (2019)

    土壌サンプルの室内分光計測で得られた分光反射スペクトルを用いて、土壌からイネへのリン供給能の指標となる酸性シュウ酸塩抽出リン含量を迅速に推定できる。空間変動の大きいマダガスカルの水田や畑のリン供給能の迅速評価に利用できる。

  • 熱画像を利⽤した葉⾯気孔伝導度の新規指標 (2019)

    植物体の熱画像から得られる葉面温度を用いて気孔伝導度を推定する指標を開発した。数理モデルにもとづくこの新規指標は従来の指標よりも測定環境の影響を受けにくい。このため、変動環境下での作物の乾燥ストレス耐性や光合成活性の評価に幅広く活用できる。

  • SSRマーカーを利⽤したホワイトギニアヤム品種識別技術パッケージ (2019)

    西アフリカの育種プログラムや種苗会社が利用するホワイトギニアヤムの品種および遺伝資源・育種系統について、品種・系統間の識別を簡易かつ迅速に行うことができる技術をパッケージ化するとともに、技術の利用支援のためのツールキットを提供する。

  • ⼀穂籾数を増加させるSPIKE は低収量環境でイネの籾収量を向上させる (2019)

    イネの一穂籾数を増加させる量的遺伝子座SPIKEは、インド型品種IR64背景では収量水準が5 t ha-1を超えると穂数を減少させ増収効果が低下するが、収量水準が5 t ha-1以下では穂数を減少させず増収に寄与するため、途上国の多くの低肥沃度環境や少量施肥栽培でその効果を発揮する。

  • サトウキビとススキ属植物との属間雑種は低温条件下での光合成特性が優れる (2019)

    サトウキビとススキ属植物との属間交雑により作出した属間雑種F1には、サトウキビより低温条件下での光合成速度や寒冷地でのバイオマス生産性が優れる系統があり、サトウキビの低温環境への適応性改良に向けた新しい育種素材として利用できる。

  • 種間交雑を利⽤して作出した株出し多収なサトウキビ新品種「はるのおうぎ」 (2019)

    サトウキビ品種とサトウキビ野生種との種間雑種F1を交配に利用してサトウキビ新品種「はるのおうぎ」を育成した。本品種は、既存の普及品種と同程度の糖含有率であり、茎数が多く、萌芽性に極めて優れるため、春植え、株出しの両作型で原料茎重と可製糖量が普及品種より多い。

  • ベトナム北部におけるイネウンカ類に対する殺⾍剤の使⽤状況と散布法の評価 (2019)

    ベトナム北部の稲作農家は様々な種類の殺虫成分を使用している。また成分使用回数が農家水田内のウンカ密度低下に寄与する程度は低い。殺虫剤散布時の薬液の付着程度がウンカの生息部位で低いことが、低効果の一つの要因と考えられる。

  • タイ発酵型⽶麺の液状化は、麺をpH 4程度の酸性に保つことで抑制できる (2019)

    タイ発酵型米麺の液状化は細菌による澱粉分解に起因し、麺のpHが6以上になると誘発されるが、pH 4程度に保つことで抑制される。液状化の抑制には、製麺後の発酵型米麺および原料である発酵米粉がpH 4程度の酸性であることの確認や、製麺工程で麺の洗浄に用いる水を酢酸等の食用可能な有機酸によりpH 4程度に調整することが推奨される。

  • ダッタンソバは加圧を要しない膨化処理により苦味の⽣成を抑えられる (2019)

    子実に多量のルチンを含むダッタンソバは食品材料としての幅広い活用が期待される。加圧を要しない高温加熱のみの簡易膨化処理により、殻のままポン菓子状の製品化が可能となり栄養価の高いソバ加工品ができる。高温処理によりルチン分解酵素活性を抑制し苦味を呈するケルセチン生成を抑制することで製品にルチンを豊富に残存させることができる。

  • オイルパーム古⽊中の遊離糖及びデンプン量を決定する要因を同定 (2019)

    オイルパーム古木中の遊離糖及びデンプン蓄積量の季節変動は積算温度に最も強く調節されている。気温と降水量を観測することでバイオマス資源として利用するオイルパーム古木の伐採適期が把握できる。

  • Bacillus aryabhattaiは農作物残渣内の澱粉からバイオプラスチックを⽣産する (2019)

    日本の土壌から新たに単離した細菌Bacillus aryabhattaiはアミラーゼ遺伝子(amyA)を保有し、菌体外に分泌した澱粉分解酵素(アミラーゼ)による澱粉分解によってグルコース生産してポリヒドロキシ酪酸(PHB)を体内に蓄積する。

  • アメリカミズアブ幼⾍はキノボリウオの飼料タンパク質源として有効である (2019)

    果実残渣等を用いて簡易に生産できるアメリカミズアブ幼虫をタンパク源として調製した餌は、ラオスの主要な養殖対象魚であるキノボリウオにおけるタンパク質同化効率が従来の魚粉飼料よりも優れ、タンパク質含量が少ない飼料でも高成長が期待できる。

  • ラオスの重要な⾷⽤⿂パケオの資源保全に資する⽣態的情報 (2019)

    ラオスの重要な漁業資源であるパケオ Clupeichthys aesarnensis はニシン科の小魚で、乾物や発酵食品の主要な原料であるが、主な漁場では乱獲による漁獲量の減少が強く懸念されている。本種は周年産卵することから、適切な資源管理を行うには禁漁期ではなく禁漁区の設定が有効である。

  • 家禽加⼯残渣の活⽤によるミルクフィッシュ⽤⿂粉削減飼料の開発 (2019)

    ミルクフィッシュ養殖用飼料原料として家禽加工残渣を12%配合することにより、ミルクフィッシュ養殖用飼料中の魚粉を75%、魚油を15%削減できる。本飼料を用いることで、近年高騰する魚粉及び魚油の使用量が削減され、養殖魚の成長率や化学成分含量、味わいに影響を及ぼすことなく、飼料コスト軽減による水産養殖業者の経営改善が期待できる。