研究成果情報

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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら

  • 2022 フタバガキ科樹種Shorea leprosulaの成長特性の地域個体群間差

    異なる産地の個体を共通の環境で栽培して特性を評価するコモンガーデン試験により、東南アジア地域の有力な林業樹種の一つであるShorea leprosulaの伸長成長とカイガラムシ耐性の地域個体群間差が検出できる。得られる知見は、S. leprosulaの植栽木としての優良個体を探索する際の手がかりとなる。

  • 2022 葉脈の構造は熱帯林樹木の葉の丈夫さと光合成能力に関係している

    熱帯林樹木の葉脈構造は、葉を光に透かせば判別でき、その構造は葉の丈夫さと光合成能力に関係している。葉を光に透かした際に、葉脈網が明瞭な樹木は葉が丈夫で明るい環境で光合成が高く、不明瞭な樹木は暗い環境での光合成に有利であったことから、葉脈構造は、樹木の機能的特性の簡便な指標としての利用が期待される。

  • 2022 サトウキビとエリアンサスの属間雑種はサトウキビより窒素利用効率が優れる

    サトウキビと根が深く発達する近縁属植物エリアンサスとの属間交配を利用して作出した属間雑種F1は、サトウキビより全乾物重や土壌深層の根量が多い。また、サトウキビより全窒素吸収量や窒素利用効率が高く、窒素溶脱量が少ない。この属間雑種を品種開発に利用することで、環境負荷を低減するサトウキビ品種の作出が期待できる。

  • 2022 河川水中の栄養塩類濃度は土地利用などの流域特性から機械学習で予測できる

    機械学習手法を用いて、熱帯島嶼の河川水に含まれる栄養塩類(窒素、リン、ケイ素)の濃度は、土地利用などの流域特性を説明変数として高い精度で予測できる。また、同手法により算出される各流域特性の重要度から、栄養塩類に対して特に寄与の大きい流域特性を同定できる。本成果は、陸域から流入する栄養塩類の量を適正に管理し、健全な沿岸生態系を保全するための施策立案に活用できる。

  • 2022 カットソイラーによる浅層暗渠は土壌塩分を軽減する

    日本で開発されたトラクターアタッチメント「カットソイラー」による浅層暗渠は、排水不良に伴う土壌塩類化の軽減に貢献する。インド北部のヒンドゥスターン平野において、同手法は土壌塩分を施工から4ヵ月後に8%、1年4ヵ月後に32%減少させる。

  • 2022 異なる窒素条件下でイネの根を伸長させる新奇遺伝子座

    インド型イネ品種IR64の遺伝的背景をもつ染色体挿入系統YTH187はイネの根を伸長させる新奇遺伝子座を有する。qRL4.1-YP5は低濃度硝酸、qRL8.1-YP5は高濃度窒素特異的に根を伸長させる。qRL5.3-YP5qRL6.5-YP5は低濃度と高濃度の両窒素条件で根を伸長させる。

  • 2022 籾の大型化によってイネの窒素利用効率は向上する

    籾の大型化に関わるGS3遺伝子をノトヒカリに導入して大型化した系統では、窒素利用効率が有意に増加する。GS3遺伝子を用いることで、イネの窒素利用効率が向上し、窒素肥料の使用量を減らすことができると期待される。

  • 2022 多収・高品質で病害にも強い耐塩性ダイズ新品種「蘇豆27」

    耐塩性遺伝子Nclを導入したダイズ新品種「蘇豆27(sudou27)」は、耐塩性が高く、多収性、高品質、病害抵抗性を備えた優良品種である。塩害地域におけるダイズ生産の安定化が期待される。

  • 2022 硝酸イオンの吸収がイネにおけるリンの利用を促進する

    低リン水耕条件のイネでは、アンモニウムイオンのみを窒素源とするより硝酸イオンも同時に窒素源として用いた方がリン利用効率が高い。また、リン利用効率が高いイネ系統は硝酸イオンをより多く吸収する傾向が見られる。イネにおける硝酸イオンの利用能力の増強や硝酸イオンを多く含む施肥により、圃場におけるリン利用効率を向上させる可能性がある。

  • 2022 ヤムイモの収量は個体の性別と開花日に強く影響を受ける

    ヤムイモは雄株と雌株に分かれるが、開花日がイモ肥大期よりも早い場合には遅い場合と比べてイモ収量が高くなり、さらにその増加程度は雄株よりも雌株で大きい。雌株や開花日が早い系統を交配親に用いるとともに、そのような系統を選抜することで、収量改善に向けた品種育成を効率的に進めることができる。

  • 2022 ミャンマー南部ミエック近海における食用熱帯カキの産卵期

    ミャンマー南部に位置するミエックの近海では、食用熱帯カキは周年成熟しているが、10~11月と4~5月に主な産卵期がある。食用熱帯カキの天然採苗をこれらの時期に行うことで、採苗の効率化が期待できる。

  • 2022 アジアの伝統野菜ヒユナの多様性の解明と育種基盤の構築

    アジアで伝統的な葉物野菜として利用されるヒユナの遺伝的多様性を解析し、品種育成に有用な5,638個の一塩基多型マーカーとコアコレクションを作出した。これらの成果を利用することにより、栄養価・食味・収量などが改善された新しいヒユナ品種の開発が期待される。

  • 2022 ゲノム予測モデルを用いた亜鉛強化米育種のための有望系統の同定

    マダガスカルの農家圃場での観測値と一塩基多型情報をもとに構築されたゲノム予測モデルにより、国際稲研究所のジーンバンクに保存された3,024系統の玄米の亜鉛含量は系統間で17.1~40.2 mg kg-1の変異を持つと推定される。同モデルで3,024系統から選抜されたアウス種IRIS313-9368はマダガスカルの多様な生産圃場で安定して高い亜鉛含量を示すことから、亜鉛強化米育種への利用が期待できる。

  • 2022 マダガスカルにおける水稲収量の増加は農家の栄養改善に有効である

    マダガスカルの農村地域において、水稲収量が増えると、農家はコメの自家消費量だけではなくコメを販売した現金収入による栄養価の高い食品(野菜、果物、肉・魚)の購入量も増加させる。これらの消費および市場での購買行動の多様化により、主要穀物の生産性向上が、エネルギー摂取量だけでなくビタミンA、亜鉛、鉄分などの微量栄養素の摂取量の増加、すなわち栄養の量と質の両面において栄養改善に貢献することが示唆される。

  • 2022 貯水灌漑技術と確率計画モデルを用いた小規模農家の所得変動リスク管理手法

    アフリカの小規模農家の多くは、不安定な天水作物生産に生計を依存しており、所得が変動しやすいが、ため池等を活用した灌漑の導入によって、生産性、収益性の安定化が期待できる。ガーナ北部を対象として構築した、ため池の利用条件、農家の経営条件、各種作物の収量、価格、費用の変動などを反映した確率的営農計画モデルを用いることで、農家が所得変動リスクに対処するための最適な貯水灌漑・作付を計画できる。

  • 2022 根圏土壌を加えたリン鉱石添加堆肥は化学肥料と同等にソルガム収量を増加させる

    サブサハラアフリカの農業生産性を制限している土壌の低いリン肥沃度の改善に向けた新規有機肥料として、ソルガム残渣にリン鉱石と根圏土壌を加えて堆肥化するとリン鉱石土壌添加堆肥が得られる。このリン鉱石土壌添加堆肥は、ソルガム栽培土壌の生物性を高め、既存の化学肥料と同等の増収効果をもたらす。

  • 2022 ため池への流入量を精緻に算出できるカーブナンバー推定モデル

    ため池からの越流水をかんがいに利用するには、降雨によりため池に流入する水量(流出量)を推計する必要がある。流域性状等から選択されるカーブナンバー(CN)の値に基づいて流出量を推計するカーブナンバー法において、回帰分析を用いてCN値を推定するモデルを適用することにより、流出量の精緻な算出が可能になる。

  • 2022 高いさび病抵抗性を有するダイズ新品種「Doncella INTA-JIRCAS」を開発

    アルゼンチン国立農牧技術院(INTA)と国際農研が共同開発し、アルゼンチンで登録したダイズ新品種「Doncella INTA-JIRCAS」は、ダイズさび病に対する3つの抵抗性遺伝子の導入により、高いさび病抵抗性を有する。

  • 2021 主要普及成果 少ない窒素肥料で高い生産性を示す生物的硝化抑制(BNI)強化コムギの開発

    高いBNI能を持つ野生コムギ近縁種であるオオハマニンニクとの属間交配により、多収品種にBNI能を付与したBNI強化コムギを開発できる。BNI強化コムギは、土壌中のアンモニア態窒素の硝化を遅らせ、その土壌中濃度を向上させ、低窒素環境でも生産性が向上する。BNI強化コムギの活用により、窒素肥料の損失に伴うN2O排出による地球温暖化の緩和と水質汚濁物質の削減が期待できる。
  • 2021 主要普及成果 簡易茎頂接ぎ木法によるパッションフルーツのウイルスフリー化技術

    簡易茎頂接ぎ木法により、トケイソウ潜在ウイルス(PLV)に感染したパッションフルーツ株からPLVフリー株を得ることができる。無菌操作や特殊な施設は不要なうえ、処理約2カ月後にはウイルス検定が可能で、現場への導入が容易である。