研究成果情報

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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら

  • 2023 窒素フットプリントを活用した窒素負荷・化学肥料の削減効果と資源循環の見える化

    環境中に排出される反応性窒素を定量化する指標である食の窒素フットプリントを活用し、窒素負荷の実態とその改善策を見える化する。亜熱帯に位置し農畜産業が盛んな沖縄県石垣島の場合、島内で産出される牛糞堆肥の70%を農地に還元することで、化学肥料使用量と島内の窒素負荷をそれぞれ30%および18%削減することができる。
  • 2023 脂質含量を減らさずにタンパク質含量を高める野生ダイズ由来対立遺伝子

    野生ダイズ染色体断片置換系統群を利用して検出した、第19番染色体に座乗するタンパク質と脂質含量に関連する量的形質遺伝子座qPro19の野生ダイズ対立遺伝子は、種子の脂質含量を減らさず、タンパク質含量を高める。本研究で同定した野生ダイズの対立遺伝子を用いて、タンパク質と脂質両方が向上した品種の開発が期待される。
  • 2023 畝を用いた圃場における作物干ばつストレス実験系の開発

    高さ30 cmの畝を用いることにより、圃場において安定して干ばつストレスを誘導することができる。畝を利用した干ばつストレス実験系は、圃場での干ばつ研究や耐性品種の選抜を、圃場での干ばつ研究や耐性品種の選抜を、安定的に安価かつ簡便に実施することを可能にする。
  • 2023 植物の新たな干ばつストレス応答メカニズムの解明

    葉の萎れが見られない程度の極めて初期の干ばつ時に、植物体内のリン酸含量が低下し、リン酸欠乏応答遺伝子の発現が誘導される。リン酸欠乏応答は、これまでにわかっていたアブシシン酸の応答が起こる前の乾燥ストレス初期に生じることから、干ばつ初期の植物の応答を捉える新たな指標として、植物の水分センサー開発などに応用できる。
  • 2023 植物の硝酸イオン吸収を数理モデルにより予測

    植物の主要な窒素源である硝酸イオンの利用に関わるNRT2遺伝子の制御システムの数理モデル化により、異なる条件における植物の硝酸イオン吸収を予測できる。数理モデルを用いたシミュレーションにより、転写抑制因子であるNIGT1が窒素栄養環境の変化に対するNRT2遺伝子の発現の安定化に寄与することが理論的かつ実験的に示される。この結果は、特定の植物形質のデザインとスマート育種における数理モデルの有用性を示唆する。
  • 2023 適切なリンの肥培管理により黒米の生産性と品質を両立できる

    リンの供給力が低い熱帯地域の土壌では、リン施肥によって黒米の収量が向上するが、過剰なリン施肥は抗酸化力を持つフラボノイド類量を減少させ、玄米表面色の黒色を薄くする。適切なリンの肥培管理により、付加価値の高い黒米の安定生産が可能になる。
  • 2023 ツマジロクサヨトウの殺虫剤感受性を国際間で比較するための簡易検定法

    検定に供試する個体の採集法、入手が容易な材料で作成する人工飼料による供試虫の累代飼育法、人工飼料を用いる殺虫剤塗布法から構成される簡易検定法を用いることで、越境性害虫であるツマジロクサヨトウの殺虫剤感受性を容易に国際間で比較できる。
  • 2023 穂数を増加させる量的遺伝子座MP3は高CO2環境でイネを増収させる

    温帯ジャポニカ品種コシヒカリ由来の量的遺伝子座MP3は、インディカ品種の分げつ数・穂数を20~30%増加させ、高CO2環境で6%増収させる。MP3のインディカ品種への利用により、大気中CO2濃度の上昇が続く気候変動下での国内外の持続的な稲作への貢献が期待される。
  • 2023 ゲノム編集でOsTB1遺伝子の機能を弱めたイネはリン欠乏条件での収量性が高い

    イネの分げつ伸張抑制遺伝子TEOSINTE BRANCHED1 (OsTB1) の機能をゲノム編集により弱めることで、背景品種X265に比べて、分げつ数が2割増加した変異体が作出される。同変異体は、リン欠乏条件での籾収量が背景品種に比べて4割多い。OsTB1遺伝子の機能を調整することで、分げつが抑制されるリン欠乏環境でのイネの生産性向上が期待される。
  • 2023 水稲へのリン浸漬処理P-dippingは冠水害の回避にも有効

    リン欠乏水田で高い施肥効果を発揮するリン浸漬処理P-dippingは、水稲の生育日数を短縮して低温ストレスリスクを軽減するだけではなく、初期生育を改善するため、突発的な水位上昇にともなう冠水害の回避にも有効である。さらに、P-dippingと組み合わせることで、窒素施肥の効果が大きくなることから、P-dippingは様々な圃場環境や窒素施肥に効果的な技術である。
  • 2023 水稲へのリン浸漬処理P-dippingは4.5~6.5葉程度の苗を用いると増収効果が高い

    水稲の移植時に、リン肥料を混ぜた泥を苗の根に付着させるリン浸漬処理P-dippingでは、葉齢が4.5~6.5葉程度の苗を用いることで、最も高い増収効果が得られる。葉齢が4.5程度より小さい場合には苗の根に付着するリン量が少なく、6.5程度より大きい場合には肥料焼けにともなう苗の植え傷みが生じることで、P-dippingによる増収効果が低くなる。
  • 2023 有効土層の薄い土壌型プリンソソルにおけるソルガムの特異な施肥応答

    西アフリカには作物が根を張れる土層(有効土層)の厚さが50 cm以下で、水分保持能が低いプリンソソルと呼ばれる特殊な土壌が広く分布する。このプリンソソルでは、他の土壌型とは異なり、土壌水分の不足が主穀であるソルガムの収量を制限しており、さらに、最適な施肥量も有効土層が25 cmのプリンソソルでは他の土壌型と異なる。現在西アフリカで再整備が進んでいるソルガムの栽培指針において、プリンソソルとそれ以外の土壌型を区別する必要がある。
  • 2023 土壌型プリンソソルにおけるササゲ栽培では施肥と密植による増収効果が高い

    西アフリカのスーダンサバンナでは2つの土壌型(リキシソルとプリンソソル)の圃場が農家内で混在することが多い。プリンソソルは低肥沃であるが、施肥や密植によるササゲの増収効果がリキシソルよりも高く、両者を組み合わせるとより効果が高い。施肥を元肥と追肥に分けた場合、同量を元肥のみで施用する場合よりも収量が増加する。農家内で土壌が混在する場合、プリンソソルへ施肥や密植を優先することで総収穫量の増加が見込める。
  • 2023 スーダンサバンナの栽培データを用いて気候変動がササゲ栽培に及ぼす影響を推定

    西アフリカのスーダンサバンナにおける詳細な栽培データを基にしたササゲの収量予測では、気候変動により今後30年間で降雨量が増すため、保水性の高い土壌(リキシソル)では多雨年にササゲの過湿害が深刻化する。一方、保水性の低い土壌(プリンソソル)では、引き続き干ばつが主な収量低下リスクとなる。半乾燥地であっても土壌型に応じて、干ばつだけでなく過湿害への対策が必要である。
  • 2023 ダイズさび病抵抗性品種KinoshitaとShiranuiは2つ目の抵抗性遺伝子を有する

    ダイズさび病抵抗性の提供親として広く利用されてきた品種KinoshitaとShiranuiは、抵抗性遺伝子Rpp5を有することで知られているが、Rpp5の他にRpp3遺伝子を保持する。Rpp3Rpp5は様々なさび病菌に対する反応が異なるため、多くの地域のさび病菌に有効性が高い両品種の抵抗性を新品種に導入するには、2つのさび病抵抗性遺伝子を両方導入することが有効である。
  • 2023 統合環境制御と補光の併用は亜熱帯地域のイチゴ生産を増収させる

    高温多湿な亜熱帯地域においても統合環境制御システムを用いることにより、イチゴの収穫量は国内平均と同程度に増加する。また日射量が少ない冬季や雨季においては、環境制御に加えて日中にLED補光することで収穫量は増加し果実糖度も向上する。
  • 2023 サトウキビとエリアンサスの属間交配によりサトウキビ根系特性の改良が可能である

    エリアンサスは、乾燥ストレス耐性と関連する深根性やリグニンの根への沈着が多い特性を具えるサトウキビの近縁属遺伝資源である。サトウキビとエリアンサスの属間雑種F1は、サトウキビより土壌深層の根長密度が大きく、根のリグニン含量が多いことから、エリアンサスをサトウキビの育種に利用することで、サトウキビの乾燥ストレス耐性に関連する根系特性の改良が可能である。

  • 2023 パッションフルーツの高温域での光合成能は非ストレス条件下の蒸散能で決まる

    パッションフルーツにおいて、非ストレス条件(葉温が30°C)下で蒸散速度が高い品種・系統は、葉温が40°C以上になる極めて高温の条件下でも高い純光合成速度を維持する。また、気孔のサイズが大きい品種・系統ほど高い蒸散速度と大きな気孔コンダクタンスを示す。非ストレス条件下での蒸散能や気孔のサイズを選抜指標として利用することで、高温でも高い光合成能を示す系統を効率良く選抜できることが期待される。
  • 2023 パッションフルーツの高温域での光合成能は非ストレス条件下の蒸散能で決まる

    パッションフルーツにおいて、非ストレス条件(葉温が30°C)下で蒸散速度が高い品種・系統は、葉温が40°C以上になる極めて高温の条件下でも高い純光合成速度を維持する。また、気孔のサイズが大きい品種・系統ほど高い蒸散速度と大きな気孔コンダクタンスを示す。非ストレス条件下での蒸散能や気孔のサイズを選抜指標として利用することで、高温でも高い光合成能を示す系統を効率良く選抜できることが期待される。
  • 2022 主要普及成果 セルラーゼ酵素を使用せずに「微生物の培養だけ」でセルロースを糖化する技術

    新たに同定した好熱嫌気性細菌Thermobrachium celere A9菌は、セルロースが糖化されたセロビオースをグルコースに加水分解するβ-グルコシダーゼを菌体外に生産する。セルロース高分解菌 Clostridium thermocellumと共培養することで、セルラーゼ酵素を使用することなくセルロースバイオマスをグルコースに変換できるため、効率的で安価なセルロース糖化技術となる。