研究成果情報

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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら

  • キヌア自殖系統コレクションの多様性(2020)

    136のキヌア自殖系統コレクションを作出し、それらの遺伝子型と表現型の連関解析から多様性を明らかにすることにより、自殖系統を基盤とした分子レベルでの育種の効率化、およびキヌアの高い環境適応性や優れた栄養特性の解明に活用できる。

  • アフリカにおけるサバクトビバッタの体温調節行動に基づく行動予測モデル(2020)

    アフリカで大発生するサバクトビバッタの群生相の幼虫は、日中、サハラ砂漠において集団移動する。幼虫は周囲の温度に応じた行動をとり、体温調節している。この体温と行動との関係を組み込んで開発したバッタ専用のモデルを用いると、気象情報から体温を推定し、行動が予測可能になる。

  • 主要普及成果 サトウキビ白葉病対策としての健全種茎増殖・配布マニュアル(2020)

    サトウキビ白葉病対策として健全種茎を増殖するための圃場管理技術と生産物の配布法に関する説明、LAMP法による病原体の検出手順、生長点培養法による無病苗生産手順から構成される、健全種茎生産を行う者向けのマニュアルである。

  • 主要普及成果 イネいもち病防除のための国際判別システム(2020)

    アジアおよびアフリカで得られたイネいもち病菌菌系の病原性およびイネ遺伝資源の抵抗性に関する遺伝的変異の情報をもとに開発した国際判別システムは、いもち病抵抗性品種の開発や防除に活用できる。

  • 非湛水管理による水稲栽培が群落内気温の日変化と収量に及ぼす影響(2020)

    熱帯の灌漑水田において、非湛水管理による水稲栽培が開花時刻(午前)の群落内気温と高温不稔に及ぼす影響は小さい。しかし、乾季の出穂期間中に非湛水管理を行うと、午後から夜間の群落内気温が上昇し、収量が低下する。

  • 数値モデルの活用による長粒米向け籾摺りロールの開発(2020)

    ロール式籾摺り機における籾摺りの数値解析では、長粒米は短粒米に比べ高い摩擦損失をロールに蓄積し、ロール寿命が短くなる。表面摩擦係数と素材の粘弾性の指標であるtan δを適切に選定することで、高脱ぷ率と長寿命を両立したポリウレタンエラストマーによる長粒米向け籾摺りロールを開発できる。

  • タイ発酵型米麺の液状化及び予防のためのpH管理の経営的評価(2020)

    タイ発酵型米麺の液状化は、小規模な発酵型米麺企業に大幅な減収と経営の不安定化をもたらし得る。麺の液状化予防のための製造工程におけるpH計測及び、酸性の洗浄水による麺の洗浄にかかる費用は一般的な保存料を使用するよりも安価であり、経営安定化の効果が大きい。

  • キチン分解好熱嫌気性細菌Capillibacterium thermochitinicolaの発見(2020)

    石垣島の堆肥から分離した新属新種のCapillibacterium thermochitinicolaは、結晶性キチンを分解できることが確認された、はじめてのキチン分解好熱嫌気性細菌である。キチンを含むエビ殻やカニ殻等の食品加工廃棄物を用いた効率的な微生物糖化への利用が期待できる。

  • ラオス淡水魚発酵調味料のヒスタミン生成は仕込み時の塩分調整で抑制できる(2020)

    ラオス農村世帯で生産・消費される淡水魚発酵調味料には製品ごとに塩分のばらつきがあり、低塩分の製品では高濃度のヒスタミンが生成される傾向がある。魚、塩、米糠の重量比を3:1:1となるよう混ぜ合わせる伝統的な製法に従い、仕込み時の塩分を18%程度に調整することにより、発酵に伴うヒスタミンの生成を抑制できる。

  • 汎用小型ドローンから陸稲圃場のイネと雑草を高精度で判別できる(2020)

    オブジェクトベース画像解析は、画素値の類似したピクセルの集合を1つのセグメントとし、セグメント単位で分類する高解像度画像に適した手法である。同手法を用いて、陸稲圃場のドローン空撮画像を解析することで、イネ・雑草・土壌を高精度で分類でき、圃場内の雑草の空間分布を迅速に把握することで、除草作業の効率化が期待できる。

  • 東南アジア熱帯雨林で重要な林業樹種におけるゲノム選抜育種導入の可能性(2020)

    東南アジア熱帯雨林の重要な林業樹種(フタバガキ科樹種)を対象に遺伝子連関解析を行い、ゲノム推定モデルを構築することで、形質の評価に長期間を要していた林木の遺伝的な改良期間を短縮できる。とくに、成長に関して、連関するDNA多型と高いゲノム遺伝率が検出されたことから、成長に関するゲノム選抜が有効であることが示唆される。

  • 温度のわずかな変化がフタバガキ科林業樹種の葉の生産のタイミングを制御する(2020)

    東南アジア熱帯地域のフタバガキ科林業樹種の苗木では、わずかな温度変化に樹木が敏感に応答し、葉の生産量を増減させる。気温の異なる複数の地域に苗畑を設置し、成長の異なる苗木を利用できるようにすることで、適正サイズの植栽用苗木の安定生産が期待できる。

  • 地上部バイオマスを広域推定するためのマングローブモデルの開発(2020)

    アジア地域に分布するマングローブのバイオマス(Y)は、衛星画像などから測定される森林高(X)と換算式Y = 2.25X1.81から推定できる。マングローブが同程度の森林高の陸域熱帯林よりも著しく高いバイオマス量を有する要因は、胸高幹断面積の大きさによる。

  • ウシエビ養殖初期に糸状緑藻と微小巻貝を摂餌させることで収益性が向上する(2020)

    ウシエビ養殖初期における補助的生餌料として、糸状緑藻(ジュズモ属の一種)を総消費餌料量の8%、微小巻貝(ミズゴマツボ属の一種)を同2%、人工飼料とともに摂餌させることにより、ウシエビ養殖の収益性が約1.5倍向上する。

  • ハイガイ養殖漁場管理のための簡便な生物指標の開発(2020)

    東南アジアで生産量が激減しているハイガイの養殖漁場を適切に管理するため、二枚貝の成育状態の指標である丸型指数及び肥満度をハイガイに活用できるよう改善し、ハイガイの成育状態及び漁場環境を簡便に評価するとともに、養殖漁場を管理するための科学的根拠を提案する。

  • ⽔稲の葉⾊に基づく施肥設計はメタン発酵消化液の肥料利⽤でも有効である(2019)

    ベトナムのメコンデルタにおける水稲栽培において、バイオガスダイジェスターのメタン発酵消化液を肥料利用する際に、安価な葉色板で測定・数値化できる葉色の変化から施用時期を決定することで、慣行レベルの子実収量を達成できる。

  • 酸素ナノバブル⽔による湛⽔⽔⽥⼟壌の⾼酸素化とメタン⽣成抑制(2019)

    ナノバブルとは直径1 µm以下の微小気泡で、水中に長期間存在できる。純酸素を材料ガスとするナノバブルを高密度に含む水を作成し、湛水状態の土壌カラムに上部から通水すると、土壌表面付近の浅層中の酸素濃度が上昇するとともに、メタン生成が抑えられる。

  • エチオピア⾼原の⼩流域流末のため池堆砂を利⽤した農地造成(2019)

    エチオピア高原の小流域の流末に位置するため池では、堆砂による取水機能の低下が進行している。ため池堆砂を除去・運搬し、農地造成用土として用いる。ため池の堆砂量と利用可能水量を推定し、農地造成計画を樹立できる。

  • ⼟壌改良資材のナノ加⼯による施⽤効果の向上(2019)

    石灰をナノ加工することで、土壌下方への移動が容易になる。リン鉱石をナノ加工し、酸性土壌にヘクタールあたり1,000 kg施用することによって、土壌酸度が矯正されるとともに、植物体にリンが吸収され、植物の生育が良くなる。

  • ソルガムの⽣物的硝化抑制にはアンモニア酸化古細菌の抑制が関連する(2019)

    ソルガムが根から分泌する難水溶性の硝化抑制物質であるソルゴレオンは、生育とともに下層土に向かって新生される根から分泌され、分泌量には系統間差がある。ソルゴレオンの分泌量が多い系統の根圏土壌では、硝化活性とアンモニア酸化古細菌数がともに低下することから、ソルガムの生物的硝化抑制にはアンモニア酸化古細菌数の抑制が関連している。