国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター | JIRCAS

ライシメーターを備えた「島嶼環境技術開発棟」

概要

国立研究開発法人国際農林水産業研究センター(JIRCAS) 熱帯・島嶼研究拠点は、亜熱帯の島嶼である石垣島に位置し、東南アジア、太平洋およびカリブ海等、開発途上地域の島嶼における持続的な農林水産業を研究する場として極めて有利な立地条件にあります。熱帯・島嶼研究拠点では、平成15年度に、この立地条件を活かし、大学、国公立試験研究機関、民間企業などと協力・連携して研究を実施するためのオープンラボとして、「島嶼環境技術開発棟」を設置しました。熱帯・亜熱帯島嶼地域に活用できる生産環境管理技術を開発することを目指しています。

 この施設は、屋外ライシメーター、ウェイイングライシメーター、屋内ライシメーター、人工傾斜圃場、人工水路からなり、それぞれ、蒸発散、肥料と水の流亡、作物の水利用、土壌浸食等の研究に用いられています。ライシメーターとは、大型のコンクリート枠に自然状態を模して土壌を充填した有底の栽培槽のことで、土壌中の養水分の動き、浸透、蒸発散などを正確に測定することが可能な施設です。ライシメーターの底部には、灌漑水を供給、浸透水を採取するシステムが備わっています。この施設に付随して、気象観測、土壌物理、根系特性測定、蒸散測定、流亡土壌測定、植物体内水分測定のための装置が整備されています。実験棟ではライシメーターに設置した各種センサーで測定された様々なデータをコンピュータで解析する他、作物や土壌を分析することができます。

施設の機能と研究成果

ライシメーターでは、底部から下に浸透する水を採取できるため、土壌中の水や養分の動態(地下への浸透など)やその収支を調べることに適しています。これまでに、ライシメーターを利用して、ピジョンピーと間作したトウモロコシは水ストレス条件下において、水と光の競合により収量が低下することなどを明らかにしました。また、現在はサトウキビにおける窒素肥料の地下への溶脱、地上部の作物の窒素吸収などを測定し、窒素収支の推定を行っています。

 一方、傾斜圃場では降雨による土壌侵食の影響(表面土壌、表流水、浸透水量、成分濃度)が測定可能です。従って、珊瑚への赤土流出防止、土壌侵食など土壌劣化防止技術を研究・開発するのに最適です。これまでに、傾斜圃場を用いて、マメ科作物を被覆作物として作付けした場合のソルガムやトウモロコシ不耕起栽培が、降雨の表面流出や土壌侵食の低減、雑草発生の抑制に効果的であることが示されました。また、西アフリカのサバンナ地帯を対象とした保全農業における作付け体型の研究を行い、ピジョンピーなど木本性マメ科作物は、主要作物(トウモロコシ、ソルガム)の休閑期に育てる(リレー作)ことにより、緑肥やマルチ資材として有効活用できること、さらに、このリレー作に部分耕起と有機物マルチを組み合わせることにより、西アフリカでも保全農業が実現できることを示しました。

 平成28年度から始まった今中長期計画では、ライシメーターを利用し、サトウキビ等の作物栽培において、窒素肥料の施肥量を変化(増加や削減)させた場合の地下溶脱、地上部吸収に与える影響を明らかにすることで、島嶼特有の土壌における最適な施肥水準を示すことが期待できます。一方、傾斜圃場では、沈砂池で発生した堆砂を再利用する手法や地域資源を活用した環境保全型栽培に関する研究を行っています。得られた成果は、粗放的な営農等が脆弱な自然環境や生態系に悪影響を及ぼす懸念のある太平洋島嶼等地域で、農業生産と環境、生態系保全が両立する資源管理システムを構築するために使われることが期待されています。

各施設の説明

利用のための手続き

 この施設を利用したい方は、「島嶼環境技術開発棟(ライシメーターなど)運営要領(PDF755KB)」をご一読のうえ、様式1(PDF10KB)にてお申し込みください。

第4期中長期計画(H28~H32年度)において、JIRCASが島嶼環境技術開発棟(ライシメーターなど)で行う研究テーマは以下のとおりです。

  1. 地下への栄養塩類の負荷を軽減する作物肥培管理技術の開発
  2. 作物のストレス耐性評価技術の開発
  3. 作物の生物的硝化抑制(BNI)能評価
  4. 沈砂池に堆積した土砂の再利用システムの構築
  5. 地域資源を活用した環境保全型栽培技術の開発

利用に際し、ご不明な点については下記にお問い合わせください。

なお、本施設の利用終了後は、様式2(PDF6KB)による報告書を提出してください。

島嶼環境技術開発棟運営要領
様式1
様式2
連絡先

〒907-0002 沖縄県石垣市字真栄里川良原1091-1

国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点総務部総務課

TEL: 
0980-82-2306(代表)

FAX: 
0980-82-0614