国際農研は、ASEAN事務局からの招待を受け、令和7年6月30日~7月1日に開催された「第3回ASEANタスクフォースミーティング:食料・農業・林業(FAF)のための戦略フレームワークの最終化」に参加しました。7月1日の日本からの研究発表のセッションでは、間断灌漑に関する研究結果についてプレゼンテーションを行いました。
同セッションの冒頭では、舟木康郎グリーンアジアプロジェクトリーダーが国際農研の概要及びグリーンアジアの取り組みを紹介。続いて、南川和則主任研究員が間断灌漑技術であるAWD(Alternate Wetting Drying)及びMiDi(Midseason drainage followed by intermittent irrigation)による温室効果ガス(GHG)削減と収量増加に関する実証試験結果(4か国、7地点の比較)を発表しました。さらに、ベトナム・フエ大学のHoa教授がベトナム中部でのAWDによるGHG削減と収量増加の試験結果を、小林慎太郎主任研究員がバングラデシュにおける農家の自発的なAWD採用事例を、レオン愛主任研究員がメコンデルタでのAWDによるGHG削減と生産費削減の試験結果を、農林水産省の稲田国際交渉官がフィリピンで始動したAWDによるJCM事業の事例と今後の展望をそれぞれ報告しました。また、小林主研は、グリーンアジアの一環として公表されたグリーンアジアレポートシリーズNo.4「アジアにおける持続可能な農業のための地域でのバイオ炭の利用」の概要を紹介しました。
発表後には活発な質疑応答が行われ、日本の研究者とASEAN各国の政策担当者が直接意見交換を行う貴重な場となりました。本セッションを通じて、間断灌漑が水田からのGHG排出削減に有効な手法であるとの認識が共有され、科学的知見と政策を結び付ける有意義な機会となりました。