食料安定生産
熱帯等の不安定環境下における農作物等の生産性向上・安定生産技術の開発
開発途上地域において依然として深刻な状況にある栄養不良人口・飢餓人口の削減に貢献し、我が国及び世界全体の食料安全保障に資するため、熱帯等に広がる条件不利地域において、我が国が比較優位性を持つ研究分野を中心に、現地の研究機関、国際研究機関等との共同研究により、生産性向上と安定生産を図るための技術を開発する。具体的には以下の研究を重点的に実施する。
「アフリカ稲作振興のための共同体」(CARD)の目標であるアフリカにおけるコメ増産計画の実現のため、コメ生産性向上をめざし、イネ遺伝資源の評価及びアフリカの環境条件に適した有望系統への生物的・非生物的ストレス耐性の導入、アジア型低コスト水田基盤整備技術の開発、イネ栽培不適地とされてきた氾濫低湿地における低投入稲作技術体系の開発等を重点的に実施する。
干ばつや冠水、塩害、病虫害等、農業生産において不良または不安定な環境下における安定生産を図るため、開発途上地域向けの作物開発のための分子育種技術を開発するとともに、ダイズ等の主要畑作物の生産阻害要因を克服するための育種技術及び育種素材、サトウキビ等の熱帯性作物遺伝資源の多様性を評価・利活用するための技術及び育種素材を開発する。また、低投入多収型栽培技術や遺伝的多様性を活かして、アジア型稲作を改良する。このほか、開発途上地域で重要な農畜産物の病害虫・疾病の総合防除技術を開発する。
研究成果情報
研究成果情報
- 氾濫低湿地で高位安定収量を示すイネ品種がある(2015)
- アグロバクテリウム遺伝子組換え技術によるブラジル産ダイズの乾燥耐性の改良(2015)
- 長期の乾燥による葉の黄化防止に関わる遺伝子を発見(2015)
- ダイズ耐塩性遺伝子Ncl の単離とその利用による耐塩性の向上(2015)
- ヤム遺伝資源多様性解析のためのSSRマーカーの開発(2015)
- ササゲ遺伝資源の子実品質関連形質の評価とデータベースの公開(2015)
- 機械収穫効率が高いエリアンサスの栄養繁殖品種「JEC1」の育成(2015)
- イネのリン利用効率に関する新規遺伝子座の同定(2015)
- 日本のイネいもち病菌レースと品種の抵抗性変異との相互関係(2015)
- サトウキビ野生種を利用しタイで共同育成したサトウキビ新品種(2015)
- サトウキビ白葉病を媒介するヨコバイ類の移動分散能(2015)
- アフリカ稲作振興のための土壌肥沃度改善技術マニュアル(2014)
- アフリカイネおよびアジアイネの遺伝子を判別するSNPマーカーセットの開発(2014)
- 乾燥・低温ストレス環境下におけるイネの代謝関連遺伝子の転写制御の重要性(2014)
- 4種類のAREB/ABFは3種類のSnRK2の下流で乾燥ストレス耐性を制御する(2014)
- ドリアン‘モントン’は開花期の低夜温で受精が抑制され着果不良になる(2014)
- Oryza(イネ)属の栽培化以前に起きたPup1 遺伝子座の変異(2014)
- インド型イネの遺伝的背景で広い窒素栄養濃度域で効率良く根を伸長させるQTL(2014)
- ダイズさび病抵抗性に関する研究のための実験マニュアル(2013)
- イネの根において通気組織形成は窒素欠乏によって誘導される(2013)
- ブルキナファソ産リン鉱石は水田への直接施用において高い肥効を示す(2013)
- イネ種子のプライミングは発芽・出芽の速度および斉一性を向上する(2013)
- カンボジアのイネいもち病菌レースは地域によってその出現頻度が異なる(2013)
- ミャンマーの在来イネ品種に由来する新規いもち病抵抗性遺伝子(2013)
- イネの生育・老化・ストレス耐性を制御するRNA結合性タンパク質の同定(2013)
- Oshox24 プロモーターを利用した生育阻害が起きないストレス耐性イネの作出(2013)
- ココヤシの重要害虫キムネクロナガハムシにおける2種の発見(2012)
- 南米におけるダイズさび病菌の病原性の変異(2012)
- 陸稲ネリカ品種を識別・分類できるDNAマーカー(2012)
- DREB1C 遺伝子の発現による陸稲ネリカの乾燥抵抗性の向上(2012)
- レーザー距離計を用いた土水路の動水勾配の計測方法(2012)
- ガーナ北部の氾濫低湿地における水稲作導入に向けた湛水可能性の評価(2012)
- ガーナ北部氾濫低湿地での稲作拡大に向けた土壌炭素分布と硫黄欠乏の解明(2012)
- 乾燥ストレス条件下でイネの生長を制御する遺伝子の同定(2012)
- 在来イネ由来のPSTOL1 遺伝子はリン酸欠乏耐性を向上させる(2012)
- 高地下水位条件下における圃場レベルの塩害軽減対策のガイドライン(2012)
- アフリカ内陸低湿地における水田整備及び栽培技術のマニュアル(2011)
- サブサハラアフリカの水田土壌肥沃度向上に資する在来有機物資源(2011)
- 冠水中のイネの光合成活性を簡易に測定できる手法(2011)
- イネ・ダイズ等の低温及び乾燥環境下における主要転写経路の同定(2011)
- AZF1とAZF2タンパク質は乾燥や塩ストレス下の植物の生長を制御している(2011)
- ダイズさび病抵抗性遺伝子の集積系統(2011)
- 熱帯の天水田向きいもち病抵抗性に関するインド型マルチライン稲品種(2011)
関連するJIRCASの動き
豆の品質に関連する形質に着目したササゲ遺伝資源データベースの公開
JIRCASは、西アフリカの半乾燥地域で重要な作物であるササゲ(Cowpea)*の国際共同研究を進めています。今回、このプロジェクトの5年におよぶ活動で得られたササゲ遺伝資源の様々な形質、とくに豆の品質に関連する形質についての情報を掲載した「EDITS-Cowpeaデータベース https://www.jircas.go.jp/ja/database/edits-cowpea/introduction」を公開いたしました。
Debrief Meeting on the Collaborative Research for Sugarcane Improvement between JIRCAS-KKFCRC, Thailand
JIRCASは、タイ国コンケン畑作物研究センター(KKFCRC)と共同で「サトウキビ近縁遺伝資源を利用した高バイオマス生産性作物の開発」に関する研究を2011年から2015年にかけて実施してきました。本プロジェクトで得られた研究成果の報告と今後の研究展開方向を議論することを目的に、現地にて成果報告会を開催しました。
プレスリリース
関連するイベント・シンポジウム
- 場所
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コンケン畑作物研究センター 会議室 (タイ国・コンケン市)
- 場所
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国際農林水産業研究センター国際会議室