マダガスカル
関連するJIRCASの動き
生産環境・畜産領域の辻本泰弘プロジェクトリーダーらの論文が日本作物学会論文賞を受賞
生産環境・畜産領域の辻本泰弘プロジェクトリーダーらの論文「AZ-97 (Oryza sativa ssp. Indica) exhibits superior biomass production by maintaining the tiller numbers, leaf width, and leaf elongation rate under phosphorus deficiency」が、日本作物学会論文賞を受賞しました。
国際農研 生産環境・畜産領域の西垣智弘研究員によるマダガスカルでの研究紹介動画が公開されました
国際科学技術財団が主催するやさしい科学技術セミナーの一環として、国際農研生産環境・畜産領域の西垣智弘研究員が参画しているマダガスカルにおける研究プロジェクトの紹介動画が同財団のYouTubeアカウントから公開されました。
関連する現地の動き
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Pick Up
563. 低土壌肥沃度耐性に関連するイネの遺伝子領域を発見
マダガスカルの主食はコメであり、一人当たりのコメ消費量は世界でトップクラスですが、さらに増加しています。しかしこの国では、イネは主に小規模農家によって肥沃度の低い土壌で栽培され、化学肥料は殆ど投入されていません。その結果、コメの収量は伸び悩み、国レベルでコメの生産量と消費量のギャップが拡大しています。そこで、国際農研では国際稲研究所(IRRI)のジーンバンクから導入した遺伝資源を評価し、現地の栽培条件下でコメの収量向上に利用できる低肥沃度耐性に関連するドナー(遺伝子提供系統)と遺伝子領域を同定しました。
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556.ゲノム予測モデルが明らかにする穀粒中の亜鉛濃度が高い品種の開発に利用できるイネ遺伝資源
マダガスカルなどでは、主食であるコメに含まれる亜鉛(Zn)濃度は1日の必要量を十分に供給するには低すぎるため、コメを主食とする家庭で、ミネラルが豊富な果物や野菜、肉などを加えて食事を多様化する余裕がない場合には、食事からのZn摂取量が不足し、Zn欠乏症になる危険性があります。その解決には主食であるコメに含まれるZnを増やすというアプローチがあります。このような食用作物の可食部におけるZn濃度を高めるアプローチ(Zn-バイオフォーティフィケーション)は、亜鉛欠乏を緩和するための世界的な育種目標です。国際農研は他機関と共同でゲノム予測モデルにより3000点のイネ遺伝資源のコメZn濃度を予測し、その中のZn濃度が高いドナー(遺伝子提供系統)候補をマダガスカルで、実験的に検証しました。
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533. 農業生産多様性が子どもの栄養状態に及ぼす影響
栄養不良は、子どもたちに生涯にわたって続く大きな影響をもたらします。今回は、マダガスカルの農村を対象として、各農家の農業生産の多様性、食の多様性、そして子供の栄養状態への影響をみた論文を紹介します。 -
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108. 世界野菜センター: マダガスカルの伝統野菜に勢いをつける
世界野菜センター(World Vegetable Center;World Veg) のRitha Luoga と Sognigbe N’Danikouは、World Veg のホームページに「マダガスカルにおける伝統野菜の利用」についての記事を公表しました。著書らは、マダガスカルにおける野菜遺伝資源の保全、食料と栄養の安全保障、農家の収入向上における伝統野菜の重要性について、報告しました。
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37.養分利用に優れた稲作技術開発でマダガスカルの食料安全保障に貢献
マダガスカルは、豊かな生態系や珍しい動植物で知られていますが、この国の農業は稲作を基盤とし、日本の2倍以上のコメが消費されています。一方で、イネの生産性は停滞しており、農村地域の貧困削減を妨げてきた結果、マダガスカルは世界の最貧国の一つにとどまっています。イネの生産性を阻害する要因として、農家が貧しいために肥料を購入する資金が少ないこと、アフリカ特有の風化土壌に起因する乏しい養分環境をもつことが挙げられます。そこで、国際農研は、肥料と土壌からの養分供給が少ない条件でも安定的にイネの生産性を改善できる技術開発を目指し、現地研究機関とプロジェクトを実施しています。最近の研究ハイライトとして、少ないリン肥料でイネの収量を大幅に改善できることを現地農家圃場で実証しました。
刊行物
広報JIRCAS (9)
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 広報JIRCAS. 9 ( )
jircas9-_-.pdf2.93 MB
JIRCASニュース(90)
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, JIRCASニュース. 90 ( )
jircas_news-90_-.pdf2.19 MB
JIRCAS Newsletter(90)
Japan International Research Center for Agricultural Sciences, JIRCAS Newsletter. 90 ( )
jircas_newsletter-90_-.pdf1.76 MB
JIRCAS Newsletter(89)
Japan International Research Center for Agricultural Sciences, JIRCAS Newsletter. 89 ( )
jircas_newsletter-89_-.pdf2.95 MB
JIRCASニュース(89)
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, JIRCASニュース. 89 ( )
jircas_news-89_-.pdf3.4 MB
関連するイベント・シンポジウム
出張報告書
報告書番号 | 出張年月 | 国名 | 出張目的 | 関連プログラム |
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R05-0008 | 2023年04月 - 2023年05月 | マダガスカル | 鉄過剰ストレス耐性イネ系統の選抜に関わる現地圃場試験の収量調査と遺伝子発現解析のための基盤整備 | 食料 |
R05-0001 | 2023年04月 - 2023年04月 | マダガスカル | 現地圃場実験の収穫・収穫産物調査 | 食料 |
R04-0242 | 2023年02月 - 2023年03月 | ドイツ, マダガスカル | ・ライプニッツ農業景観研究センターでの共同研究およびワークショップ開催 ・マダガスカルにおける生産性安定化を図るための育種素材開発に関わる共同研究 |
食料 |
R04-0243 | 2023年02月 - 2023年03月 | ドイツ, マダガスカル | ライプニッツ農業景観研究センターにおけるワークショップ開催 マダガスカルにおける生産性安定化を図るための育種素材開発に関わる共同研究 |
食料 |
R04-0239 | 2023年02月 - 2023年02月 | マダガスカル | 施肥技術と品種との相互作用に関する現地圃場試験の生育調査 | 食料 |
研究成果情報
- リン欠乏水田でのリン施肥による水稲増収量は土壌リン吸着能から推定できる(2021)マダガスカルに広く分布するリン欠乏水田において、リン肥料を施用した際のイネの増収量は、近接する圃場間でも大きく異なり、土壌のリン吸着能が高いほど低下する。
- リン欠乏水田でのリン施肥による水稲増収量は土壌リン吸着能から推定できる(2021)マダガスカルに広く分布するリン欠乏水田において、リン肥料を施用した際のイネの増収量は、近接する圃場間でも大きく異なり、土壌のリン吸着能が高いほど低下する。
- 深層学習で熱帯の多様な生態系における土壌のリン供給能を推定するモデル(2021)土壌の分光データを使用した深層学習により、農耕地および自然植生を含む熱帯の多様な生態系における土壌のリン供給能を迅速かつ高精度に推定できる汎用性の高いモデルを開発できる。
- 深層学習で熱帯の多様な生態系における土壌のリン供給能を推定するモデル(2021)土壌の分光データを使用した深層学習により、農耕地および自然植生を含む熱帯の多様な生態系における土壌のリン供給能を迅速かつ高精度に推定できる汎用性の高いモデルを開発できる。
- イネのリン欠乏と低温不稔が問題となる栽培環境での効率的なリン施肥法(2021)リン欠乏土壌ではイネの出穂が遅延するため、生育後半に気温が低下する栽培環境では低温不稔が助長される。低温不稔のリスクが高い圃場にリンを施用することで、リン欠乏と低温不稔の双方の改善につながり、増収効果を高めることができる。
- イネのリン欠乏と低温不稔が問題となる栽培環境での効率的なリン施肥法(2021)リン欠乏土壌ではイネの出穂が遅延するため、生育後半に気温が低下する栽培環境では低温不稔が助長される。低温不稔のリスクが高い圃場にリンを施用することで、リン欠乏と低温不稔の双方の改善につながり、増収効果を高めることができる。
- 量的遺伝子座MP3の導入は養分欠乏によるイネの穂数不足を緩和する(2020)
サブサハラアフリカにみられる養分欠乏土壌では、イネの分げつ発生の抑制に伴う穂数不足が収量制限要因の一つとなっている。日本型品種コシヒカリからインド型多収品種タカナリに導入した量的遺伝子座MP3は、マダガスカルの2.0~4.1 t ha-1の低収量環境において、分げつ発生を促進し、穂数および籾数を増加させることができる。
- 量的遺伝子座MP3の導入は養分欠乏によるイネの穂数不足を緩和する(2020)
サブサハラアフリカにみられる養分欠乏土壌では、イネの分げつ発生の抑制に伴う穂数不足が収量制限要因の一つとなっている。日本型品種コシヒカリからインド型多収品種タカナリに導入した量的遺伝子座MP3は、マダガスカルの2.0~4.1 t ha-1の低収量環境において、分げつ発生を促進し、穂数および籾数を増加させることができる。
- 移植苗のリン浸漬処理はイネの施肥効率を改善し低温ストレスを回避する(2020)
少量のリン肥料を加えた泥を苗の根に付着させてからイネを移植するリン浸漬処理は、熱帯に広く分布するリン吸着能の高い土壌でも施肥効果が大きい。加えて、従来の施肥法に比べて生育日数を短縮するため、生育後半に気温が低下する栽培環境では、登熟不良の改善にも効果をもつ。
- 移植苗のリン浸漬処理はイネの施肥効率を改善し低温ストレスを回避する(2020)
少量のリン肥料を加えた泥を苗の根に付着させてからイネを移植するリン浸漬処理は、熱帯に広く分布するリン吸着能の高い土壌でも施肥効果が大きい。加えて、従来の施肥法に比べて生育日数を短縮するため、生育後半に気温が低下する栽培環境では、登熟不良の改善にも効果をもつ。