食料
新たな食料システムの構築を目指す生産性・持続性・頑強性向上技術の開発
世界の食料システムは人口増加や気候変動等の影響による問題を抱えています。新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)は、この食料システムの脆弱性を明らかにし、状況を悪化させました。パンデミックに限らず、現在起きている、あるいは将来発生する可能性のあるさまざまな問題に対処するため、食料システムのレジリエンスを強めることが不可欠です。
開発途上地域における食料システムのレジリエンスを強めるためには、多様化している食料システムに関わるニーズに対処する必要があります。「社会的ニーズ」として、量的・質的な栄養改善、食を通じた健康の実現があります。「経済的ニーズ」として、労力削減・生産性向上、地域資源の最大活用、あるいは気候変動などのリスクに強い農業があります。さらに「生物圏ニーズ」として、化学肥料・農薬の低減、生物多様性の保全・再生があります。そして、これらのニーズの解決には、ICT、IoT、バイオ等、先端技術の活用が期待されています。
このプログラムでは、このような多様な食料システムに関わるニーズに対応し、技術開発と活用を通じて、対象地域における安定的な食料生産、国際的な食料需給、食料栄養安全保障に貢献するため、「食料生産性の向上と栄養改善を達成する新たな食料システム」の構築を図ります。そのために、「作物・食品加工技術開発」、「環境調和型生産基盤の維持強化」、「アフリカ食料・栄養安全保障」に分類できる6つの「生産性・持続性・頑強性の向上にむけた技術開発プロジェクト」を推進します。
これら全てのプロジェクトは、おもに「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標2「飢餓をゼロに」に貢献します。

研究成果情報
関連するJIRCASの動き
【お知らせ】アフリカ農業研究フォーラム(FARA)とのMOU調印式について(予定)
国際農林水産業研究センター(国際農研)は、令和7年8月22日(金)に開催されるササカワ・アフリカ財団(SAA)主催「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」公式サイドイベント「環境再生型農業を通じたアフリカの食料システムの変革 - 若者と農家を支える戦略・政策・連携 -」において、アフリカ農業研究フォーラム(FARA)と国際連携に関する覚書(MOU)の調印式を執り行う予定です。
ラオス黒米の可能性を拓く:ラオスで黒米研究のワークショップを開催
令和7年6月17日、ラオスにて、国際農研はラオス国立農林研究所(NAFRI)およびラオス大学と共同で進めている黒米研究の成果報告と今後の研究方針の検討を目的とした 「ラオスの畑地生態系における黒米生産の機会と可能性に関するワークショップ」を開催しました。
プレスリリース
関連するイベント・シンポジウム
地球沸騰化時代におけるレジリエント遺伝資源の機会と課題
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ハイブリッド(国連大学ウ・タント国際会議場およびオンライン)(150-8925 東京都渋谷区神宮前 5-53-70) 国際連合大学UNU3階

- 場所
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ハイブリッド(JST東京本部別館1F大ホールおよびオンライン)(102-0076 東京都千代田区五番町7)

現地の動き
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1234. 連絡拠点だより⑦:タイの甘酒『カオマーク』
2025-04-11 日本では飲む点滴とも呼ばれ、美容効果もあるといわれている甘酒。実はタイにも『カオマーク』と呼ばれる甘酒があります。 -
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1161. アフリカの“農家知識”を技術普及に活かす
2024-12-17 “知識”というと学校の授業で習ったりすることを連想しますが、そうした知識とは別に、農家が日々の経験の中で知る経験的知識を“農家知識”と呼びます。現在まで、持続的農業を可能にするとされるたくさんの技術がアフリカに普及されていますが、農家に使われない・使ってみてもすぐ止めてしまうという問題があります。その問題を解決する手段の一つとして考えられているのが、農家が日々の農作業の中で何を大切にし、何を困難に思っているのか、土や作物の特徴をどう理解しているのか、を私たち研究者が理解することです。 -
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1013. ボリビアシンポジウム〜ウユニ塩湖、キヌア、リャマの魅力〜
2024-05-09 国際農研と駐日ボリビア多民族国大使館は、2024年5月20日(月)に『ボリビア シンポジウム〜ウユニ塩湖、キヌア、リャマの魅力〜』を、科学技術振興機構(JST)東京本部別館で開催します。本シンポジウムは対面とZoomウェビナーを利用したオンライン視聴を併用して実施します。 -
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991. マダカスカルの棚田で、貧困に効く“処方箋”を書く
2024-04-04 開発経済学者の仕事は、時に医師の仕事に例えられます。なぜなら貧困削減のための“処方箋”を書くような仕事だからです。確かに、農家の話を聞き(=問診)、調査(=検査)をして、どうすれば農家の生活がより豊かになるか提案する(=処方箋を書く)という流れは、医師の仕事と似ているかもしれませんね。なぜわざわざ現地に行って話を聞くのか、マダガスカル農家調査を例に、その深いワケをお話ししたいと思います。 -
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962.地球と宇宙をつなぐ国際農研の取り組み〜レジリエント作物の新たなフロンティア〜
2024-02-21 国際農研が取り組む「気候変動などによる地球環境の劣化に対応したレジリエント(強靭な)作物の生産に向けた研究」は、「宇宙環境に適応した作物の生産を目指す研究」にもつながっています。
出張報告書
論文
2025
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Matsuda, Ryuya , Kuwano, Kazuyoshi (2025) A Demonstration of Bromoform-Producing Gametophyte Culture for a Red Alga, Asparagopsis taxiformis in Laboratory Conditions. Marine Biotechnology, 27 :115-. https://doi.org/10.1007/s10126-025-10493-2
20008921.4 MB
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Takai, Toshiyuki , Saito, Hiroki , Marui, Junichiro , Oo, Aung Zaw , Vilayheuang, Koukham , Phongchanmixay, Sengthong , Asai, Hidetoshi (2025) Detection and characterization of quantitative trait loci for phytic acid in grains toward improved black rice in northern Laos. Frontiers in Sustainable Food Systems, 9 :1620644-. https://doi.org/10.3389/fsufs.2025.1620644
2000889868.8 KB
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Ueda, Yoshiaki , Yamaji, Naoki , Wissuwa, Matthias (2025) Comparative Transcriptome Reveals ART1-Dependent Regulatory Pathways for Fe Toxicity Response in Rice Roots. Physiologia Plantarum, 177 :e70398-. https://doi.org/10.1111/ppl.70398
20008902.6 MB
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Rosdianti, Ida , Ueda, Yoshiaki , Nakanishi, Hiromi , Utami, Dwinita Wikan , Yuriyah, Siti , Takanashi, Hideki , Wissuwa, Matthias (2025) Physiological insensitivity to an increase in leaf Fe constitutes a tissue‑tolerance mechanism against Fe toxicity in rice. Plant and Soil, 2025 :none-. https://doi.org/10.1007/s11104-025-07587-0
20008862.7 MB
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Okutsu, Tomoyuki , Rakbanjong, Natthida , Shikina, Shinya , Miwa, Misako , Wonglapsuwan, Monwadee (2025) Cryopreservation of spermatogonia of the giant freshwater prawn, Macrobrachium rosenbergii, using slow and ultra-rapid freezing. Cryobiology, 119 :105242-. https://doi.org/10.1016/j.cryobiol.2025.105242
20008845.3 MB
2023
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Yamanaka, Naoki , Kato, Masayasu , Akamatsu, Hajime , Yamaoka, Yuichi (2023) Manual de laboratorio para estudios sobre la resistencia a roya de la soja. , :1-55. https://doi.org/10.34556/0002000881
-
Yamanaka, Naoki , Kato, Masayasu , Akamatsu, Hajime , Yamaoka, Yuichi (2023) Laboratory manual for studies on soybean rust resistance. , :1-55. https://doi.org/10.34556/0002000882
Laboratory_manual_v.27.13.6 MB