生態系アプローチによる熱帯域の持続的水産養殖技術開発及び普及【熱帯水産養殖】
2024-04-19
背景
東南アジア地域の漁村や農山村にとって、水産物は重要な収入源であるとともに、タンパク質・ミネラル等の重要な栄養源として不可欠です。しかし、零細養殖業者を含む地方コミュニティの社会経済的な背景は複雑になっています。実用的な養殖技術を開発・普及するためには、事前に地元のニーズや養殖漁場の利用法等について関係者と十分に協議を行う生態系アプローチが有効です。その際、コミュニティの意思決定ツールとして複数のシナリオを提示することにより、環境調和型の持続的養殖の方向性を理解・共有することが可能になります。
生態系アプローチ:生態系保全をしつつ、人間が天然資源を破壊することなく、持続的・合理的に利用するプロセス
プロジェクト目標
生態系機能を維持したコミュニティベースの養殖漁場管理(養殖業の生態系アプローチ)の適用により熱帯域の持続的養殖技術開発・普及を行うとともに、水産物供給の安定化による住民の栄養改善を図ります。
研究課題構成
- 熱帯域に順応した持続的養殖技術の高度化と地域住民の栄養改善
- 熱帯域の環境に調和した高価値の種苗生産及び中間育成を導入した養殖システムの開発
対象国
マレーシア、タイ、フィリピン
成果の対象者・受益者
零細養殖業者・地域コミュニティ、相手国研究機関・大学、相手国政府
プロジェクトリーダー
本田 聡(水産領域)
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