研究職員(選考採用・若手育成型任期付研究員。令和4年4月1日採用予定)募集

国立研究開発法人国際農林水産業研究センターでは、令和4年4月1日採用予定の研究職員の募集を行っております。

 国立研究開発法人国際農林水産業研究センターでは、標記研究職員の募集を行っております。

 任期付研究員の採用は、当センターが推進する研究活動の一層の推進、及び農林水産分野における優秀な研究者の育成を図る観点から実施するもので、今回の採用予定ポスト、応募条件、採用試験要領は下記のとおりです。
 本募集により採用された任期付研究員については、任期満了の11ヶ月前までに希望者に対してテニュア審査を実施します。この審査に合格した者は任期を定めない研究員として継続採用します。
 なお、任期中に出産のための特別休暇の取得、育児休業、介護休業等をしている期間があった場合、当該期間に相当する期間について任期の延長を申し出ることができます。

研究業務内容等の詳細は採用情報をご参照ください。

選考採用

採用予定の研究領域及び研究業務内容等

公募番号 研究領域、ポスト、採用予定人数 採用時期 研究業務内容・実施研究課題例・キーワード

4(熱帯果樹遺伝資源)

熱帯・島嶼研究拠点、1名

令和4年4月1日

 熱帯果樹は、熱帯・亜熱帯の生産地域における食料・栄養源であるとともに、小規模農家の収入源として重要な役割を果たしているが、近年、地球規模での気候変動等の影響により、生産が不安定化する事例が多く報告されている。わが国においても、消費の多様化や温暖化への対応策として熱帯果樹への関心が高まっており、熱帯・亜熱帯地域における熱帯果樹の持続的な安定生産やわが国に適した熱帯果樹栽培の確立は、喫緊の課題といえる。気候変動に対応した品種や栽培管理技術、持続的な安定生産技術の開発及び導入は、農業振興や食材・栄養源の多様化に貢献するとともに、農林水産省が推進する「みどりの食料システム戦略」におけるアジアモンスーン地域の持続可能な食料システム開発や品種開発力の強化における遺伝資源利活用の促進に資するものであり、国内外のニーズに即した課題解決に向け、国内外研究機関との一層の連携強化が求められている。    

 本研究課題では、国際農研が保有する多様で豊富な遺伝資源と熱帯・島嶼研究拠点(沖縄県石垣島)の地理的優位性ならびに国内外機関とのネットワークを活用し、熱帯果樹遺伝資源の主要な樹種における栽培特性評価等を通じた多様性情報の蓄積・整備、環境変動に対応したストレス耐性や換金性向上に向けた高品質の育種素材やそれらの安定生産・利用促進技術の開発、国内栽培地域における温暖化対応等への技術支援に取り組む。本課題を担当する研究者には、国内外の熱帯果樹栽培が抱える課題ニーズに対応する幅広い観点からの遺伝資源評価と育種利用ならびに利用促進技術の開発に資する研究能力に加え、国内外機関との研究ネットワーク形成に必要な協調性及び国際感覚が期待される。

【実施研究課題例】

  • 熱帯果樹遺伝資源の多様性を活用するための特性評価
  • 熱帯果樹遺伝資源の多様性を利用した育種素材の開発および利用促進技術の開発
  • 国内向け熱帯果樹品種・育種素材の開発および安定生産技術の開発

【キーワード】

専門分野:熱帯果樹、遺伝資源評価・育種利用、園芸栽培、現地調査(国内外)

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚、語学力(英語)、海外での研究経験があることが望ましい。

若手育成型任期付研究員

採用予定の研究領域及び研究業務内容等

公募番号 研究領域、ポスト、採用予定人数 採用時期 研究業務内容・実施研究課題例・キーワード

1

領域を限定しない、若干名

令和4年4月1日から5年間

 国際農林水産業研究センター(国際農研)は、熱帯農業研究センターとして発足して以来、50余年にわたり熱帯・亜熱帯地域及び開発途上地域における農林水産業技術の向上のための研究開発で我が国の中核的な役割を担ってきた。

 第5期中長期目標(令和3~7年度)では、地球規模の食料・環境問題の解決を目指して効果的・集中的な研究開発を行うとともに、関連情報の収集・発信等の機能の強化に取り組むこととしている。近年、開発途上地域の農林水産業を取り巻く環境は激変しており、食料システムの転換、分野横断的な学際的研究開発等、従来の農林水産業研究の枠にこだわらない、柔軟で斬新な発想に基づく革新的な研究開発が求められている。

 これまで国際農研では、研究分野を特定した研究職員の募集を行ってきたが、若手研究者の自由な発想を活用するため、今回、初めての試みとして、広く門戸を開放して、専門分野や研究課題を限定しない若手任期付き研究職員(任期5年、若干名)を募集する。

 本研究業務に応募を希望する者は、国際農研が第5期中長期目標期間で実施する業務(研究プロジェクトの一部など、ホームページなどを参照)に対して、自らの専門知識・経験を活かしたどのような貢献ができるかをアピールすることを求める。提案は、国際農研の第5期中長期目標の達成に資するものとするが、現行目標の枠を越えた革新的な技術開発や研究手法が含まれる提案も妨げない。

【実施研究課題例】

  • 特に示さない

【キーワード】

専門分野:開発途上地域、地球規模課題、分野横断的、破壊的イノベーション

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚、語学力(英語)、海外での研究経験があることが望ましい。

2(貧困対策養殖)

水産領域、1名

令和4年4月1日から5年間

 開発途上国における内陸部の農村では、幼児の慢性的栄養不足、高い貧血率、妊婦の量的、質的栄養不足等が問題となっている。こうした潜在的な飢餓とも言える栄養不足状態の改善には、動物タンパクに加えミネラル・ビタミン等の微量栄養素の摂取増が必須であり、淡水魚貝類にはこれらの栄養素が多く含まれていることが知られているが、商業漁業・養殖で漁獲・生産される比較的大型の淡水魚は、資本を投資した経営体の収益確保のため、このような貧困農村を対象に販売されることはほとんどない。

 このことから、内陸農村部に広く生息している、多種多様な小型の在来淡水魚・甲殻類の有効利用が注目されている。これらの増養殖を図り、地域住民への供給量を増加することで、住民の栄養状態の改善が期待されるが、多くの農家やコミュニティは、低資本、低コストで魚貝・甲殻類を効率的に増養殖する技術を有していない。

 本研究では、内陸農村部での内水面増養殖に適した在来の魚貝・甲殻類を選定し、タンパク質やミネラル等の栄養評価を行うとともに、増養殖学・生理生態学を基礎とする研究やフィールド調査等のアプローチによって、産卵・生育・生息環境改善、および養殖・蓄養のための技術開発に取り組む。一連の研究を通じて持続的・効率的な内水面増養殖システムを構築し、内陸部の農村における技術の社会実装を最終目標とする。

【実施研究課題例】

  • 開発途上地域農村部の小河川や溜め池等に棲息する主要在来魚貝・甲殻類の把握
  • 開発途上地域の農村環境に適した在来魚貝・甲殻類の増養殖技術開発
  • 開発する増養殖技術の効果的・効率的な普及手法の検討

【実施研究課題例】

専門分野:フィールド調査、増殖・養殖学、生理・生態学、社会実装

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚、語学力(英語)、海外での研究経験があることが望ましい。

3(海藻養殖)

水産領域、1名

令和4年4月1日から5年間

 世界の海藻養殖生産量は増加し続けており、2010年には2000年の約2倍、2019年には約3倍となった。こうした増産の背景には、加工食品、食品添加物、医薬品、化粧品、家畜飼料、肥料などを用途とする需要の増加がある。サンゴ礁域等で自生する紅藻の一種を反芻動物に与えると、ゲップ中のメタンガスが大幅に削減される効果があるとの研究報告もある。また、近年では海藻養殖を増加させることによるブルーカーボンの増加、環境負荷の少ない海藻養殖によるSDGsへの貢献なども期待されていることから、海藻を効率的に生産する技術開発の必要性が高まっている。

 東南アジアでは海藻養殖が盛んで、多くの小規模漁家にとって重要な収入源となっているが、養殖技術には改善の余地があり、特に上述のメタンを抑制する海藻等、新たな用途に適応する養殖技術の開発には課題が多い。

 このため本研究では、多様な用途に対応する価値を有する海藻養殖種の生理・生態学的特性に基づき、東南アジアをはじめとする開発途上地域の環境に適した効率的な養殖技術の開発を目指す。先ず、東南アジアに自生する海藻について、市場価値、成長速度、養殖適性などの情報を現地関係者から聞き取って整理し、研究対象種を選定する。続いて、海藻は生育場所の環境の影響を強く受けるため、選定した海藻の生育環境分析、感染症・非感染症の研究、食害実態解明などの生理・生態学的研究を行う。さらに、生理・生態の特徴に適した漁場の特定、養殖施設等の開発・改良などに関する試験研究を行い、対象海藻種の養殖技術を開発する。

【実施研究課題例】

  • 多様な用途・機能を有する海藻養殖種の選定
  • 多様な用途・機能を有する海藻の養殖技術開発に必要な生理・生態的特性の解明
  • 多様な用途・機能を活用するための海藻養殖技術の開発及び高度化

【キーワード】

専門分野:フィールド調査、養殖学、海藻類学、生理・生態学

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚、語学力(英語)、海外での研究経験があることが望ましい。

5 (施設野菜)

熱帯・島嶼研究拠点、1名

令和4年4月1日から5年間

 近年、東南アジアをはじめとする熱帯・亜熱帯地域では、人口増加や経済発展にともなう食の安全性や品質への関心の高まりからトマトやイチゴといった果菜類の高品質化、高付加価値化に対する需要が高まっている。一方で、世界的な気候変動に伴う気象の不安定性は、特に高温や乾燥にさらされるような地域において、農家による野菜の安定生産を脅かしつつあり、施設園芸を組み入れた野菜の安定生産技術の開発が急務となっている。

 日本国内では、日本の強みである野菜種苗、温室の被覆材、省エネルギー技術、ICT技術等を融合し、高温多湿環境下でも低コストで高効率な植物工場を開発するために、産官学の連携による「『知』の集積と活用の場による研究開発モデル事業」が実施され、国際農研熱帯・島嶼研究拠点(以下、拠点)は、平成28年度より5年間本事業に参画し、拠点内にハウスを設置し実証栽培を行い熱帯・亜熱帯地域向けの果菜類周年栽培技術を共同開発した。また上記事業の後継として「イノベーション創出強化研究推進事業」に参画(令和3年度か3年間)するとともに、国際農研交付金プロジェクト「研究成果の実用化と事業展開を実現する民間連携モデルの構築」で施設野菜研究を継続・発展している。

 本研究課題では、上記の成果を継承し、気候変動が顕在化する東南アジア等開発途上国や類似した環境に位置する熱帯・島嶼研究拠点において、熱帯・亜熱帯環境特有の高温、多湿、強日射などの環境要因が光合成、開花・結実など野菜の生育や果実への分配等に及ぼす影響を明らかにするとともに、植物生理に基づいた熱帯・亜熱帯環境向け野菜の生育モデルの作成に取り組む。課題を担当する若手研究者には、民間企業や現地政府関係者等と協働しながら、環境が類似した東南アジア等アジアモンスーン地域への成果の適用を通じて、現地における野菜の安定生産技術の開発に貢献するとともに、将来的には、より環境が厳しい中東やアフリカ等地域を対象に、栽培上の課題や需要状況を踏まえ、地域の状況に適合した施設栽培・露地栽培による野菜の安定生産技術の確立に果敢に取り組むことを期待する。

【実施研究課題例】

  • 高温多湿環境下でのトマト・イチゴなど果菜類の周年栽培に関する技術開発
  • 熱帯・亜熱帯地域に対応した果菜類の生育モデルの開発
  • 東南アジア等アジアモンスーン地域への生育モデルの適用を通じた果菜類の安定生産技術の開発

【キーワード】

専門分野:施設園芸、野菜栽培、栽培生理、環境制御、生育モデル

国際分野:国際共同研究や事業展開を推進するための国際感覚、語学力(英語)、国際共同研究に参画経験があることが望ましい。
 

関連するページ