研究職員(若手育成型任期付研究員)募集

国立研究開発法人国際農林水産業研究センターでは、研究職員の募集を行っております。

 国立研究開発法人国際農林水産業研究センターでは、標記研究職員の募集を行っております。

 任期付研究員の採用は、当センターが推進する研究活動の一層の推進、及び農林水産分野における優秀な研究者の育成を図る観点から実施するもので、今回の採用予定ポスト、応募条件、採用試験要領は下記のとおりです。
 本募集により採用された任期付研究員については、任期満了の11ヶ月前までに希望者に対してテニュア審査を実施します。この審査に合格した者は任期を定めない研究員として継続採用します。
 なお、任期中に出産のための特別休暇の取得、育児休業、介護休業等をしている期間があった場合、当該期間に相当する期間について任期の延長を申し出ることできます。

研究業務内容等の詳細は採用情報をご参照ください。

採用予定の研究領域及び研究業務内容等

公募番号 研究領域、ポスト、採用予定人数 採用時期 研究業務内容・実施研究課題例・キーワード

1(応用水文)

農村開発領域、1名

令和3年10月1日から5年間

サブサハラアフリカ地域が直面している食料不足や栄養不良の解決には、作物の生産拡大が必要である。その中でもコメの消費は急拡大しており、「アフリカ稲作振興のための共同体フェーズ2 (CARD2)」では、コメの生産量を、2030年までに2019年時の2倍とすることが目標とされている。このためには、育種素材および栽培技術の研究開発に加え、安定した水資源を確保したうえで、効率的に利用するための灌漑技術が必要である。

サブサハラアフリカ地域では、天水による稲作が多く、生産が不安定である。天水稲作を灌漑稲作に転換することで収量が大幅に伸びるが、水資源や環境及び経済的な制約で、灌漑可能な地域は限られる。このため灌漑稲作に転換可能な地域を特定することが、今後のアフリカにおけるコメの生産拡大にとって重要な情報となる。

そこで、衛星画像やUAV等を用いた地形と水文条件により水資源利用の現状把握と水文モデルを踏まえた灌漑可能性を明らかにするとともに、地域の稲作栽培条件を加味した灌漑可能地域の特定や、収量の予測をもとにした開発可能性を明らかにする必要がある。水稲の収量は、降雨、気温、日射などの気象条件と水田の土壌条件や水条件などの影響が大きいことから、これらを加味した開発可能性の研究を現地機関と共同で取り組む若手研究者を募集する。本研究者には、これらの基礎的・基盤的な研究を行い、その成果を開発途上地域の現場に応用するため、現地に滞在して調査に前向きに取り組み、かつ国内外の研究者と協調して共同研究を進められる協調性と国際感覚を持つことが求められる。さらに、水文学や灌漑排水の知識を有しつつもこれにとらわれず、新たな研究対象に、果敢に挑戦することを期待する。

【実施研究課題例】

  • 衛星画像やUAVを用いた水資源利用の現状分析と水文モデルを適用した灌漑可能性の評価
  • サブサハラアフリカにおいて将来の気候変動(降雨等の変化)が天水稲作の収量に与える影響についての水文モデルを用いた予測

【キーワード】

専門分野:水文学、流出モデル、画像解析、灌漑排水、水収支、熱収支

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚。語学力(英語)。海外での研究経験があることが望ましい。

2  (土壌塩類化対策)

農村開発領域、1名

令和3年10月1日から5年間

世界人口が増加の一途を辿る中、生産性の高い灌漑農業は世界の食料安全保障において重要な役割を果たしてきた。しかし、農業生産において灌漑が必須となる乾燥地域では、過剰灌漑や排水不良など、不適切な水管理による土壌の塩類化が生じており、土壌劣化に伴う農業生産性の低下が深刻な課題となっている。

土壌塩類化の軽減には、圃場の排水性を改良し、余剰水の排除と地下水位の上昇を抑制することが有効である。また、圃場への塩分流入を抑制する節水も効果的である。しかし、開発途上地域では、資金を要する排水施設や節水技術の導入は政府事業等で実施されることが多く、農家による取り組みは稀である。このため、土壌塩類化を広範囲で抑制し、持続的な土地管理を実現するためには、農家が営農活動の一環として取り組める低コストの塩類化対策を構築・提案していく必要がある。そこで、灌漑・排水の両面から農家が実践可能な塩類化対策技術の開発を目指す。

これらの課題を強力に推進するため、土壌塩類化の要因解明、開発技術による土壌塩類化と農業生産の改善効果および土壌(化学性、炭素量、肥沃度)へ与える影響の評価に取り組む若手研究者を募集する。インドなどの開発途上地域において、これらの研究に前向きに取り組み、かつ国内外の研究者と協調して共同研究が進められるような協調性や優れた国際感覚を持つことが求められる。また、栽培・土壌学の知識および乾燥地域での研究経験を有しながらも、それらにとらわれず、新たな研究対象に果断に挑戦することを期待する。

【実施研究課題例】

  • 土壌塩類化対策技術の適用が農業生産性に及ぼす影響を土壌の化学性から評価
  • 疎水材(フィルター材)として地中に埋設される収穫残渣が土壌炭素量や土壌肥沃度に与える影響の評価

【キーワード】

専門分野:土壌化学、乾燥地、灌漑農業、塩類化、土壌肥沃度

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚。語学力(英語)。海外での研究経験があることが望ましい。

3 (経済性評価、技術需要)

 

社会科学領域、1名

令和3年10月1日から5年間

開発途上地域の農業は、農薬や農業機械など生産に要する資材および不足する食料を輸入する一方、生産した農産物を海外へ輸出するグローバルな環境の下に置かれている。このような状況では、市場が拡大して取引数量が増えると特定の農産物の生産に集中できる一方、気候変動による特定の生産物の減少や、疫病の拡大による需要の急減などによって様々なリスクにさらされることになる。このような不安定なビジネス環境を克服するために、生産を安定させる農業技術や、経営を安定させる技術選択・利用を支援するシステムなどの開発が求められている。

国際農研では、これまで、耕地内休閑システム、石積み工などの土壌保全技術、浅層暗渠排水による除塩技術を開発してきた。また、低土壌肥沃度の下での最適な作物栽培技術、地域資源を活用した家畜飼料の開発を行い、これらを組み合わせた営農支援システムを構築する予定である。これら技術の有用性を内外に示すためには、現地の農家を対象にした調査で収集したデータを基に、その効果を客観的に把握し、農産物の生産量の増加率、農業所得の増加額、価格変動の減少などの数値で明確に示す必要がある。さらに、当該技術採用に際して、農家による受容性やそれに影響する要因などを考慮する必要もある。

そこで、国際農研で開発される新たな技術の効果を現地の農家の視点で評価できる若手研究者を募集する。本研究者には、特定の手法に縛られず、幅広い計量分析手法を駆使することで、様々な新たに開発される技術の評価に取り組み、国内外の研究者と共同研究を進めるための協調性と国際感覚が求められる。

【実施研究課題例】

  • アフリカおよび南アジア地域において開発される土壌保全技術の経営的評価
  • アフリカ地域において開発される畑作支援システムの構築と経営的評価

【キーワード】

専門分野:技術評価、数理計画法、質的データ分析、農村調査、技術の社会受容性

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚。語学力(英語)。海外での研究経験があることが望ましい。

4 (糖化微生物利用高度化)

生物資源・利用領域、1名

令和3年10月1日から5年間

地球規模で進行する気候変動に対処し、更なる環境悪化を阻止するには、資源循環・環境保全技術の開発が不可欠である。農林水産業分野では、我が国においても「みどりの食料システム戦略」が策定され、資源利用効率を最大化し、持続的生産体系をもった農林水産業および持続可能な資源管理・調達が強く求められている。そのような状況の下、農林水産業に大きく依存する開発途上地域においては、大規模な農業生産により副次的に生じる膨大な量の農産廃棄物が、技術なき処理や放置・廃棄によって、温室効果ガスの発生源となり、焼却による煙害や健康被害なども引き起こす地球規模の環境リスクとなっている。

こうした状況を背景に、国際農研では、東南アジアを中心とした開発途上地域を対象に、農産廃棄物の適正な資源化を図るため、微生物糖化技術を開発し、これを利用したエネルギー生産や化成品原料に変換するカーボンリサイクル技術の開発に取り組んでいる。さらに、これら技術の高度化により、農産廃棄物からバイオ水素やバイオガスの直接生産を可能にする微生物糖化統合技術の開発を進めている。一方、開発された糖化微生物には、近年、植物成長促進、窒素固定、土壌栄養改善、レメディエーション、病害抵抗性誘導等の持続的農業生産体系へ寄与できる能力が備わっていることが明らかになってきた。

そこで、農産廃棄物の微生物糖化とバイオ水素・バイオガス生産の微生物糖化統合技術の開発を基軸に、糖化微生物の持つ植物栽培環境の改善に有益な潜在能力を明らかにし、作物栽培に利用可能な農業技術の開発を行うことにより、持続的農業生産の体系化を目指す若手研究者を募集する。本研究者には、微生物学、作物栽培学、植物病理学、分子生物学に関する専門的な知識を有し、植物栽培研究の経験があることが望ましい。また国内外の研究者と協⼒して共同研究を進められるスキルや国際感覚を持つことが求められる。将来的には、農産廃棄物の利用技術から作物栽培生産を含めた持続可能な農業体系の構築を先導できる人材となることが期待される。

【実施研究課題例】

  • 微生物糖化技術の高度化による農産廃棄物からのバイオ水素・バイオガス発酵技術の開発
  • 糖化微生物の能力を活用した作物栽培技術開発と評価
  • 糖化技術と作物栽培技術の技術体系化

【キーワード】

専門分野:微生物学、植物病理学、作物栽培学、分子生物学、バイオインフォマティクス

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚、語学力(英語)。海外での研究経験があることが望ましい。

5 (施設野菜・生育モデル)

熱帯・島嶼研究拠点、1名

令和3年10月1日から5年間

開発途上国における野菜生産は、農家の収入機会の創出と栄養改善、女性参加の観点から、近年ますますその重要性が増しつつある。一方、気候変動に伴う気象の不安定性は、特に高温や乾燥が卓越するような地域において、農家による野菜の安定生産を脅かしつつあり、施設園芸を組み入れた野菜の周年安定生産技術の開発が急務となっている。

日本国内では、日本の強みである野菜種苗、温室の被覆材、省エネルギー技術、ICT技術等を融合し、高温多湿環境下でも低コストで高効率な植物工場を開発するために、産官学の連携による「『知』の集積と活用の場による研究開発モデル事業」が実施され、国際農研熱帯・島嶼研究拠点(以下、拠点)は、平成28年度より5年間本事業に参画し、開発途上国と共通の気候条件を活用して熱帯・亜熱帯向け果菜類周年栽培技術を共同開発した。

上記背景を受け、気候変動が顕在化する東南アジア等開発途上国や類似した環境に位置する拠点において、熱帯・亜熱帯環境特有の高温、多湿、強日射などの環境要因が光合成、開花・結実など野菜の生育や果実への分配等に及ぼす影響を明らかにし、生理に基づいた熱帯・亜熱帯環境向け野菜の生育モデルを作成する若手研究者を募集する。また、本研究者は環境が類似した東南アジア諸国等へ本成果を適用することにより、現地における野菜の周年安定生産技術の開発に貢献することが求められる。将来的には環境のより厳しい中近東やアフリカ等地域で、異なる栽培上の問題や需要の状況を踏まえ、地域の状況に適合した施設栽培または露地栽培による野菜の安定生産技術の確立などの課題に果敢に取り組むことを期待する。

【実施研究課題例】

  • 高温多湿環境下でのトマト・イチゴなど果菜類の周年栽培に関する技術開発
  • 熱帯・亜熱帯地域に対応した果菜類の生育モデルの開発
  • 東南アジア等開発途上国への生育モデルの適用を通した果菜類の安定生産技術の開発

【キーワード】

専門分野:施設園芸、野菜栽培、栽培生理、環境制御、生育モデル

国際分野:国際共同研究や事業を推進、海外展開するための国際感覚、語学力(英語)。海外での研究経験があることが望ましい。

6(炭素循環評価)

 

熱帯・島嶼研究拠点、1名

令和3年10月1日から5年間

世界はカーボンニュートラルに向け大きく舵を切り始めた。我が国においても農林水産省は「みどりの食料システム戦略」を策定し、森林・農地・海洋における炭素隔離に向けて、ブルーカーボンの創出やバイオ炭の農地投入などを提案している。マングローブに代表される沿岸生態系では、地下部に貯留するブルーカーボン量が、地上部のグリーンカーボンよりも非常に多い。マングローブ林は熱帯島嶼の沿岸域に広く分布し、地球の炭素循環に大きな影響を与えているが、人間活動によりその面積が急速に減少している。4‰イニシアティブで提唱された通り、河川を通じて沿岸生態系に通じる農地の土壌は、多量の炭素を貯留できる機能を持つ。しかし、特に熱帯環境の農地土壌においては、不適切な管理が原因で、土壌有機物が減少し炭素が放出されている状況にある。

国際農研では、熱帯環境下における山から沿岸生態系までの負荷量の定量化とその削減技術の開発、長期有機物連用や不耕起が土壌炭素貯留へ及ぼす影響の定量化、マングローブの生長解析などの研究に取り組んでいる。

そこで、河川を通じて連環する森林・農地・沿岸生態系における炭素動態を踏まえた熱帯地域の保全戦略策定と炭素貯留を促進するため、山・里・海連環系における土地利用変化が沿岸生態系の炭素貯留量に及ぼす影響評価、農地-沿岸生態系における炭素貯留の技術開発・モニタリング・評価を行う若手研究者を募集する。本研究者は、熱帯・島嶼研究拠点をベースとして、炭素動態の評価に向けた環境試料の定性・定量分析を行う他、GISツールに加えて機械学習などの先端技術を駆使することにより、熱帯地域の沿岸生態系における広域炭素貯留量の評価を行う。また本研究者には、国内外の様々な分野の研究者と協力して研究を進める協調性と国際感覚を有することが求められる。加えて、行政、民間企業、農家、地域住民など様々なステークホルダーと円滑かつ良好に意見交換できる資質が期待される。

【実施研究課題例】

  • 熱帯環境下の沿岸生態系における炭素動態および広域炭素貯留量の解明
  • 熱帯環境下の農地生態系におけるバイオ炭施用による炭素貯留技術の開発
  • 熱帯地域における土地利用の変化が沿岸生態系の物質動態におよぼす影響評価

【キーワード】

専門分野:炭素動態、土壌有機物、GISによる広域評価、機械学習

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚、語学力(英語)。海外での研究経験があることが望ましい。

7 (甲殻類の増養殖)

水産領域

令和3年10月1日から5年間

エビやカニなどの甲殻類は、世界中で流通する国際商品であり、頑健な需要構造を持つ。また、新興国のような所得が増大している国々での需要は高まり続けている。そして、生産国も開発途上国から先進国まで幅広い。このなかでも、東南アジアのエビ養殖は代表的で、非常に重要な産業となっている。また、漁獲・養殖対象となっているエビ類やカニ類は開発途上国の漁村において重要な所得源となっている。

しかし、甲殻類、特にエビ類の高密度(商業)種苗生産・養殖においては、疾病によるへい死が大きな問題となっており、養殖経営体や産業に定期的に大打撃を与えていることから、この対策が必要不可欠となっている。また、カニ類の種苗生産での疾病のほか、それ以降の養殖での共喰いが大きな問題となっている。さらに、甲殻類の天然資源は、高価格で取引されるために常に乱獲状態に陥っている上、気候変動の影響を受けて資源のかく乱・悪化が生じており、種苗放流による効果的な増殖が求められている。

以上のような背景から、持続的な甲殻類の漁業・養殖業に貢献するために、耐病性の高い養殖用種苗作出のための選抜育種研究、そのために必須となる親エビ・カニ等の飼育技術、効率的な種苗生産技術や養殖技術、そして効果的な種苗放流・増殖を実現するために、甲殻類の生理・生態研究を行う若手研究者を募集する。本研究者には、国内外の研究機関、大学、企業、行政と連携しつつ、自ら主導して上記の問題解決に向けて研究・技術開発することが求められる。

【実施研究課題例】

  • 耐病性の高いエビ類の効率的な種苗生産の研究
  • 効率的に親エビやカニを飼育、受精・産卵させる研究や効率的な種苗生産、養殖技術の開発
  • 甲殻類の生態学の知識を活かした、放流種苗後の生残率を高めるためのフィールド調査研究

【キーワード】

専門分野:甲殻類、増殖・養殖、生理・生態学、(国内外)フィールド調査

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚、語学力(英語)。海外での研究経験があることが望ましい。