研究職員(若手育成型任期付研究員)募集

国立研究開発法人国際農林水産業研究センターでは、研究職員(若手育成型任期付研究員)の募集を行っております。
(この募集は令和元年11月28日(木)17時で締め切りました)

※この募集は令和元年11月28日(木)17時で締め切りました。

国立研究開発法人国際農林水産業研究センターでは、標記研究職員の募集を行っております。

任期付研究員の採用は、当センターが推進する研究活動の一層の推進、及び農林水産分野における優秀な研究者の育成を図る観点から実施するもので、今回の採用予定ポスト、応募条件、採用試験要領は下記のとおりです。 本募集により採用された任期付研究員については、任期満了の11ヶ月前までに希望者に対してテニュア審査を実施します。この審査に合格した者は任期を定めない研究員として継続採用します。

なお、任期中に出産のための特別休暇の取得、育児休業、介護休業等をしている期間があった場合、当該期間に相当する期間について任期の延長を申し出ることができます。

採用予定の研究領域及び研究業務内容等の詳細は採用情報をご参照ください

採用予定の研究領域及び研究業務内容等

公募番号 研究領域、ポスト、採用予定人数 雇用予定期間 研究業務内容・実施研究課題例・キーワード

1

農村開発領域、1名

令和2年4月1日
から5年間

道路や上下水道等の公共インフラの建設・維持管理が公的機関により担われるのに対し、農家の資産である農地と密接不可分な灌漑施設の建設・維持管理およびそれらを用いた水資源の配分には、農家の主体的参画が必須である。このため、これまでも農民参加型水管理(PIM)について研究が蓄積されてきている。

灌漑開発・農業用水管理は、国際農研が研究対象としている開発途上地域においては特に、水資源の賦存状況、灌漑施設群の整備状況、農家や農民組織の活動状況等、多様な要因の影響を強く受ける。このため、社会学的モデル手法を駆使した各種要因の関係性の分析と、分析に基づく解決策の提示が求められる。

上記の研究を実施するためには、水資源開発、農業用水管理について工学的視点に加えて社会学的視点からも総合的に分析できる研究者が必要不可欠であり、この分野の高い研究遂行能力を具備した若手研究者を募集する。また、これらの基礎的・基盤的な研究成果を開発途上地域の現場へ応用するため、現場に滞在しての調査に前向きに取り組み、かつ国内外の研究者と協調して共同研究が進められるような協調性や国際感覚に優れた人材となることを期待する。

【実施研究課題例】

○アジアの大規模灌漑システムにおける水利用および雨季・乾季の作付けの現状把握と分析、および今後の干ばつリスクや水需要の変化に応じた用水計画・作付け体系の提案

○灌漑用水の節減に加えてGHG排出抑制効果も期待出来る水稲栽培技術(AWD: Alternate Wetting and Drying)を農家に普及させるためのインセンティブ制度の研究

○アフリカの小規模ため池灌漑区における、ため池導入前後の水利用・作付の変化、導入後のため池管理の状況と問題点抽出、および改善手法の提案

【キーワード】

専門分野:水資源開発、農業水利、農民参加型水管理(PIM)、灌漑水適正配分、エージェントベースモデル(ABM)
国際分野:語学力(英語)、外国籍の者の場合日本語による一定の会話能力があることが望ましい、国際共同研究を推進するための国際感覚、海外研究活動への参画経験

2

社会科学領域または生産環境・畜産領域、1名

令和2年4月1日
から5年間

昨今のいわゆるスマート技術の進展は著しく、日本の農業においては生産の現場からポストハーベストまで、様々なIoTデバイス、AI学習ツールやロボット活用、そしてこれらのプラットフォームとしての通信インフラが開発、整備され、農業のスマート化が進んでいる。一方、開発途上地域の農業に目を向ければ、グローバル化によりハードウェアとしてのスマート技術は先進国と肩を並べる勢いで導入が進んでいるものの、メンテナンスを行う技術者やサービス、ビッグデータを扱う研究者等ソフトウェア部分が追いついておらず、せっかくのスマート農業技術の恩恵を十分享受できていない。

国際農研は開発途上地域において、資源を有効に利用し地球環境への負荷を低減するための農業技術の開発を行っている。最新のIoTデバイスを用いて、気象や温室効果ガスを含む農業生産環境のモニタリング、作物の生育、放牧家畜の行動パターンや肥育に関するデータを蓄積し、これらを用いたデータ駆動型の農業を目指す。これらのディメンジョンが異なるビッグデータを、AIによるアルゴリズムを用いて処理し、適地・適期・適量の資材投与や収穫、出荷タイミング等の農家やマーケット、あるいは行政の意思決定を支援するアプリケーションを開発する。アプリケーションの開発にあたっては、とりわけ地域の農家やマーケットのニーズが重要であり、情報工学と農学との間をつなぐ研究が求められる。

そこで、このような研究分野の橋渡しを行い、途上国において最新のスマート農業技術を十分活用するための研究を推進できる、柔軟な発想を持った若手研究者を募集する。

【実施研究課題例】

○プロジェクト実施国におけるIoTデバイスを用いた農業生産環境データの収集と蓄積

○当該国の農業生産環境情報の相互利用に資する、国際標準オープンデータプラットフォームの構築

○AIアルゴリズムによる鳥瞰動画情報を活用した、牧草地の生産性評価と放牧家畜の肥育評価のためのアプリケーション作成

○農林牧生産体系(Agrosylvopastoral System)における生産性の改善と環境への負荷低減を実現する土地・資源管理のための意思決定支援モデルの作成

【キーワード】

専門分野:農学、情報工学、情報科学
国際分野:語学力(英語)、外国籍の者の場合日本語による一定の会話能力があることが望ましい、国際共同研究を推進するための国際感覚と国際プロジェクトへの参画経験

3

生物資源・利用領域、生産環境・畜産領域または熱帯・島嶼研究拠点、1から2名

令和2年4月1日
から5年間

アフリカをはじめとする開発途上地域では、干ばつ、塩害、リン酸欠乏、鉄毒といった、水分や養分が不良な土壌環境の農地が多く、気候変動による悪影響に対しても脆弱である。そのため、イネ、ダイズ等の作物は生産の潜在能力を十分に発揮できず、十分な食料、栄養が確保されていない。また、こうした地域では、食料生産が小規模農家に大きく依存しており、その大部分が十分な収入がない貧困層である。

こうした問題を解決するために、近年発展が著しいバイオインフォマティックス、新育種技術等を活用して、水分や養分が不良な土壌環境条件に適応可能な高生産性作物や、栄養価の高い作物、機能性成分の含量が高く換金性が高い作物を開発し、開発途上地域における活用を図ることが期待されている。

この期待に応えるため、フェノタイピング技術、ビッグデータ解析、機械学習等のバイオインフォマティックス、ゲノム編集等の新育種技術も活用することで、不良土壌に適応した高生産性作物(イネ、ダイズ等)や、栄養価や機能性成分が高い作物を選抜して、これらの形質に関わる遺伝子を解明するとともに、不良土壌耐性作物、高栄養作物、機能性作物等のスマート育種を推進できる若手研究者を募集する。国内外の研究者と協調して共同研究を進め、将来、世界的な視野に立った作物ゲノム育種研究に関する国際共同研究を推進できる人材となることを期待する。

【実施研究課題例】

○遺伝資源のゲノム解析や比較ゲノム解析等による不良土壌耐性、栄養、機能性等に関わる遺伝子候補の探索とゲノム編集等を利用した原因遺伝子の解明

○新育種技術、バイオインフォマティックス等の活用による不良土壌耐性作物、高栄養作物、機能性作物等のスマート育種

【キーワード】

専門分野:イネ、ダイズ等作物、ゲノム解析、遺伝子機能解析、ゲノム編集、スマート育種
国際分野:語学力(英語)、外国籍の者の場合日本語による一定の会話能力があることが望ましい、国際共同研究を推進するための国際感覚

4

熱帯・島嶼研究拠点、1名

令和2年4月1日
から5年間

今後、世界の人口増加や新興国の経済発展等に伴う食料需要の増加のみならず、エネルギーの需要が急激に増大することが予想される。問題の解決には、農業生産性の低い不良環境地域における食料やエネルギーの増産が重要である。生産するバイオマスを砂糖生産だけではなくエネルギー生産にも利用できるサトウキビは、そのための重要な候補作物である。

国際農研ではこれまでに、サトウキビ野生種との種間交配を利用して、長い乾季や低肥沃土壌でもバイオマス生産性が優れる多用途型サトウキビ品種を開発するとともに、エリアンサス属植物やススキ属植物などとの属間交配を利用して、既存のサトウキビ品種より根系特性や耐寒性の改良が期待できる属間雑種系統群を開発してきた。アフリカをはじめとする開発途上地域では、低肥沃土や乾燥等の不良な環境条件下の農地が多く、気候変動による悪影響に対しても脆弱であるため、今後もこうした不良環境下でも良く育つサトウキビの育種素材を開発していくことが望まれている。

そこで、サトウキビ近縁遺伝資源等のバイオマス生産性やストレス耐性に関連する有用形質を効果的に利用して、不良環境下でバイオマス生産性が高い資源作物を開発するために、1)有用形質を持つ遺伝資源の探索と交配による新たな育種素材集団の作出、2)遺伝資源や育成素材の形質評価技術の開発と有望系統の選抜、3)有用形質に関連するDNAマーカーの開発、4)作出した有望系統について有用形質の効果を圃場環境下で明らかにする研究、に取り組む若手研究者を募集する。本研究者には、国内外の研究者と協調して共同研究が進められる協調性と国際感覚を持つとともに、サトウキビを研究対象とした経験の有無を問わず、新たな研究対象に果断に挑戦できる人材となることを期待する。

【実施研究課題例】

○製糖用サトウキビ、サトウキビ野生種、エリアンサス属植物、ススキ属植物等の有用遺伝資源を利用した新規育種素材集団の作出

○遺伝資源や育成素材の不良環境適応性等の形質評価技術の開発と有望系統の選抜

○不良環境適応性等の有用形質選抜のためのDNAマーカーの開発

○作出した有望系統における有用形質の効果の圃場条件下での解明

【キーワード】

専門分野:サトウキビ、遺伝資源、作物育種、形質評価、環境ストレス耐性、マーカー選抜
国際分野:語学力(英語)、外国籍の者の場合日本語による一定の会話能力があることが望ましい、海外での共同研究への適応性、国際的な情報収集能力

5

熱帯・島嶼研究拠点、1名

令和2年4月1日
から5年間

熱帯地域を中心とした開発途上地域におけるイネの安定生産は、世界的な貧困や飢餓に貢献する重要な課題である。イネの安定生産を実現するため、育種の基本となるイネ遺伝資源や育種素材を導入し、その育種利用を図っていくことが求められている。また1)遺伝的変異の多様性解明、2)有用形質や遺伝的要因の同定、3)育種素材の開発までを一つの体系として行っていく必要がある。

国際農研はこれまでに、国際研究機関(国際稲研究所やアフリカ稲センター)や開発途上地域の国立農業研究機関などとの国際共同研究を通して、広範なイネ遺伝資源を導入し、各国研究者とともに、遺伝資源の変異解明や育種素材の開発を行ってきた。これら遺伝資源の有用形質の遺伝的多様性や遺伝様式を明らかにしていくとともに、各国研究者との国際共同研究を通してこれら遺伝資源を活用し、熱帯の開発途上地域に適応したインド型イネ育種素材の開発や育種事業の促進を図って行く必要がある。また国内外の研究者が、これらの遺伝資源および育種素材にアクセスを可能にするために、保存や管理に加えて、データベースの構築を図っていく必要がある。

そこで、国際農研が保有する遺伝資源の有用形質を開発途上国の育種に利用できるようにするため、1)イネ遺伝資源や育種素材の有用形質に関する多様性と遺伝様式の解明、2)イネ遺伝資源を利用した熱帯地域に適応した育種素材の開発、さらに、3)イネ遺伝資源・育種素材の保存管理及びデータベースの構築による育種利用の推進、に取り組む若手研究者を募集する。本研究者には、国内外の研究者と共同研究を進めるに足る協調性と国際感覚を持つことが求められる。また、これらの研究活動を通して、イネ遺伝資源・開発研究に関する国際共同研究を推進できる人材になることを期待する。

【実施研究課題例】

○熱帯地域におけるイネの安定生産および高付加価値化に関与する遺伝様式の解明

○熱帯地域の不良環境に適応したイネ育種素材の開発

○イネ遺伝資源の収集・保存管理及びデータベースの構築を通した国内外共同研究の推進

【キーワード】

専門分野:イネ、遺伝資源、作物育種、多様性評価、遺伝様式、育種素材
国際分野:語学力(英語)、外国籍の者の場合日本語による一定の会話能力があることが望ましい、海外での共同研究への適応性、国際的な情報収集能力

6

熱帯・島嶼研究拠点または生物資源・利用領域、1名

令和2年4月1日
から5年間

生体情報計測(Phenotyping)・診断は、育種や栽培現場において最も重要なことである。育種ニーズの多様化やIT技術の高度化に伴い、Phenotypingを効率的、あるいはこれまでと違った視点でより正確に評価する手法の開発が求められる。近年、遺伝的特徴(=ゲノム情報)に関する解析手法の発展に伴い、大規模な遺伝情報を低コストで手にすることができるようになった。そのため、Phenotypingによって得られた生理的・形態的特徴をゲノム情報に関連付けて選抜することによって、より効率的な育種が可能となる。またPhenotypingを非破壊で行うことにより、効率的な栽培管理や作物モデルと連携した収量予測等が可能となる。

国際農研ではこれまでに、開発途上地域の国立農業研究機関などとの国際共同研究等を通してイネ、熱帯果樹やサトウキビ等の遺伝資源を導入し、国内外研究者とともに育種素材の開発を行ってきた。さらに、遺伝資源の生理・形態学的特徴づけを迅速に行い、遺伝的多様性や遺伝様式を明らかにするとともに、特徴づけの結果を栽培管理や環境制御に役立ことが必要である。また、これらの成果を開発途上地域における育種や栽培管理技術の開発に結びつけることが必要である。

そこで、国際農研が保有する遺伝資源の有用形質を開発途上国の育種や栽培現場に利用できるようにするため、1)機械学習を活用して様々な特徴量の抽出および効率的な形質調査・生体情報計測技術の開発、2)開発途上国での利用を想定したアプリや簡易診断手法の開発、に取り組む若手研究者を募集する。本研究者には、特定の手法に縛られず幅広い機械学習手法を駆使することで、様々な作物の研究開発に柔軟に取り組み、国内外の研究者と協調して共同研究を進めるための協調性と国際感覚を持つことが求められる。また、育種、栽培学研究の経験の有無を問わず、新たな研究対象に果断に挑戦することを期待する。

【実施研究課題例】

○環境制御温室におけるトマト・イチゴ等の継時的非破壊生育調査・形態測定法の開発

○イネ、サトウキビ遺伝資源の非破壊形態測定、収量構成要素の簡易測定技術の開発

○画像解析を用いた熱帯果樹遺伝資源の3D立体構造解析、花器形態測定法の開発

【キーワード】

専門分野:画像解析、機械学習、遺伝資源、形質評価、非破壊測定、データベース
国際分野:語学力(英語)、外国籍の者の場合日本語による一定の会話能力があることが望ましい、国際共同研究を推進するための国際感覚

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