研究職員(若手育成型任期付研究員)募集要領

国立研究開発法人国際農林水産業研究センターでは、標記研究職員の募集を行っております。

 国立研究開発法人国際農林水産業研究センターでは、標記研究職員の募集を行っております。

 任期付研究員の採用は、当センターが推進する研究活動の一層の推進、及び農林水産分野における優秀な研究者の育成を図る観点から実施するもので、今回の採用予定ポスト、応募条件、採用試験要領は下記のとおりです。。

研究業務内容等の詳細は採用情報をご参照ください。

採用予定の研究領域及び研究業務内容等

公募番号 研究領域、ポスト、採用予定人数 研究業務内容・実施研究課題例・キーワード

J0
(国際農林水産業)

採用候補者の専門性等により、採用後決定、若干名

国際農林水産業研究センター(国際農研)は、熱帯農業研究センターとして発足して以来、50余年にわたり熱帯・亜熱帯地域及び開発途上地域における農林水産業技術の向上のための研究開発で我が国の中核的な役割を担ってきた。

第5期中長期目標(令和3~7年度)では、地球規模の食料・環境問題の解決を目指して効果的・集中的な研究開発を行うとともに、関連情報の収集・発信等の機能の強化に取り組むこととしている。近年、開発途上地域の農林水産業を取り巻く環境は激変しており、食料システムの転換、分野横断的な学際的研究開発等、従来の農林水産業研究の枠にこだわらない、柔軟で斬新な発想に基づく革新的な研究開発が求められている。

これまで国際農研では、研究分野を特定した研究職員の募集を行ってきたが、若手研究者の自由な発想を活用するため、広く門戸を開放して、専門分野や研究課題を限定しない若手任期付き研究職員(任期5年、若干名)を募集する。

本研究業務に応募を希望する者は、国際農研が第5期中長期目標期間で実施する業務(研究プロジェクトの一部など、ホームページなどを参照)に対して、自らの専門知識・経験を活かしたどのような貢献ができるかをアピールすることを求める。提案は、国際農研の第5期中長期目標の達成に資するものとするが、現行目標の枠を越えた革新的な技術開発や研究手法が含まれる提案も妨げない。

【実施研究課題例】

  • 特に示さない

【キーワード】

専門分野:開発途上地域、地球規模課題、分野横断的、破壊的イノベーション

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚、語学力(英語)、海外での研究経験があることが望ましい。

J1
(農業水文)

農村開発領域、1名

「水」の確保は、農業を行う上で最も重要なことの一つである。

近年の気候変動に伴い頻発する洪水や干ばつにより土地の劣化が進み、食料安全保障に影響を与えており、これに対応するため、持続可能な土地管理を進め、砂漠化などの土地の劣化を防ぎながら、食料安全保障を強化することの重要性が指摘されている。

開発途上地域では、その地域の自然条件に応じた営農、水利用が行われているが、今後、気候変動に伴い、洪水や干ばつといった極端現象は増加することが予測されており、それに対応した営農や水資源の利用が求められている。そのために、現地での計測に基づく水文、水環境条件の把握と現状の営農体系を評価した上で、モデルを用いた将来予測を行い、予想される水文、水環境の変化に適応した対策を提案する必要がある。

そこで、これまで国際農研が行ってきた気候変動対応の技術を踏まえ、現地機関と共同で、1)水文モデルにより河川の流量変動と灌漑可能水量を予測するとともに、2)ドローンなどのリモートセンシングによりイネの生育をモニタリングし、3)干ばつ・洪水がイネの生育に及ぼす影響と灌漑排水施設が干ばつ・洪水被害の軽減に果たす役割を評価することに取り組む若手研究者を募集する。

本研究者には、これらの基礎的・基盤的な研究を行い、その成果を開発途上地域の現場へ応用するため、現場に滞在しての調査に前向きに取り組み、かつ国内外の研究者と協調して共同研究が進められるような協調性や優れた国際感覚を持つことが求められる。また、水文・水資源学研究の経験を有しつつ、新たな研究対象に果断に挑戦することを期待する。

【実施研究課題例】

  • アジアモンスーン地域等における水文モデルを活用した河川の流量変動と灌漑可能水量の予測
  • ドローンなどのリモートセンシング技術を活用したイネの生育モニタリング
  • 干ばつ・洪水がイネの生育に及ぼす影響と灌漑排水施設が干ばつ・洪水被害の軽減に果たす役割の評価

【キーワード】

専門分野:水文学、灌漑排水、ドローン、生育モニタリング、影響評価

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚、語学力(英語)、海外での研究経験があることが望ましい。

J2
(地下水資源管理)

農村開発領域、1名

世界人口が増加の一途を辿る中、生産性の高い灌漑農業は世界の食料安全保障に大きく貢献してきた。しかし、安定的な農業生産に灌漑が必須となる乾燥地域では、過剰灌漑や排水不良など、不適切な水管理による土壌の塩類化が深刻な課題となっている。さらに、灌漑水を地下水に依存する地域では、降雨に見合わない過剰取水により、地下水位の低下や水質の悪化(塩水化)が生じており、水資源のひっ迫が深刻化している。これらの影響は開発途上地域で大きく、その対策が急務となっている。

土壌塩類化の軽減には、「排水改良による塩分除去」、「節水による塩分流入の抑制」が有効であり、ひっ迫する地下水資源の有効活用には、「地下水動態の把握」と「地下水動態に応じた適切な取水」が必要となる。しかし、開発途上地域の多くの農家は、資金および労働力が不足しているため、これらの対策が不十分な状況にある。

このため、乾燥地域の灌漑農地において、土壌塩類化と地下水資源のひっ迫に対処し、持続的な土地管理を実現するには、農家が営農活動の一環として取り組める低コストの対策技術を構築する必要がある。

これらの課題を強力に推進するため、乾燥地の灌漑農地において、土壌塩類化および水資源のひっ迫が深刻化する地域を対象に、地下水動態の正確な把握と可視化、最適な取水時期の推定、そして、開発技術の導入が地下水に及ぼす影響の評価に取り組む若手研究者を募集する。本研究者には、インドなどの開発途上地域に滞在して、これらの研究に前向きに取り組み、かつ、国内外の研究者と協調して共同研究が進められる協調性や優れた国際感覚を持つことが求められる。また、水資源学の知識および海外での研究経験を有しながらも、それらにとらわれず、新たな研究対象に果断に挑戦することを期待する。

【実施研究課題例】

  • 乾燥地の地下水灌漑地域を対象に地下水動態を把握・解析し、地下水動態に応じた最適な取水時期など推定する。
  • 地中灌漑および浅層暗渠よる低コスト塩類化対策技術の導入が地下水に及ぼす影響を評価する。

【キーワード】

専門分野:灌漑農業、塩類化、地下水、水資源、水管理

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚。語学力(英語)。海外での研究経験があることが望ましい。

J3
(熱帯作物分子育種)

 

熱帯・島嶼研究拠点、1名

これまで、食料生産に大きな役割を果たしてきたのは作物の育種技術の開発と品種改良である。近年、分子育種、すなわち分子生物学の知見を応用した育種技術が確立されつつあり、食料供給を巡る課題をより迅速に、より低コストに解決できると期待されている。中でもゲノム編集をはじめとする農業生産上の有用な形質を精確かつ効率よく導入することができるNPBT(New Plant Breeding Techniques)は、慣行の育種法と同等の最終産物を効率的に得られることから注目を集めている。

国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点は、国立研究開発法人としては唯一亜熱帯下に立地する農業研究拠点である。その気候条件および充実した遺伝子組換え実験施設を活用し、分子育種的手法を用いたインド型イネ、サトウキビ等熱帯作物の改良に取り組んでいる。具体的には、乾燥、高温、および貧栄養土壌等非生物ストレス抵抗性付与、および栄養成分の改良等である。

本研究課題では、国内外の研究機関と連携し、熱帯作物の分子育種の技術的基盤構築および分子育種的手法を活用した遺伝子機能解析および有用形質付与に取り組む。将来的には、ゲノム編集をはじめとするNPBTの社会実装に取り組むことを期待する。また、食料・栄養問題解決に向けた分子育種利用に関する研究テーマの提案も歓迎する。なお、熱帯作物を対象とした研究経験は問わないが、遺伝子組換え実験に習熟し、かつ実際の作物を対象に研究を行える人材を募集する。

【実施研究課題例】

  • 熱帯作物における効率的なゲノム編集手法確立
  • ストレス抵抗性および高機能性に関する遺伝子の探索および機能解析
  • 分子育種的手法を用いた新規形質付与
  • ゲノム情報を利用した分子育種技術開発

【キーワード】

専門分野:インド型イネ、サトウキビ、分子育種、ゲノム編集、遺伝子組換え

国際分野:国際共同研究を推進するための国際感覚、語学力(英語)。海外での研究経験があることが望ましい。

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