アフリカのための稲作を中心とした持続的な食料生産システムの構築【アフリカ稲作システム】

関連プログラム
食料

2022-07-27

背景

サブサハラアフリカでは、4人に1人が慢性的な飢餓状況にあり、世界で最も食料安全保障が立ち遅れています。地域の食料を安定的に確保し、SDGsに掲げられた飢餓の撲滅を実現するためには、不安定化する栽培環境に適応し、水や養分などの限られた資源を有効に活用できる食料生産技術が求められます。そこで、地域の基幹作物であるコメの増産と人々の栄養改善につながる新たな技術や知見を創出し、稲作を中心とした持続的な食料生産システムの構築を目指します。

サブサハラアフリカにおけるコメ(精米ベース)の生産量と消費量の推移

サブサハラアフリカにおけるコメ(精米ベース)の生産量と消費量の推移

(出典:USDA Production, Supply Distribution Online at https://apps.fas.usda.gov/psdonline/app/index.html#/app/home
不安定な水環境、養分供給に乏しい風化土壌、農家の肥料投入力の低さにより、イネの生産性が制限されている。

不安定な水環境、養分供給に乏しい風化土壌、農家の肥料投入力の低さにより、イネの生産性が制限されている。

プロジェクト目標

コメ生産量の増加に有効な水管理技術、育種素材および栽培技術と地域の限られた資源を有効活用して、栄養改善に資する稲作を中心とした持続的な食料生産技術を開発し、対象国に提供します。

不安定な生産環境への適応性や栄養性・市場性が強化された育種素材の開発

不安定な生産環境への適応性や栄養性・市場性が強化された育種素材の開発

水と土壌養分を有効に活用し、かつ、コメ増産と農家の栄養改善・所得向上に繋がる食料生産システムの開発と評価

水と土壌養分を有効に活用し、かつ、コメ増産と農家の栄養改善・所得向上に繋がる食料生産システムの開発と評価

研究課題構成

  • アフリカにおける水田稲作のポテンシャル解明とその最大化のための技術開発
  • アフリカの食料増産と栄養改善に資するイネと野菜の育種素材開発
  • 栄養改善と所得向上に繋がる資源利用に優れたイネ生産技術・システムの開発と影響評価

対象国

マダガスカル、タンザニア、ギニア

成果の対象者・受益者

プロジェクト実施国試験研究機関、普及組織(員)、他国試験研究機関、国際試験研究機関、国際開発プロジェクト

プロジェクトリーダー

辻本 泰弘(生産環境・畜産領域)

プロジェクトポスター

アフリカのための稲作を中心とした持続的な食料生産システムの構築【アフリカ稲作システム】

アフリカのための稲作を中心とした持続的な食料生産システムの構築【アフリカ稲作システム】

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プレスリリース

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(日本時間)
セミナー「栄養改善と生活向上に資するローカル・ランドスケープ由来の食利用を促進するための科学と伝統知の適用」
受付期間:
- (日本時間)
場所
ハイブリッド(ビジョンセンター日比谷会議室301号・およびオンラインWebex配信)
(100-0006 東京都千代田区有楽町1-5-1 日比谷マリンビル 3階)
イベント
開催日
(日本時間)
TICAD8 公式サイドイベント
「アフリカ農学と土壌肥沃度・貧栄養土壌管理の課題」
受付期間:
- (日本時間)
場所
オンライン(Zoom)  

現地の動き

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    789. エネルギー摂取と季節

    食料安全保障の1つの要素は「安定性」ですが、特に発展途上地域の小規模農家にとって、季節性は食の安定性に影響を及ぼす大きな要因です。収穫直後は食べることができたとしても、収穫前の時期には手に入らなくなってしまうことがあります。
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    788. マダガスカルの鉄過剰ストレス圃場において耐性イネ系統が発揮するメカニズムを解明

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研究成果情報