研究成果

マダガスカルでイネの新品種をリリース
― 養分欠乏下で高い生産性を示すイネ品種「FyVary」―

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お知らせ

令和3年11月26日
国際農
マダガスカル国立農村開発応用研究センター

 

マダガスカルでイネの新品種をリリース
― 養分欠乏下で高い生産性を示すイネ品種「FyVary」―

ポイント

  • 新規の水稲品種2点(FyVary32, FyVary85)を公式リリース
  • 新品種は土壌や肥料からの養分が乏しい環境でも優れた生産性
  • 生産農家に新品種の種子を渡し、認証種子生産を開始
  • リン不足などの養分欠乏に悩まされるアフリカの安定的イネ生産に貢献

概要

 国際農研は、マダガスカル国立農村開発応用研究センター(FOFIFA)及び国際稲研究所(IRRI)と共同で、新たな水稲品種を開発しました。2021年11月4日に、マダガスカルで品種登録され、同日、マダガスカル共和国の高等教育科学技術省事務次官及び農業畜産省農業総局長ら列席のもと、新品種が公表されました(写真1)。新品種は、マダガスカルの主食であるコメの生産性向上に貢献する成果として、農家や普及を担当する行政機関の関心が高く、新聞など現地メディアに取り上げられました。

 開発した新品種は、FyVary32とFyVary85の2点です(写真2)。FyVary(「フィヴァリ」と呼びます。)は、マダガスカル語で「良いお米」を意味します。
 FyVary32は、熱帯地域の主要な多収品種であるIR64にリン酸吸収を増大させるPup1遺伝子座(染色体領域)を導入した2系統を親とする交雑後代から選抜、育成されたものです。FyVary85は、IR64とリン欠乏環境でも優れたリン吸収能をもつ在来インド型イネ品種DJ123を親とした交雑後代から選抜、育成されました。両品種とも、マダガスカルをはじめアフリカの多くの水田稲作で問題となる土壌や肥料からの養分が乏しい環境でも優れた生産性を示します。
 マダガスカルの農家圃場で3作期18地点にわたる生産力試験を繰り返した結果、同国の主力品種であるX265(平均収量3.36 t/ha)に比べて、FyVary32は12%高い収量性(平均収量3.67 t/ha)と4日短い到穂日数(播種日から出穂日までの生育日数)、FyVary85は20%高い収量性(平均収量3.97 t/ha)と5日長い到穂日数をもつことが実証されました。さらに、農家への食味試験によって優れた嗜好性をもつことも確認され、マダガスカル農業畜産省種子管理委員会によって、マダガスカルの水稲農家へ普及できる可能性が十分に高いと判断されたことから、今回の品種登録に至りました。

 今後、国際農研は、FOFIFA、農業畜産省、及びJICA技術協力プロジェクト「コメセクター生産性向上及び産業化促進支援プロジェクト」と共同で、新品種の認証種子生産と農家への普及を進めます。
 マダガスカルは、一人当たりのコメ消費量が日本の2倍以上であり、国民の半数以上が稲作に従事する稲作大国です。しかし、国民の主食・主業であるイネの生産性が今日まで停滞しています。新品種が普及することで、マダガスカルの安定的なイネ生産及び同国の食料安全保障及び貧困削減に貢献することが期待されます。

<関連情報>

本研究は、運営費交付金プロジェクト「環境共生型稲作技術の創生」、「不良環境に適応可能な作物開発技術の開発」及び国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)の連携事業である地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)「肥沃度センシング技術と養分欠乏耐性系統の開発を統合したアフリカ稲作における養分利用効率の飛躍的向上」(研究代表者:辻本泰弘)の支援を受けて行われました。
 

問い合わせ先など

国際農研(茨城県つくば市)理事長 小山 修
研究推進責任者:国際農研 プログラムディレクター 中島 一雄    
研究担当者:国際農研 生産環境・畜産領域 マティアス ビスバ
      国際農研 生産環境・畜産領域 辻本 泰弘    
広報担当者:国際農研 情報広報室長 大森 圭祐    
      Tel:029-838-6708   FAX:029-838-6337 
      プレス用 e-mail:koho-jircas@ml.affrc.go.jp
 

本資料は、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブ、筑波研究学園都市記者会に配付しています。

※国際農研(こくさいのうけん)は、国立研究開発法人 国際農林水産業研究センターのコミュニケーションネームです。
新聞、TV等の報道でも当センターの名称としては「国際農研」のご使用をお願い申し上げます。

【参考資料】

写真1

新品種のFyVary32(左側と手前)とFyVary85(右側と奥側)
新品種発表会で高等科学技術省事務次官が新品種の種子を生産農家に受け渡し

写真2

FyVary32(左から籾、玄米、白米)
FyVary85(左から籾、玄米、白米)