不良環境に適応可能な作物開発技術の開発(不良環境耐性作物開発)

関連プログラム
農産物安定生産

2019-10-10

不良環境に適応可能な作物開発技術の開発(不良環境耐性作物開発)

 開発途上国を中心とした世界の人口増加と慢性的な栄養不足、新興国の経済成長、異常気象の頻発等により、中長期的には世界の食料需給がひっ迫することが懸念されています。そのため、食料・栄養不足が集中している開発途上地域における農作物の安定かつ持続的な生産が喫緊の課題になっています。しかしながら、熱帯等の開発途上地域は、低肥沃土や乾燥等の不良な環境条件下の農地が多く、気候変動による悪影響に対しても脆弱であるため、農業生産の潜在能力が十分に発揮されず生産性が低いことが問題になっています。
 こうした問題を解決するために、本プロジェクトでは干ばつ、塩害、不良土壌等の環境ストレスに適応可能な高生産性作物を開発するための先導的な育種素材等を開発します。具体的には、イネについては、高温耐性、乾燥耐性、リン酸欠乏耐性、高窒素利用効率等の育種素材や遺伝子素材を開発します(図1)。ダイズについては、乾燥耐性、耐塩性等の育種素材や遺伝子素材を開発します(図2)。また、先導的な育種素材等の開発を支える基盤技術として、非GM作物作出技術や圃場環境を温室で再現した作物生育評価技術等を開発します。さらに、栄養価の高い不良環境耐性作物の開発に向けて、トマト、アマランサス、キヌアなどの遺伝資源の評価、利用にも取り組みます。
 プロジェクトの成果は、低肥沃土や乾燥等の不良な環境条件下の農地を抱える東南アジア、中国、ブラジル等のイネ、ダイズ等の生産拡大と生産性の向上、及び世界と我が国の食料安全保障の確保に貢献します。

図1 早朝開花性遺伝子を導入したイネ系統

図2 耐塩性遺伝子を導入したダイズ系統

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