サトウキビ白葉病は、世界第2位の砂糖輸出国であるタイを中心とするアジア地域で大きな被害を出す、サトウキビの重要な虫媒伝染病です。病原体はファイトプラズマで、葉が白化する症状を経て枯死します。現在のところ、感染後の有効な治療法はありません。激発地では、罹病率がほぼ100%に達し収穫が不可能になる圃場も見られます(写真1)。国際農研では、第3期中期計画から第4期中長期計画期間にかけて、タイ国立コンケン大学、タイ農業協同組合省傘下のタイ農業局およびタイ農業普及局、タイ工業省傘下のサトウキビ・砂糖委員会事務局等と共同で、サトウキビ白葉病の防除技術を開発するための研究を行ってきました。その結果、健全種茎を大量増殖し合理的な方法で配布することが、サトウキビ白葉病の対策として効果的であることを見出し、そのための技術を開発しました(媒介虫の移動分散能に関する研究成果、媒介虫に対して高い効果を示す殺虫剤に関する研究成果)。この度、これらの成果をマニュアルとしてまとめ、サトウキビ・砂糖委員会事務局から発行しました(写真2)。
本マニュアルは、3章から構成され、同じ内容のタイ語版と英語版があります。第1章では「圃場における健全種茎増殖技術および効率的な配布法」、第2章では「サトウキビ白葉病病原体の簡易検出法」、第3章では「生長点培養法による健全種苗の生産法」について解説しました。タイ語版はタイ国内での利用、英語版はサトウキビ白葉病が拡散しつつあるアジア諸国での利用が期待されます。
タイ語版へのリンク(サトウキビ・砂糖委員会事務局のサイトへ移動します):
http://www.ocsb.go.th/upload/journal/fileupload/12685-6745.pdf
英語版へのリンク(サトウキビ・砂糖委員会事務局のサイトへ移動します):
http://www.ocsb.go.th/upload/journal/fileupload/12686-3399.pdf