JIRCASとタイ農業局による多用途型サトウキビの未来に関する共同ワークショップ開催の報告

関連プログラム
食料安定生産
国名
タイ

JIRCASとタイ農業局との共同研究で開発された、多用途型サトウキビ(Multi-Purpose Sugarcane、以下MPSと表記)*の実用化を進めるための議論を行うことを目的として、日本とタイから約40名の参加者を得て、本ワークショップが開催されました。

日時
2013年9月19日
開催場所
コンケン畑作物研究センター、会議室(タイ国コンケン市)
主催・後援等
国際農林水産業研究センター(JIRCAS)、タイ農業局コンケン畑作物研究センター

会議概要

JIRCASとタイ農業局との共同研究で開発された、多用途型サトウキビ(Multi-Purpose Sugarcane、以下MPSと表記)*の実用化を進めるための議論を行うことを目的として、日本とタイから約40名の参加者を得て、本ワークショップが開催されました。

タイ農業局畑作物研究所トンチャイ所長の挨拶では、長年のJIRCASの共同研究とMPS新品種開発への貢献に対して謝辞が述べられました。これに対しJIRCAS安中理事が、タイ農業局と参加者に対して感謝の意を表しました。続いてJIRCASとコンケン畑作物研究センターからMPS開発とその特性の紹介があり、(株)アサヒグループホールディングスからMPSの利用法のひとつと考えられる、砂糖とエタノールの新規生産システムが紹介されました。さらに、JIRCASからMPSの栽培・評価・情報交換を進めるためのMPSネットワークの立ち上げが提案されました。

午後のセッションでは、農研機構九州沖縄農業研究センターとコンケン大学農学部から、飼料用サトウキビ開発とその利用に関して報告され、(株)三井製糖から、サトウキビから抽出した成分の利用について紹介されました。さらに、JIRCAS総合防除プロジェクトの成果として、疫学的調査によるサトウキビ白葉病のリスク評価が報告されました。タイの製糖工場関係者も多数出席した本ワークショップでは、MPSの多面的利用法が紹介されるとともに、今後の実用化に向けた取り組みについて検討されました。

さらに、本ワークショップにおいて、杉本明氏(元 JIRCAS熱帯育種素材研究管理担当)に、サトウキビ野生種の収集と利用に関するJIRCASとタイ農業局の永年の共同研究(1997-2013)への貢献に対して、タイ農業局長から感謝状と盾が贈られました(授与は、代理の畑作物研究所トンチャイ所長から)。

ワークショップ参加者の全体写真

杉本氏への感謝の盾の贈呈

製糖用品種(左)とMPS(右)の1回目株出し栽培における生育の違い (コンケン畑作物研究センター、2013年9月)

*用語説明: MPSは、サトウキビ野生種を用いた種間交雑の後代から選抜しました。既存の品種と比べると、繊維分が高く、糖度が低いが、面積あたりの砂糖収量は多く、厳しい乾季を持つ東北タイでも、株出し多収栽培が可能です。砂糖とエタノール生産やバガスの発電利用と言った多様な利用に、より適した新しいサトウキビです。

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