[畑作安定供給] 食料供給安定・向上を目指した畑作物育種技術の開発
関連プログラム
食料安定生産
2021-03-02
作物の生産を阻害する要因には、病害虫等による生物的ストレス、並びに干ばつや塩害等の環境(非生物的)ストレスがあります。本プロジェクトでは、持続的な生産の確保を目指し、特にダイズ等の主要な畑作物の生産性への被害を軽減するための効率的な品種育種技術及び優良育種素材を開発します。
ダイズは世界4大作物の1つで、ここ数年、南米で世界のダイズの約半分(1億トン前後)が生産されています。しかしながら、2000年代になって、南米の主要生産地帯では、ダイズさび病が干ばつと並ぶ大問題となり、安定生産を脅かしています(図1)。さび病による被害を低減するため、まず、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ等の主要生産国でのさび病菌の病原性の変異を解析し、さらに、実用的な品種育成を目標に、高度の抵抗性を示す育種素材の開発を行います。
一方で、干ばつや塩害等の環境ストレスに対抗するため、ダイズの耐塩性遺伝子の解析や複数の耐性遺伝子の集積系統の作出を行います(図2)。また、合成コムギ由来の育種素材の評価・選抜による耐乾性育種素材の開発を目指します。さらに、ソルガムのリン欠耐性やコムギの耐湿性に関連した研究も実施します。
ダイズやコムギの大部分を輸入に依存している日本にとって食料安全保障にも係わる課題です。