「ガーナ国におけるJIRCAS研究成果発表会」

関連プログラム
食料安定生産
国名
ガーナ

ガーナ国アクラ市にJIRCASアフリカ連絡拠点が開設されて、今年7月で丸3年となりました。その間、ガーナ国においては、稲作推進条件整備調査、肥沃度資源調査、アフリカ低湿地稲作(FS)、アフリカ内水面養殖などの調査・研究が行われ、第3期中期計画の初年度である2011年度からは、食料安定生産プログラムの旗艦プロジェクトであるアフリカ稲作振興プロジェクトおよび資源環境管理プログラムのアフリカサバンナ農業プロジェクトの保全農業サブプロジェクトがガーナ国で開始されました。 本発表会は、各個別プロジェクトの活動内容とともに、JIRCASが全体としてどのような取組をしているのかを現地の関係者に示すのが目的です。

“Workshop on Collaborative Research Activities of JIRCAS in Ghana”
-Technologies to enhance Rice production and to improve Savanna agriculture in Africa with various approaches-

日時
2012年9月27日 9:00-17:00
場所
ガーナ国アクラ市 Travel Xpress Hotel会議室
参加機関
科学産業評議会(CSIR)および傘下の研究所、大学、食料農業省(MOFA)、ガーナ灌漑公社(GIDA)、日本大使館、 JICA、国際機関(FARA、IWMI、IFPRI、FAO、WFP、CIDA)、日本企業およびNGO、JIRCAS関係者

概要

ガーナ国アクラ市にJIRCASアフリカ連絡拠点が開設されて、今年7月で丸3年となりました。その間、ガーナ国においては、稲作推進条件整備調査、肥沃度資源調査、アフリカ低湿地稲作(FS)、アフリカ内水面養殖などの調査・研究が行われ、第3期中期計画の初年度である2011年度からは、食料安定生産プログラムの旗艦プロジェクトであるアフリカ稲作振興プロジェクトおよび資源環境管理プログラムのアフリカサバンナ農業プロジェクトの保全農業サブプロジェクトがガーナ国で開始されました。
本発表会は、各個別プロジェクトの活動内容とともに、JIRCASが全体としてどのような取組をしているのかを現地の関係者に示すのが目的です。

会議は、二つのセッションからなり、第1セッションでは、資源環境管理プログラムについての紹介の後、アフリカサバンナ農業プロ(保全農業サブプロジェクト)の活動内容を紹介しました。保全農業に関わる家畜の役割に関して質問がなされ、肥沃度の低い地域では畜力および肥沃度維持のために家畜が重要であるとの論議になりました。新しい技術が開発された場合にどのように普及に移していくかという点も議論となりました。

第2セッションでは、食料安定生産プログラムについての紹介の後、アフリカ稲作振興プロのサブプロジェクトごとの発表に進みました。セッション2-Aでは氾濫原低湿地稲作の活動内容に関して紹介しました。洪水による化学肥料の流亡の懸念に関する質問には、水稲作には肥沃な氾濫水を利用しており、大きな問題になることはない、との回答がありました。施肥法については、生育に効果的な微量要素を特定していると説明したところ、関連してC/N比や氾濫の開始時期および継続期間の重要性について指摘があり、水資源の有効利用を含めた効果的な肥培管理を行うための土地評価を目指していることを説明しました。未利用の肥沃な低湿地の利用や不耕起播種の試みは評価するとのコメントが会場からなされ、プロジェクト側からは、総合栽培モデルの開発を目指しているとの説明がなされました。

セッション2-Bでは低リン酸耐性イネの研究活動に関しての発表が行われました。播種密度の高さに関して質問があり、当該研究は育種的品種評価を目的としており、農学的評価は今後の課題であるとの回答がなされました。また、低リン酸耐性稲では、穀粒へのリンの転流が減少し、栄養的価値が低下するのでは、という質問には、穀粒に含まれるリンはフィチン酸塩として存在し、これは人間がもともと吸収できないものであり、栄養的価値の問題とならない、との回答がなされました。

セッション2-Cでは低湿地稲作(低コスト型稲作、機械化、稲作推進条件整備調査、肥沃度向上、水資源)に関する活動内容に関しての発表が行われました。(1)プロジェクトサイトで洪水の被害があったとの発表に対するサイトの決定方法についての質問には、農家の要望などいくつかの基準でサイトを選択したと回答されました。また、(2) 深水に強い品種の選択や栽培適地の選択が重要ではないかとの質問には、農家の選択の余地を高めるためには、営農技術を中心とした教育が重要であると回答されました。また、(3) 今後の目標は何かとの質問へは、収量の増加も重要であるが、今後はポスト•ハーベスティングやヴァリュー•チェインにも重点を置きたいとの回答がなされました。また、稲作推進条件整備調査のマニュアルの入手法について質問がなされ、3000部印刷(ガーナ食料農業省へ2700部配布済)しており、また、JIRCASのウェブサイトでダウンロードができるとの回答がありました。

全体としては、ガーナ国の行政機関(MOFA)、研究機関(CSIR)からの参加者からの質問、議論が活発に行われ、また国際機関からの質問も多くあったことから、参加者の興味を惹く発表内容であったと同時に、JIRCASの活動が参加者に理解されたと考えられます。

会議の様子

研究成果発表の様子

関連するページ