日本熱帯農業学会第190回研究集会の報告

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2012年4月1日(14:30-17:30)に東京農工大学府中キャンパス第1講義棟24号講義室において、日本熱帯農業学会第190回研究集会を共催しました。研究集会のテーマは、「アフリカの低湿地における稲作の面的拡大の可能性と課題」としました。

日時
2012年4月1日 14:30-17:30
場所
東京農工大学府中キャンパス

概要

2012年4月1日(14:30-17:30)に東京農工大学府中キャンパス第1講義棟24号講義室において、日本熱帯農業学会第190回研究集会を共催しました。研究集会のテーマは、「アフリカの低湿地における稲作の面的拡大の可能性と課題」としました。

本研究集会は、JIRCASが2009年からガーナのタマレで実施しているアフリカ稲作振興プロジェクト課題IIIの共同研究テーマ「アフリカの低湿地氾濫原における低投入稲作技術体系の開発」の成果について関係者に広報するとともに、参加者との意見交換を通して、今後のプロジェクトの方向性の基盤を構築することを目的に実施しました。司会は浅沼修一氏(名古屋大学農学国際教育協力研究センター教授)及び伊藤治氏(国連大学シニアリサーチフェロー)に務めていただきました。その結果、55名の来場者があり、その多くは、大学教員、大学生、都道府県試験場、コンサルタント会社、新聞等報道機関、商社、および独法農業等研究機関からの参加者でした。

本集会においては、まず大矢徹治氏(JIRCAS)らが、アフリカ稲作振興とわが国の国際支援について、最新の情報を紹介しました。次に、角田毅氏(山形大学)らが、プロジェクト対象農村の経営比較に基づく、複合化の進展と稲作導入農家の特質について発表しました。稲作適地判断のための研究分野からは、山本由紀代氏(JIRCAS)らが、地理的情報に基づく湛水可能性の評価を、林慶一氏(国際稲研究所/JIRCAS)らが、氾濫低湿地の土壌肥沃度と稲作導入の可能性を、また、辻本泰弘氏(JIRCAS)らが土壌化学性からみたイネ生産ポテンシャルの空間変異についての研究成果を発表しました。さらに、作物生産向上のための研究分野からは、天然資源の投入に際し、八田珠郎氏(JIRCAS)らは、ガーナ産リン酸塩鉱物の農業利用への可能性について、新知見も含めて紹介しました。導入品種の選定においては、坂上潤一氏(JIRCAS)らは、イネの湛水適応性の向上のための品種適正について発表しました。最後に、現地で問題となっている雑草防除に関連して、サバンナ低湿地イネ圃場での雑草相の特徴と雑草データベースの構築を森田弘彦氏(秋田県立大)らが、現地の雑草防除事例と主要雑草に対する除草剤の効果について、内野彰氏(中央農研)らが、それぞれ発表しました。

総合討論においては、アフリカにおける稲作の面的拡大をテーマに行いました。その中で、本プロジェクトで開発する技術体系(不耕起直播)についてたくさんの有意義な意見が会場から述べられました。また、技術移転の方向性やその手法などについても質問がありました。討論を通して全般的には、来場者の皆様においては本プロジェクトの成果や方向性に対してご理解いただき、高い評価をしていただきました。今後は、これらの貴重な意見や交流をもとに、さらにプロジェクトを推進させていくことが重要であると感じました。

副プロジェクトリーダー 坂上潤一
2012年4月10日

大矢徹治氏

角田毅氏

林慶一氏

山本由紀代氏

辻本泰弘氏

八田珠郎氏

坂上潤一氏

森田弘彦氏

内野彰氏

総合討論

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