アフリカにおける「かんがいスキームにおける水資源利用効率化に資する技術マニュアル」を公開

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国際農研は、今後深刻化すると思われる水資源制約や施設劣化に対応した水利用効率向上に資するいくつかの手法を説明した「かんがいスキームにおける水資源利用効率化に資する技術マニュアル」を公開しました。

アフリカにおいては、人口増加やコメ食の広がりを受け、コメの需要が増え続けています。わが国は、平成20年の第4回アフリカ開発会議(TICAD4)で「アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)」を立ち上げ、サブサハラ・アフリカのコメの生産量を2018年までに1,400万tから2,800万tに倍増することを目標とし、これを達成しています。しかし、コメの需要が供給を大幅に上回る状況を踏まえ、平成31年に開催されたTICAD7では、2030年までにさらなるコメ生産の倍増を目標(米生産目標5,600万t)としたCARD2が発足しました。国際農研は、アフリカに関係する10の国際機関・研究所とともにCARD運営に協力しています。

これまで、アフリカでのコメの需要拡大に対応し、援助機関を中心に水田の開発と灌漑施設の整備、水稲栽培技術の普及・改善が進められ、比較的高い収量を実現している地域もあります。一方で、灌漑が整備された地域において、年月が経過するとともに、河川流量の不安定化や水利施設の劣化に起因する利用可能水量の低下、灌漑区上流部の過剰取水と下流部での水不足といった上下流間の水配分の不均等が問題となり、当初期待された成果が上がっていない地域が数多くみられます。

この要因について分析し対策を検討することは、水資源利用の効率化に資するほか、効果的な援助や効率的な水資源の利用、ひいてはアフリカにおける食料の安定的な供給に貢献することができます。計画した面積にかんがいができない要因は、水の運搬経路別に水源、取水施設、水路、ほ場に掛かるものに分けられます。

国際農研は、農林水産省の補助を受け、タンザニア国ローアモシ地区を研究対象地区として上記要因の分析と対策の検討を実施(2017~2022年度)するとともに、一部の対策をマニュアルとしてとりまとめました。分析・検討は、タンザニアの農業省(Ministry of Agriculture)、国家灌漑委員会(National Irrigation Commission)、アルーシャ工科大学(Arusha Technical Collage)、タンザニア農業研究所セリアンセンター(Tanzania Agricultural Research Institute Selian Center)及びキリマンジャロ農業研修センター(Kilimanjaro Agricultural Training Center)と共同で実施しました。

マニュアルは、内容/利用者により以下に区分されます。

  1. 水路やほ場の工学的改良/利用者:国家灌漑庁などの政府技術者
  2. 水管理改善/利用者:政府職員(政府技術者、普及員)、水利組合
  3. 節水栽培/利用者:政府職員(普及員)、農家

なお、タンザニア国には日本の技術協力で作成された以下のマニュアルがあります。

本マニュアルは、今後深刻化すると思われる水資源制約や施設劣化に対応した水利用効率向上に資するいくつかの手法を説明したマニュアルであり、上記マニュアルを補完するものです。

https://www.jircas.go.jp/ja/publication/manual_guideline/contributing_water_use_efficiency_ja

かんがいスキームにおける水資源利用効率化に資する技術マニュアル

かんがいスキームにおける水資源利用効率化に資する技術マニュアル

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