研究成果情報 - マダガスカル
国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
- リン欠乏水田でのリン施肥による水稲増収量は土壌リン吸着能から推定できる(2021)マダガスカルに広く分布するリン欠乏水田において、リン肥料を施用した際のイネの増収量は、近接する圃場間でも大きく異なり、土壌のリン吸着能が高いほど低下する。
- 深層学習で熱帯の多様な生態系における土壌のリン供給能を推定するモデル(2021)土壌の分光データを使用した深層学習により、農耕地および自然植生を含む熱帯の多様な生態系における土壌のリン供給能を迅速かつ高精度に推定できる汎用性の高いモデルを開発できる。
- イネのリン欠乏と低温不稔が問題となる栽培環境での効率的なリン施肥法(2021)リン欠乏土壌ではイネの出穂が遅延するため、生育後半に気温が低下する栽培環境では低温不稔が助長される。低温不稔のリスクが高い圃場にリンを施用することで、リン欠乏と低温不稔の双方の改善につながり、増収効果を高めることができる。
- 量的遺伝子座MP3の導入は養分欠乏によるイネの穂数不足を緩和する(2020)
サブサハラアフリカにみられる養分欠乏土壌では、イネの分げつ発生の抑制に伴う穂数不足が収量制限要因の一つとなっている。日本型品種コシヒカリからインド型多収品種タカナリに導入した量的遺伝子座MP3は、マダガスカルの2.0~4.1 t ha-1の低収量環境において、分げつ発生を促進し、穂数および籾数を増加させることができる。
- 移植苗のリン浸漬処理はイネの施肥効率を改善し低温ストレスを回避する(2020)
少量のリン肥料を加えた泥を苗の根に付着させてからイネを移植するリン浸漬処理は、熱帯に広く分布するリン吸着能の高い土壌でも施肥効果が大きい。加えて、従来の施肥法に比べて生育日数を短縮するため、生育後半に気温が低下する栽培環境では、登熟不良の改善にも効果をもつ。
- イネ⽣育に対する⼟壌のリン供給能は室内分光スペクトルから迅速に推定できる(2019)
土壌サンプルの室内分光計測で得られた分光反射スペクトルを用いて、土壌からイネへのリン供給能の指標となる酸性シュウ酸塩抽出リン含量を迅速に推定できる。空間変動の大きいマダガスカルの水田や畑のリン供給能の迅速評価に利用できる。
- アフリカ稲作におけるケイ素欠乏の実態とその要因(2013)
アフリカの農家圃場ではケイ素欠乏値を示すイネが広範にみられ、土壌のケイ酸供給力不足、不安定な水条件をもつ稲作生態系、および窒素施用量の増加を要因として、ケイ素欠乏のリスクが高まる。