現地の動き - Pick Up

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    9. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 輸出規制・保護主義回避の必要性:2008年世界食料危機からの教訓

    COVID-19パンデミックにより、世界各国で外出自粛や移動制限の実施への対応として、食料品の買い占め・買い溜めに走る消費者の姿がニュースとなり、食料確保のために備蓄・輸出禁止に乗り出した国も報告されています。2020年4月現在、世界的には主要穀物に関して十分な備蓄があるとされていますが、今後食料安全保障のナショナリズムが台頭し、グローバル・フード・サプライシステムの機能不全をもたらせば、2008年リーマン・ショック時と同時期に発生した食料価格危機の再来も懸念されます。食料輸出国による輸出規制の連鎖と食料価格急騰により最も影響を受ける可能性があるのが、サブ・サハラアフリカ諸国、そして日本のような食料純輸入国です。国連の食糧農業機関(FAO)・世界保健機関(WHO)・世界貿易機関(WTO)事務局長は、共同声明において、世界中の人々が食料安全保障と生活のために国際貿易に依存している今日、国際社会は輸出制限の回避に協調しなければならないとしました。

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    8. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 世界食料危機への国際社会による対応

    2019年12月に発生が確認された新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の影響は、今や世界中に及んでいます。今後、サブサハラ・アフリカ地域を含む医療体制の脆弱な低所得国への拡大により、社会・人道的危機に加え、世界食料・栄養安全保障危機の悪化が懸念されています。2020年3月26日夜、日米欧や新興国を含む20カ国・地域(G20)の首脳が史上初のテレビ会議を開き、パンデミックの経済的な打撃に対処するとの声明を発表しました。グローバル社会の強靭性を強化する上で、保健制度及び経済が脆弱な開発途上地域、特にアフリカおよび小島嶼国が直面する危機を深刻に懸念し、コミュニティに対する能力及び技術支援を強化するために資金を動員することを約束しました。
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    7. イネ遺伝資源に関する国際共同研究体制の必要性

    日本では様々なコメの品種改良が行われ、国内各地域に適応したコメ品種が生みだされてきました。一方で、世界の貧困地帯は熱帯などの開発途上地域に集中しており、コメも主要な食料の一つとして利用されています。近年、温暖化や異常気象が進む中、コメの品質が低下したり、安定的に十分な収量を得られなくなることも危惧されています。気候変動による天候不順等に備え、コメの安定生産を図ることが、開発途上地域の貧困の解決や社会の安定化、ひいては日本の食料安全保障にも大いに貢献することになります。国際農研では、コメ遺伝資源および育種素材の保存と利用に向けた国際的な協力体制の確立に貢献するため、育種素材の確保とそれらに対する基礎データベースの開発に取り組んでいます。

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    6. 気候変動と世界食料生産危機 - 持続的資源・環境管理技術への期待

    2019年、権威ある国際機関がこぞって気候変動と環境劣化の進行が予想以上に進行していることに警鐘を鳴らしました。環境劣化・気候変動は農業への負のインパクトをもたらすと同時に、農業自身が環境劣化と気候変動の主要な原因の一つでであることにも着目しなければなりません。農林業その他土地利用(Agriculture, Forestry and Other Land Use -AFOLU)は、人間活動を原因とする温室効果ガス(GHG)の23%を占め、AFOLUの変化はまた、人間活動に起因する生物多様性の喪失の主要な原因となっています。食料・栄養安全保障の達成を目指しつつ、将来取り返しのつかないリスクを回避するためには、AFOLUによる気候変動や環境への負の影響を最小化していく技術開発と普及が必要です。国際農研は、水・土壌・肥料等の農業資源を持続的、安定的に活用しつつ、生産性を改善する技術開発を通じて、農業の持続的集約化の実現と気候変動問題への貢献を目指しています。

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    5. 熱帯等の不良環境における農産物の安定生産技術の開発

    アフリカをはじめとする開発途上地域には、土壌の低肥沃度や干ばつ等の不良環境のために農業生産の潜在能力が十分に発揮できていませんが、こうした地域の小規模農民の多くは、気候変動をもたらす原因に最も関与していないにもかかわらず、最大の被害を被ることが予測されています。世界的に貧困・飢餓の撲滅を達成するには、土壌や水資源に恵まれない熱帯等の開発途上地域における食料増産・安定化を推進するための技術開発が極めて重要です。国際農研では、アフリカをはじめとする開発途上地域において、農産物の安定生産技術の開発に取り組んでいます。

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    4. ウユニ塩湖のキヌア -「スーパーフード」孤児作物研究の意義

    “世界一の「奇跡」と呼ばれた絶景”として有名なボリビアのウユニ塩湖ですが、その近辺の畑地は塩分濃度が高く、作物にとっては不毛の大地です。こうした厳しい環境でも育つ極めて希少な作物に、近年「スーパーフード」として注目を浴びているキヌア(quinoa)があります。世界各地には、栄養価に優れながら、品種改良のための研究が十分行われてこなかった作物が多くあり、これらは「孤児作物 (orphan crops)」などと呼ばれています。国際農研は、キヌアの品種改良・高付加価値化への道筋をつけるのみならず、厳しい環境・気象条件に適応する作物のメカニズムを明らかにすることで、気候変動に対する育種戦略への知見を得ることを目指しています。

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    3. 世界の食料・栄養安全保障に関する農業研究の視点の変化

    持続可能な開発目標(SDGs)では、飢餓の撲滅が目標の1つに掲げられています。また、今年2020年12月には「東京栄養サミット2020 (Tokyo Nutrition for Growth Summit 2020)」が開催されます。栄養不足、微量栄養素不足、肥満などの栄養不良は喫緊の地球規模課題です。農業は今、いかに地球に負担をかけずに健康的な食料を安定的に供給できるシステムを構築できるかが求められています。国際農研では、アフリカの農村部で農家調査を行い、食事や栄養供給についての実証分析を進めています。実効性のある農業・栄養介入の方法を探り、世界の食料・栄養安全保障への貢献を目指しています。

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    2. サバクトビバッタの予防的防除技術の開発に向けて

    サバクトビバッタ(Schistocerca gregaria)は現在、東アフリカ、アラビア半島、インド・パキスタン国境沿いで猛威を振るい、深刻な食糧危機を引き起こしています。このバッタによる被害は世界人口の1割に、地球上の陸地面積の2割に及び、年間の被害総額は西アフリカ地域だけでも400億円以上に達する地球規模の天災として恐れられています。現在はコロナウイルスの問題も併発し、国を越えた支援活動に大きな支障が出ることが懸念されています。国際農研は、豊富な海外での研究活動の経験を生かし、サバクトビバッタの屋外における行動習性の研究を通じて、大発生の予知を可能にし、環境保全を考慮した持続的な防除システムの構築を目指します。

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    1. 持続可能な開発目標(SDGs)と農業研究 - 国際農研@50周年

    国際農研は今年2020年で創立50周年記念を迎えます。これを機に、国際農研の情報収集・提供プログラムでは、気候変動や食料問題などに関する世界のニュースや話題をピックアップし、その分野と関連する国際農研の研究活動を紹介するコーナーを設けることにしました。第一回目である本稿では、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献するための農業研究の必要性を概観します。今後も、話題のニュースと国際農業研究を絡めたトピックを取り上げていきますので、ご期待ください。