現地の動き - 国際機関動向
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国際機関動向
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)「世界の再生可能エネルギーの展望」の概要
「世界の再生可能エネルギーの展望」(原文:The Global Renewables Outlook)は、持続可能な将来のエネルギーシステムの確立に向け、2050年までに必要な気候変動のリスクを低減する投資のオプション、エネルギー転換に必要な政策枠組み、地域ごとに異なる課題等を詳述しています。なお、「世界の再生可能エネルギーの展望」は、「世界のエネルギー転換:2050年までのロードマップ」(2019年版については、2019年4月11日付け本欄、国際機関動向(https://www.jircas.go.jp/ja/program/program_d/blog/20190411_0)を参照)を引き継いだものです。
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世界経済フォーラム (World Economic Forum) (2020)「グローバル・リスク報告書 2020: Global Risk Report 2020」概要
ダボス会議の2020年グローバル・リスク報告書によると、世界のリーダーが今後起こり得るとする上位5つのリスク全てが環境問題・気候変動に関する懸念であった。報告書は、世界のリーダーに向け、社会的分断を修復し経済成長を持続させるための早急な対策を講じなければ、気候危機や生物多様性の損失を回避することは不可能である、と警告した。その上で、政策立案者に対しては経済成長と地球システムの保護を両立させる必要性を、民間企業に対しては将来の壊滅的な損失を回避するために科学的な知見を参照する必要性について、訴えた。 -
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国際連合食糧農業機関(FAO) (2019)「農業・農村におけるデジタル・テクノロジー: Digital technologies in agriculture and rural areas – Status report.」概要
今日、世界のフード・システムは十分な食料を供給できてはいるが、今後増え続ける食料需要に対し、持続的かつ包括的な食料供給を可能にするためには、アグリフード・システムの在り方を早急に変えていかなければならない。第四次産業革命 (Industry 4.0)は、社会のあらゆる分野におけるデジタル技術を通じた破壊的な革新をもたらしているが、農業もその潮流から逃れられない。次の農業革命は、疑いなく、デジタル技術を活用としたものになるであろう。 -
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国際連合環境計画(UNEP)「Emissions Gap Report 2019(温室効果ガス排出抑制目標ギャップ報告書)」概要
国連環境計画(UNEP)の報告によると、過去10年間、世界の温室効果ガス排出は年率1.5%で増加を続け、2018年には二酸化炭素換算で史上最高の553億トンに達した。2020年から2030年の間、温室効果ガス排出を毎年7.6%減らさなければ、パリ協定のゴールを達成し、気候変動によるインパクトを抑制するための機会を逃しかねない。
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世界気象機関(WMO)「WMO温室効果ガス年報 WMO GREENHOUSE GAS BULLETIN」概要
世界気象機関(WMO)は、地球温暖化を引き起こす大気中の二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)の世界平均濃度が 乾燥櫛状最高値を更新し、1750年を基準とした産業化前に比べ、147%(CO2)、259%(CH4) 、 123%(N2O) 、高い水準であると発表した。
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国際再生可能エネルギー機関(IRENA)「先進型バイオ燃料-阻害しているのは何か?」の概要
先進型液体バイオ燃料は、排出削減目標や国際気候約束を達成するための低炭素型運輸システムの実現に不可欠である。液体バイオ燃料の利用は、既存の燃料供給インフラや車両構造の改良がほとんど不要であるため、迅速に普及することが可能であり、温室効果ガスの排出削減に資する。本報告書は、先進型バイオ燃料への投資の阻害要因を分析したものである。バイオ燃料製造企業の責任者へのアンケート調査の結果をもとに、化石燃料と競合環境にある中でバイオ燃料の市場を開拓し、生産を拡大していくための課題について論じている。
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World Agroforestry (ICRAF)のCathy Watson氏によるセミナー
11月11日、ナイロビに本部のあるワールド・アグロフォレストリーのCathy Watson氏がセミナーを行い、昨今の気候変動・生物多様性をめぐる危機に対する解決策としてのアグロフォレストリーの役割と意義について、途上国からの多くの事例を交えて発表しました。
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国際連合食糧農業機関(FAO)「2019年世界食料・農業白書 [THE STATE OF FOOD AND AGRICULTURE 2019]」概要
食料システム全体の効率性を改善し、食料栄養安全保障と持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する上で、食品ロス(Food loss)と廃棄食品(Food waste)の削減は欠かせないが、食品ロス・廃棄の現状に関する情報・知識不足がその実現を困難にしている。2019年世界食料・農業白書は、食品ロス指標(FLI: 小売に到達する前段階までのロスを含む)と食品廃棄指標(FWI: 小売・消費段階でのロス)を提起し、FLIについては初めて14%という推計値を公表した。
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国連気候変動サミット科学諮問グループ(The Science Advisory Group of the UN Climate Action Summit 2019)「科学を通じた団結 - 最新気候変動科学に関するハイレベル報告書 [United In Science - High-level synthesis report of latest climate science information]」概要
2019年9月にニューヨークで開催された国連気候変動サミットに合わせ、世界気象機関(WMO)や国連環境計画(UNEP)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)など、気候変動研究に関わる世界トップの機関が、温暖化対策への合意と益々乖離しつつある現状に警鐘を鳴らす報告書を共同で公表した。本報告書「科学を通じた団結(United in Science)」は、気候変動の現状と温室効果ガスの排出や大気濃度についてのトレンドを示し、将来取り返しのつかない気温上昇リスクを回避するため、土地利用やエネルギー部門において抜本的な社会経済構造の転換の必要性を訴えている。また、気候変動緩和・適応双方に貢献しうるツールについても検討している。
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気候変動適応グローバル委員会(The Global Commission on Adaptation)「直ちに適応せよ:気候変動への強靭性推進リーダーシップに対する世界的な要請[Adapt Now: A Global Call for Leadership on Climate Resilience]」概要
気候変動は、世界中の地域・社会のあらゆる分野における人々・環境・経済に広範囲かつ壊滅的な影響を及ぼしつつあり、今日、人類が直面する最大の危機の一つである。貧しく、つつましい生活を送り、気候変動をもたらす原因に最も関与していない人々ほど、皮肉にも最大の被害を被っている。適切な適応策の採択は、将来の損失回避、イノベーションを通じた経済利益の創出、社会・環境的な便益の提供、を通じて、「トリプル・ディビデンド(3重の配当)」をもたらしうる。
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気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「気候変動と土地利用[Climate Change and Land.」概要
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した報告書によると、産業革命以来、陸の気温は世界平均気温の2倍近く上昇しました。気候変動は、異常気象を頻発化させ、世界各地で食料安全保障を脅かし、砂漠化や土壌劣化をもたらしています。持続的土地利用の採択・普及を通じて土地・土壌劣化のリスクを削減し、生産から食生活に至るフードシステムの無駄をなくし効率性を高めることが、気候変動の緩和・対応のみならず、持続可能な開発目標(SDGs)達成のために、重要となります。
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国際連合食糧農業機関(FAO)「2019年世界食料・栄養白書 [2019 THE STATE OF FOOD SECURITY AND NUTRITION IN THE WORLD.」概要
国連の発表した2019年世界食料・栄養白書によると、2018年に世界で十分な食料にありつけない人々の数は推定8億2000万人と、前年の8億1100万人を超え、過去3年連続で増加しました。
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国際連合「世界人口予測 ・2019年版 [United Nations (2019). World Population Prospects 2019]」概要
2019年6月17日に国連が公表した「世界人口予測・2019年版」によると、世界人口は現在の77億人から、2030年に85億人(10%増) 、2050年には97億人 (26%) 、2100年には109億人(42%) に達すると予測されている。人口動態には地域差が大きく、サブサハラ・アフリカ諸国等では急激な人口増を見込む一方、中国を含め、人口減少に転じていく国もある。同時に、世界的に平均寿命が延びる一方で出生率は下がり続け、日本を筆頭に高齢化が進行し、人口動態は経済成長にも大きな影響を及ぼしかねない。世界人口の動向は、誰一人取り残さない、という持続可能な開発目標 (SDGs)の達成を大きく左右しうる。 -
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国際再生可能エネルギー機関(IRENA)「南部アフリカにおけるサトウキビからのバイオエネルギー:持続可能なスケールアップに向けた経済的ポテンシャル」の概要
南部アフリカではサトウキビ生産が主要な産業となっており、熱、発電、バイオ燃料の原料としの利用も潜在的に大きな可能性を有しています。本報告は、南部アフリカの7カ国を対象として、サトウキビからのバイオエネルギー利用のポテンシャルを分析したものです。
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生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)「生物多様性と生態系サービスに関する地球規模アセスメント報告書」概要
生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)は、100万種が今から数十年内に絶滅しかねないほど、人類史上かつてない速度で生物多様性と生態系サービスが失われていると警鐘を鳴らしました。
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食料安全保障情報ネットワーク「食料危機に関するグローバル・レポート 2019年版」概要
2018年、紛争地域の政情不安定と異常気象という主に二つの要因により、53か国の1億1300万人にのぼる人々の食料安全保障が脅かされた。これらの人々の三分の二は、アフリカや中東の8か国に集中していた。本報告書は、人道・開発援助にかかわる15機関が協力し、深刻な食料・栄養安全保障上の危機に直面する国々に関するデータ・知識・経験についての知見をまとめている。
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国際連合「人口と開発のための国際会議行動計画のレビューと評価」の概要
最新の国連の世界人口予測によると、2019年現在で77億人の世界人口は、2050年に97億人、21世紀末には110億人へ達するとされる。世界人口の拡大化・高齢化・流動化・特定地域集中化、という人口動態の「メガ・トレンド」は、2030持続開発目標の達成にも影を落としかねない。 -
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国際再生可能エネルギー機関(IRENA)「世界のエネルギー転換:2050年までのロードマップ」の概要
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、2018年4月に発表した報告書「世界のエネルギー転換:2050年までのロードマップ」(REmap)において、パリ協定の掲げる2度目標の達成に不可欠なエネルギー起源CO2排出削減を図るシナリオとして、最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を現状(2015年)の18%から2050年に3分の2まで高める行程等を盛り込み、世界各国が脱炭素化を推進するためのガイダンスを示しました。今回の2019年版REmapでは、昨年の報告を基本としつつ、各国の政策の強化、エネルギー分野の補助金の動向、エネルギー転換による社会経済的影響、再生可能エネルギー電力の価格低下及びその役割拡大等について、新たな分析が加えられています。
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世界銀行2018「クライメート・スマート・アグリカルチャー(CSA)概念の実践化: アフリカ・アジア・ラテンアメリカにおけるCSA国別プロファイルからの考察 [Bringing the Concept of Climate-Smart Agriculture to Life: Insights from CSA Country Profiles Across Africa, Asia, and Latin America].」概要
極端な気象イベントの頻発による食料生産への壊滅的影響を通じ、世界中で気候変動による農業への負のインパクトが報告されています。同時に、農業は気候変動の主要原因の一つでもあります。本報告書は、アフリカ・アジア・ラテンアメリカからの報告に基づき、クライメート・スマート・アグリカルチャー(CSA)概念の実践化において重要な要因について論じます。
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国際連合食糧農業機関(FAO) 2018「クライメート・スマート・アグリカルチャー: アジア・アフリカ・ラテンアメリカにおける成功事例の紹介 [Climate-Smart Agriculture Case studies 2018 - Successful approaches from different regions].」概要
クライメート・スマート・アグリカルチャー(Climate-Smart Agriculture: CSA)アプローチ は、農業生産性と農民所得の持続的改善・気候変動に対する強靭性(resilience)と適応力(adaptation)の強化・温室効果ガス排出量の削減、の三本柱によって定義されます。報告書は、成功事例のレビューを通じて、世界のあらゆる問題を解決しうる唯一無二の万能薬的なCSAは存在せず、地域固有のコンテクストに適したCSAの導入が鍵となると結論しています。