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国際機関動向

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)「世界の再生可能エネルギーの展望」の概要

2020-04-25

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)「世界の再生可能エネルギーの展望」の概要

 

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)による包括的な本報告では、パリ協定を踏まえたエネルギーシステムの脱炭素化に必要な投資や技術について分析するとともに、究極的にCO2排出をゼロにするために、脱炭素化が困難な業界の取組方策について検討を加えた「より大規模な脱炭素化見通し」についても提示しています。

エネルギーと気候変動の目標はそれぞれが関連性を有するものであり、地域レベル及び国レベルでのエネルギー及び気候変動に関する政策目標のかさ上げが不可欠です。本報告では、世界各国を10の地域に区分して、地域毎のエネルギー転換のシナリオについて論じています。包括的な政策の導入は、エネルギーと気候変動の問題への対処を可能にするだけでなく、社会経済的な課題の解決にもつながり、脱炭素化された社会の実現に寄与します。

その他の重要な論点には、以下の内容が含まれます。

  • 2010年以降、エネルギー関連のCO2排出量は毎年1%の伸び。コロナウイルス危機及び原油価格の暴落によって2020年の排出量は抑制される見込みである一方、回復基調になれば長期的なトレンドに逆戻りする可能性が高い。
  • 再生可能エネルギーの利用拡大、エネルギー効率の改善、電化・電力利用の推進によって実現するエネルギー転換は、広範な社会経済の発展をもたらす。本報告で提示されている「エネルギー転換シナリオ」は、エネルギー分野への投資がパリ協定の2度目標と整合した形で行われることを前提としている。
  • 上記の「エネルギー転換シナリオ」においても依然として残るCO2排出は、その削減が技術的に最も困難であり、その脱炭素化には多額のコストを要する。本報告が提示する「より大規模な脱炭素化見通し」では、排出ゼロの実現に向けた革新的な技術、ビジネスモデル、行動適応の必要性について論じている。
  • 破壊的な影響をもたらす気候変動を避けるためには、エネルギー利用の脱炭素化を早期に進める必要があり、そのためには国際協力が不可欠である。コロナウイルス禍においても排出削減の必要性に何ら変わりはなく、クリーンエネルギーへの投資を確実に行うことで、目先のことのみに捉われた意思決定を抑止し、さらなる座礁資産の拡大を招く事態を防ぐことが可能となる。
  • コロナウイルスのパンデミックが終息した後の経済回復策においては、調整力を備えた送配電網の整備、エネルギー効率の改善、電気自動車の充電インフラの拡充、エネルギー貯蔵、相互接続した水力発電、グリーン水素等、長期的なエネルギー及び気候の持続可能性に寄与する技術への投資を進めることが重要。

より詳しい内容に関しては、以下のサイトを通じ報告書原文を参照のこと。

(本文)https://www.irena.org/publications/2020/Apr/Global-Renewables-Outlook-2020

(IRENAニュースリリース)https://www.irena.org/newsroom/pressreleases/2020/Apr/Renewable-energy-c...

なお、概要に関する本翻訳は、IRENAから公式に承認を受けたものではなく、翻訳上の誤りなどの責任は文責にある。

(文責:研究コーディネーター  増山寿政)