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国際再生可能エネルギー機関(IRENA)「農業・食品セクターにおける地熱利用の加速化」の概要

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地熱は、主に発電や地域熱供給のエネルギー源としての利用が想定されているが、農業セクターへの利用にも様々な用途が考えられる。特にビニルハウス、食品の乾燥や加工に地熱を利用することは、食料の利用可能性、化石燃料の価格変動性への対処、温室効果ガスの排出削減、食品廃棄物の削減等、様々な利点を有する。これらは比較的低温の熱エネルギーを要求するため、発電や地域熱供給には向かない地域で適用を進めることにより、全体として地熱利用の拡大が見込める一方、農業・食品関連の地熱の直接利用は限定的な動きにとどまっている。

本報告書は、農業・食品関連の地熱の直接利用について普及を図り、経験や知見を共有するため、各国が取り組むべき政策措置等について論じており、特に以下の6つのポイントを挙げている。

  1. 地熱を発電以外にも利用するための明確で透明なライセンスを中小規模事業者も含めた関係者に与えるための法制度
  2. 地熱を熱利用するプロジェクトの初期段階及び資本集約段階に伴うリスクを軽減するための政策的措置
  3. 産業計画及び農村開発戦略への地熱利用計画の統合並びに地域コミュニティ及び事業者・起業者の参画(地熱を利用した新たな活動の呼び込み)
  4. 地理的条件の把握や熱需要のアセスメント等を行うための実行可能性調査やパイロット事業に対する支援
  5. 食料生産や食品加工に携わる労働者のキャパシティ・ビルディング
  6. 環境への配慮や長期的な経済の持続可能性を踏まえた地熱資源の適切な管理

また、世界地熱連合(the Global Geothermal Alliance)等の国際的なプラットフォームを通じた知見の共有等についても有効である。

(本文)https://www.irena.org/publications/2019/Jan/Accelerating-geothermal-hea…

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