国際機関動向

国際連合食糧農業機関(FAO)「2019年世界食料・農業白書 [THE STATE OF FOOD AND AGRICULTURE 2019]」概要

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食料システム全体の効率性を改善し、食料栄養安全保障と持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する上で、食品ロス(Food loss)と廃棄食品(Food waste)の削減は欠かせない。しかし、その実現は単純ではなく、食品ロス・廃棄の現状に関する情報・知識不足が目標達成を困難にしている。

2019年世界食料・農業白書は、食品ロス(小売に到達する前段階までのロスを含む)と廃棄(小売・消費段階でのロス)を明確に定義し、食品ロス指標(Food Loss Index-FLI)と廃棄食品指標(Food Waste Index-FWI)を提起した。とくに、FLIについては、初めて、FAOにより14%という推計値を公表した。FWIについては、推計手法設計に携わるUNEPより、間もなく推計値が公表される予定である。

食品ロス・廃棄問題について、地域また商品作物群ごとのパターンへの洞察を得るために、FAOは世界中の既存研究についてメタ分析を行った。一般的に、穀物や豆類に比べ、果物や野菜でロスが大きいが、中央・南アジアに比べてサブサハラアフリカ・東南アジアでロスが大きいという地域差も見られる。消費レベルでの食品廃棄については高所得国に特徴的で、動物性食品や果物・野菜でロスが大きい。食品ロス・廃棄の原因も様々であり、生産現場でのロスの原因としては不十分な収穫時間・気候条件・収穫や取扱方法の問題・マーケティングの課題、があげられる。冷蔵貯蔵庫や輸送インフラのほか、加工・パッケージ・取扱に関わる技術的な課題の解決が、量的・質的食品ロスの削減にとって重要である。

より詳しい内容に関しては、以下のサイトを通じ報告書原文を参照のこと

http://www.fao.org/publications/sofa/en/

http://www.fao.org/state-of-food-agriculture/en/ 

なお、概要に関する本翻訳は、FAOから公式に承認を受けたものではなく、翻訳上の誤りなどの責任は文責にある。

(文責:研究戦略室  飯山みゆき)

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