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317. 「砂漠化および干ばつと闘う世界デー」と持続的土地管理

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317. 「砂漠化および干ばつと闘う世界デー」と持続的土地管理


6月17日は、「砂漠化および干ばつと闘う世界デー」です。1994年6月17日に「国連砂漠化対処条約」が採択されたことに伴い、1995年に定められ、砂漠化を防止し、干ばつから人々を救うことを主な目的としています。


ここでいう砂漠化とは、ほとんどの場合「砂漠の拡大」ではなく、乾燥地の農地、林地、牧地における土地劣化による生産性の低下です。条約締結から25年以上が経過していますが、砂漠化は収まるどころか、人間活動によって加速しています。砂漠化により貧困、食料問題、生物多様性の損失は悪化し、また土地が劣化すると干ばつに対しても脆弱になります。国連は「砂漠と砂漠化との闘いの10年間(2010-2020年)」を設けてこの問題に取り組んで来ました。国連砂漠化対処条約事務局はその成果を以下の通りまとめています。

 

  •     砂漠化、土地劣化、干ばつに対する意識が向上した
  •     砂漠化に対する科学と知識の基礎が飛躍的に拡大した

例えば、「土地劣化の中立性」を土地の被覆、土地の生産性、土壌中の炭素量という3つの指標から評価する手法を開発した

  •    土地劣化を防ぐ行動を誘導する政策が進展した

例えば、土地劣化を防ぐ技術を普及する際に小農や女性が土地保有権や資源へのアクセスを持っていないことが問題となるが、多くの国でその議論が始まった


国連砂漠化対処条約事務局は、SDG15「陸の豊ゆたかさを守る」のターゲット15.3「土地劣化に荷担しない世界の達成」を達成するため、2018-2030年の新戦略枠組で以下のことを目標に掲げています。


1.砂漠化の影響を受ける生態系の改善、砂漠化/土地劣化との闘い、持続的土地管理の推進、土地劣化の中立性への貢献
2.砂漠化の影響を受ける人々の生活環境の改善
3.砂漠化の影響を受けやすい人々と生態系のレジリエンスを高めるための干ばつへの緩和と適応


国際農研では、これまでに持続的土地管理技術として、西アフリカで土地劣化の主要因である土壌侵食の抑制と作物収量の増加を両立する「耕地内休閑システム」、ウズベキスタンでカットドレーンを用いた塩類化対策など様々な技術開発を行って来ました。また、モンゴルでは異常気象に対する経営リスクや草地劣化リスクを低減する牧畜技術の開発も行いました。

そして2021年4月からスタートした持続的土地管理プロジェクトでは、西アフリカのブルキナファソおよびインド北部を対象に、国連砂漠化対処条約の新戦略目標1および3に関連し、これまでに開発した持続的土地管理技術を広く普及するための土壌保全促進スキームの開発と干ばつに強い土壌・作物管理技術の開発を進めています。

最後に、国連砂漠化対処条約のWebサイトでは、英語ですが「土さんからのメッセージ」やアニメーション「土の話をしよう」が公開されています。お時間が許せば是非ご覧ください。

 

(参考文献)

Ikazaki et al. (2011) https://doi.org/10.1080/00380768.2011.593155
Okuda et al. (2020) https://doi.org/10.3390/w12113207
Oniki et al. (2018) https://doi.org/10.1016/j.rama.2018.02.003

 

(文責:生産環境・畜産領域 伊ヶ崎健大)