現地の動き
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1177. 生物多様性喪失の回避には高収量農業が不可欠となる
食料生産は、他のどの人間活動の分野よりも生物多様性に影響を及ぼすと指摘されてきました。Phil. Trans. R. Soc. B.で公表されたレビュー論文は、生物多様性喪失の抑制のためには、面積当りの高収量を維持する持続可能な農業集約化が不可欠であると論じました。
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1176. 温暖化のもとでの水文気候の変動性
2025年の年明け、ロサンゼルスは深刻な山火事に見舞われましたが、この背景に「むち打ちwhiplash」に例えられるほどの「水文気候の急変hydroclimate volatility」を指摘する研究者もいます。Nature Reviews Earth & Environmentに発表された論文は、人為的な温暖化に伴う水文気候の変動性増加は、湿潤状態と乾燥状態の急激な変動に関連する危険(洪水、山火事、地滑り、病気の発生)を増幅させる可能性を指摘しました。
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1175. 2024年、記録的な海面水温・海洋貯熱量を観測
地球の表面の70%を覆う海洋は地球の気候にとって極めて重要な役割を果たします。Advances in Atmospheric Sciencesに発表された研究によると、2024年、全球の海面水温(sea surface temperature SST)と上部2000mの海洋貯熱量(ocean heat content OHC)が前例のない史上最高値に達しました。
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1174. 2024年は観測史上最も暑い年
先日もお伝えしましたが、1月10日、コペルニクス気候変動サービスが、NASA, NOAA、WMOなど、地球規模の気候モニタリングに関与する機関とタイミングを合わせ、2024年が1850年に記録が始まって以来最も暑い年であり、産業革命前の水準と比べ1.5°Cを超えた温暖化を観測した暦上最初の年であった、と公式発表しました。
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1173. ワンヘルス・アプローチにおける生態学の重要性
COVID-19パンデミックから、5年が経とうとしています。COVID-19は人獣共通感染症の一つですが、人獣共通感染症の発現は、人為的要因による環境変化や生態系の攪乱と密接に関わっています。昨年末、PNAS誌に発表された論説は、ワンヘルス・アプローチにおける生態学の視点の重要性を強調しました。
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1172. プラネタリーバウンダリー内にとどまるための土地管理の変革
森林破壊、都市化、持続不可能な農業は、前例のない規模で地球規模の土地劣化を引き起こしており、地球システムのみならず、人間の生存自体を脅かしています。昨年末、ポツダム気候影響研究所(PIK)と国連砂漠化対処条約(UNCCD)は、報告書「崖っぷちからの退出:プラネタリーバウンダリー内にとどまるための土地管理の変革 Stepping back from the precipice: Transforming land management to stay within planetary boundaries」を発表しました。
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1171. 2024年‐気候変動の「リスクが現実に」
極端現象と気候変動の因果関係を分析するWorld Weather Attribution (WWA)は、2024年に人々の健康を脅かす熱波が41日間増加したことにも言及、気候変動の「リスクが現実に」なったと表現しました。
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1170. 2024年12月 世界食料価格動向
国連食糧農業機関(FAO)は、1月3日、世界食料価格動向を公表しました。2024年12月の値は平均127.50ポイントで、11月から0.5%下落、食肉価格の上昇を打ち消す砂糖・植物油・穀物価格の下落を反映しました。この数値は昨年よりも6.7%高いものの、2022年3月の史上最高値よりは20.7%低い値でした。2024年全期間の価格指標は122.0ポイントで、2023年平均値よりも2.1%低い値をとりました。
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1169. 2025年を迎えて
EUのコペルニクス気候変動サービスによると、2024年は産業革命前の水準と比べ1.5°Cを超えた温暖化を観測した暦上最初の年となりました。今年最初のPick Upは、昨年末のNature誌が発表した2025年に注目すべき科学・研究イベントから、食料システム・農林水産業にも関連する話題 -減量特効薬・アメリカ新政権での気候環境政策・COP30・森林モニタリングー を紹介します。
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1168. 2024年を振り返って
2024年のPick Up注目記事からは、世界食料安全保障・食料システムの動向を左右する要因として、増える世界人口と人口動態の地域差、飢餓ゼロ達成を阻む気候変動・紛争・経済不況、気候変動インパクトの現実化、といったトレンドが浮き上がりました。
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1167. 農業市場情報2024年のレビューと2025年見通し
2024年も終わりに近づいてきていますが、農業市場情報システム(Agricultural Market Information System -AMIS)は農作物市場に関する2024年のトレンドを振り返り、2025年の市場動向に影響を与える要因について見通しを行いました。
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1166. 雪氷圏が直面する変化
週末から日本では冬型の気圧配置が強まり、クリスマス寒波のもと、東日本から西日本の日本海側では、山地を中心に警報級の大雪が予報されました。雪は、太陽熱を反射するなど地球の気候システムに影響を及ぼす主要な特性があります。そんな雪と氷におおわれる雪氷圏(cryosphere)は「気候システムの炭鉱のカナリア」とも呼ばれますが、気候変動の影響のもとで劇的な変化に見舞われています。
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1164. 生物多様性、水、食料及び健康のネクサス
生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)は、しばし、「生物多様性版のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)」とも呼ばれます。12月16日、IPBESは、「生物多様性、水、食料及び健康の間の相互関係に関するテーマ別評価(ネクサス評価)」政策決定者向け要約を発表しました。
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1163. 気候変動は種の絶滅を加速する
生物多様性の喪失と再編は、生態系だけでなく、生物多様性が人々に与える多くの貢献を脅かしています。Scienceに公表された論文は、気候変動による地球規模の種の絶滅リスクについて包括的な評価を行い、地球温暖化が1.5℃を超えると絶滅が急速に加速し、 最も排出量の高いシナリオでは、世界の種の約3分の1が脅威にさらされると示唆しています。
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1162. 植物のストレス診断に使う聴診器を作る(寳川通信2)
声を持たない植物のストレス状態を診断するための聴診器は、栽培改善や育種選抜へ用いるツールとして有望です。熱帯・島嶼研究拠点の寳川(研究員)は、葉のガス交換特性や形態を調査し、聴診器としての利用可能性を模索しています。収量改善に関連する生理形質を遺伝資源集団から探索し遺伝的に付与していくための評価技術を開発する「形質開発」に加え、育成された既存品種や雑種集団の持つ形質の多様性に着目し、長所も短所も併せ持つ品種・遺伝子型を混植する等して有効活用する「形質(多様性)利用」の2つのコンセプトを融合した「形質開発利用学」を起ち上げ、実験や研究者間交流を進めています。
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1161. アフリカの“農家知識”を技術普及に活かす
“知識”というと学校の授業で習ったりすることを連想しますが、そうした知識とは別に、農家が日々の経験の中で知る経験的知識を“農家知識”と呼びます。現在まで、持続的農業を可能にするとされるたくさんの技術がアフリカに普及されていますが、農家に使われない・使ってみてもすぐ止めてしまうという問題があります。その問題を解決する手段の一つとして考えられているのが、農家が日々の農作業の中で何を大切にし、何を困難に思っているのか、土や作物の特徴をどう理解しているのか、を私たち研究者が理解することです。
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1160. 2024年11月が史上2番目に高い月別気温を記録
12月9日、EUのコペルニクス気候変動サービスは、2024年11月が史上2番目に高い月別気温を記録し、2024年が最も暖かい年になるとの予想を裏付けると発表しました。
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1159. JICA-JISNASシンポジウム2024 開催のご案内(12月20日)
JJシンポジウムは、農林水産分野や地域開発における特定テーマについて、JICA/JISNAS間で討論・意見交換を行い、双方の知見を深め、若手人材の積極的かつ主体的な参加を奨励して能力開発を図ることを目的として開催しております。本年度は「農業協力における現場ニーズと新たな取り組み」をテーマに議論を深める予定です。
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1158. 干ばつの経済学
干ばつは、世界中のすべての大陸、とりわけ乾燥地における社会経済にとって、最も差し迫った脅威の1つです。国連砂漠化対処条約(UNCCD)COP16に合わせて発表された報告書「干ばつの経済学 economics of droughts」は、干ばつ危機削減およびレジリエンス構築のための金融ニーズと機会について検討しています。