Pick Up
1314. アフリカの食料栄養安全保障

1314. アフリカの食料栄養安全保障
2025年8月20日~22日、横浜で第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)が開催される予定です。アフリカの安全保障が抱える課題と機会についてアフリカ連合HP掲載の論説を紹介します。
アフリカは世界の利用可能な耕作地の60%を占め、農業は人口の70%の生計の源となっています。しかし、アフリカ大陸が生み出す農業生産量は世界の農業生産量のわずか10%に過ぎません。アフリカの農業は、生産性の低さ、投資不足、都市偏重の政策、そして女性による土地保有権を含む生産資本へのアクセスを阻むボトルネックといった問題に悩まされています。また、アフリカの農業は付加価値が低く、農村インフラも未整備です。こうした低迷の結果、世界の他の地域では消え去った飢餓の脅威が、アフリカでは依然として存在しています。
UNDP(国連開発計画)の報告によると、世界の多面的貧困層の4分の1(4億5,600万人)がアフリカに居住しています。食料安全保障と人間開発は、生産性、栄養、レジリエンス、エンパワーメントといった要因と密接に結びついています。さらに、生産性と持続可能性の基盤となる環境と天然資源は、様々な要因によって脅かされており、その中で最も緊急性の高いのは気候変動です。
アフリカ大陸は、小規模農家の生産性向上のための適切な政策、特に子供を対象としたより効果的な栄養政策、世帯のショックへの対処能力の向上、女性、若者、障害者のエンパワーメント、そして農村インフラと付加価値向上の促進に重点を置くことで、干ばつ、飢餓、飢饉の悪循環から脱却することができます。
農業と栄養を促進するため、アフリカ連合委員会はNPCAおよびRECと協力し、包括的アフリカ農業開発プログラム(Comprehensive Africa Agricultural Development Programme: CAADP)をはじめとする枠組みに含まれる戦略の実施を促進し、食料の生産量とアクセスの向上を図ります。これにより、アフリカは自給自足と輸出が可能となり、干ばつに起因する食料危機が軽減されます。また、加盟国における農産加工・市場セクターの発展を通じて、アフリカの原材料の付加価値向上を促進する戦略を策定します。さらに、持続可能な天然資源管理を促進し、成長を損なうことなく気候変動の影響を緩和することにより、アフリカのグリーン経済への移行を支援するための措置も推進します。
持続可能な農業生産と食料安全保障、そして気候変動によるショックへのレジリエンスの大幅な向上により、干ばつに起因する食料危機の軽減が達成されるものと想定されます。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)