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482. アフリカの食料安全保障と栄養の概要

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482. アフリカの食料安全保障と栄養の概要2021

2022年2月8日、松野博一内閣官房長官は、第8回アフリカ開発会議(TICAD)を8月27日、28日にチュニジアにて開催すると発表しました。TICADは、多国間協力とパートナーシップの関係強化を通じ、アフリカの開発や平和と安定を促進するために、1993年に日本政府によって開始されました。アフリカでの開催は、2016年に第6回会議をケニア、ナイロビ以来、2回目となります。

アフリカの発展には、主要な産業である農業は不可欠で、食料安全保障の観点からも非常に重要です。2021年にFAOは「Africa – Regional Overview of Food Security and Nutrition 2021(アフリカの食料安全保障と栄養の概要2021)」を公表しています。今回のPick Upでは、本報告書で述べられた主要なメッセージを取り上げます。この報告書は多くの統計データや図表を用いており、アフリカの傾向がイメージしやすくなっています。

  • アフリカは、持続可能な開発目標2の食料安全保障と栄養改善の実現に向けた軌道に乗っていません。2000年から2013年までに見られた改善の後、飢餓は大幅に悪化しました。この悪化の大部分は2019年から2020年にかけて発生しています。
  •  2020年、2億8,160万人のアフリカ人が栄養不足となり、2014年より8,910万人増加しています。
  •  飢餓の水準と傾向は地域間で大きなばらつきがあります。栄養不良者の約44.4%が東部アフリカ、26.7%が西部アフリカ、20.3%が中部アフリカ、6.2%が北部アフリカ、2.4%が南部アフリカとなっています。
  • 深刻な食料不安に苦しむ3億4640万人のアフリカ人に加えて、4億5200万人が中程度の食料不安に苦しんでいます。
  • アフリカにおける食料不安の主な要因は、紛争、気候の極端な変動、経済の減速と低迷です。
  • COVID-19パンデミックは、経済・生活活動を混乱させ、アフリカの劇的な景気後退を招き、食料安全保障悪化の一因となっています。
  • 食料安全保障と栄養を効果的に改善するために、各国は短期的な人道的支援と効果的な社会保障制度を提供する必要があります。長期的には、農業と関連部門、水、保健、教育サービスへの投資を行い、脆弱性を軽減し、気候変動や紛争、経済の低迷や減速によるショックへの耐性を構築する必要があります。
  • アフリカで5歳未満児の発育阻害の割合は徐々に低下しているが、30.7%と依然として高く、発育阻害の子どもの数は増加し続けています。しかし、アフリカの子どもたちの過体重の割合は、世界平均をわずかに下回る程度にとどまっています。
  • アフリカの5歳未満児の過体重の割合は5.3%で、世界平均を下回っているが、北部アフリカと南部アフリカでは、それぞれ13%と12.1%と、はるかに上回っています。2000年から2015年にかけて進展が見られたものの、2015年から2020年の期間には、アフリカ全地域で過体重の割合が上昇しています。
  • 約1億2,270万人の出産可能年齢の女性が貧血の影響を受けています。この10年間でその割合は低下していますが、世界の栄養目標を達成するには、進展があまりにも遅すぎます。
  • アフリカにおける完全母乳育児の普及率は43.6%で、世界平均とほぼ同じです。東部アフリカは、2019年に60.7%となり、かなりの進歩を達成しました。一方、南部と西部のアフリカでは、世界平均を大きく下回っています。
  • アフリカ全体の成人肥満率は12.8%で世界平均と変わりありませんが、北・南部アフリカは世界平均の約2倍で、その他の地域は平均より低い値です。成人肥満率はアフリカ全地域で上昇傾向にあり、北・南部アフリカで最も速い伸びを示しています。

(参考)
Africa – Regional Overview of Food Security and Nutrition 2021
https://www.fao.org/3/cb7496en/cb7496en.pdf

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(文責:情報広報室 金森 紀仁)