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716. 食料栄養安全保障危機に対するアクション

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716. 食料栄養安全保障危機に対するアクション

2月8日、国連食糧農業機関(FAO)、国際通貨基金(IMF)、世界銀行(World Bank)、国連世界食糧計画(WFP)、国連世界貿易機関(WTO)といった5つの国際機関のトップらが、昨年7月と9月に引き続き、3度目の共同声明を発表しました。国際機関の長らは、声明の冒頭で最近トルコ・シリアを襲った大地震の被災者への支援を表明しつつ、世界的に貧困と食料安全保障を取り巻く環境が悪化していることに警鐘を鳴らしました。その上で、声明は、食料栄養安全保障危機に際し、「飢餓のホットスポット」救済や貿易促進など、緊急支援および長期的な強靭性強化の取り組みの双方のバランスに配慮した対応の必要性を訴えました。 

COVID-19パンデミック、気候の緊急事態、ロシアのウクライナ侵攻、サプライチェーンの寸断、金利上昇、といった、かつてない規模のショックが世界食料システムを通じて拡散し、その余波が世界でも最も脆弱な人々を直撃しています。多くの国で二桁の食料品のインフレが続き、WFPによると、79か国における3.49億人の人々が急性の食料危機に直面しています。

栄養不良に陥る人々の数は増加しており、2022/2023年の世界食料供給が過去3年で最低水準に落ち込むとの予測を受け、さらなる状況の悪化が懸念されています。とりわけアフリカの16か国を含む24か国が飢餓のホットスポットと認定されています。食料価格と肥料価格の比率で定義される肥料の入手可能性も、2007/2008年食料価格以来の低い値となっており、小規模農家がとくに打撃を受け、地域レベルで既に割高な食料価格上昇を加速させることが懸念されています。例えば、2022年のコメ生産の減少は、低い備蓄率見込みが合わさり、世界最大の輸入地域であるアフリカに暗い影を落としています。食料・燃料・肥料価格のインフレに対する各国の財政措置の下で、10億人が7100億ドルの社会保障支出の対象となりました。一方、こうした社会保障の支出は、高所得国で5076億ドルに達するのに対し、低所得国では43億ドルしか費やされていません。

食料・栄養安全保障の危機の悪化を防ぐために、国際機関のトップらは、(i)「飢餓のホットスポット」救済支援、(ii)貿易促進・市場機能の改善・民間セクターの役割拡大、(iii)補助金のターゲットや効率性の見直し、を提言し、短期的な緊急支援の介入と長期的な強靭性強化のための取り組み双方のバランスに配慮した支援の緊急性を訴えました。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 


 

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