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417. 新型コロナウイルスの食料安全保障に対する影響

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417. 新型コロナウイルスの食料安全保障に対する影響

最近日本では新型コロナが一時期に比べてだいぶ落ち着いてきたようで、11月7日には1年3か月ぶりの死者ゼロを記録しました。この2年弱の間、日本に限らず世界中で、新型コロナウイルス・パンデミックによるさまざまな変化がみられましたが、その食料安全保障に対する影響を包括的にみる2つの論文を今回はご紹介します。

1つ目はBénéらのレビュー論文で、新型コロナが特に低中所得国で与えた食料安全保障と栄養状態への影響について、最初の世界的評価を示したものです。前例のない危機の規模と深刻さを裏付ける内容ではありますが、全般的にはフードシステムはパンデミックによって引き起こされた混乱に適応することができたと示唆されています。

食料安全保障の持つ側面のうち、食料の入手可能性(availability)に関しては影響を受けたという明確な証拠がない一方、最も影響を受けたものはアクセス(accessibility)であり、食料への物理的・経済的アクセスが中断されたのは明らかだとされています。また、フードシステムが強靭であれたものの、多くの関係者にとって大きな痛手を伴ったものであり、露店商などが閉まる中で、営業し続け多大な利益を上げたスーパーマーケットなどは例外的な存在だったと言えます。

2つ目はPicchioniらのレビュー論文です。システマティックレビューであり、多くの論文から導かれることとして、低中所得国では食の質や食料不安が悪化したと結論付けています。政策のタイミングや厳格さ、措置に対する各地域でのフードバリューチェーンの対応、社会層によって、その影響は異なります。コロナ禍では、超加工食品の消費が増え、健康的な食事が減り、運動の機会も減ったことによって、より不健康になったとされています。また、女性や低所得層は食料不安のリスクが大きいとして、社会的セーフティーネットをすぐに強化するべきだとしています。


参考文献

Béné, C., Bakker, D., Chavarro, M.J., Even, B., Melo, J. and Sonneveld, A., 2021. Global assessment of the impacts of COVID-19 on food security. Global Food Security, p.100575. https://doi.org/10.1016/j.gfs.2021.100575

PICCHIONI, Fiorella; GOULAO, Luis F.; ROBERFROID, Dominique. The impact of COVID-19 on diet quality, food security and nutrition in Low and Middle Income Countries: A systematic review of the evidence. Clinical Nutrition, 2021.  https://doi.org/10.1016/j.clnu.2021.08.015

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)