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102. 国際食糧政策研究所(IFPRI)新型コロナウイルス感染症による世界の食料安全保障に関する影響のまとめ・追跡ツール
国際食糧政策研究所(IFPRI)は、電子書籍として、「新型コロナウイルス感染症と世界の食料安全保障(COVID-19 & Global Food Security:編者Johan Swinnen & John McDermott)」を発刊しました。
本書は、IFPRIの新型コロナウイルスに関するブログシリーズから抜粋し編集されたものです。IFPRIは今年2月に新型コロナウイルスに関するブログシリーズを開始しました。まずは中国でのパンデミックの影響についての調査でしたが、3月にはパンデミックの影響がより甚大で広範囲に及ぶ可能性が明らかになったので、研究者らは、貧困や食糧・栄養安全保障に関する世界的な影響を検討し始めました。そしてその後数か月で、低所得国・中所得国において緊急事態フェーズとなり、このブログシリーズを引き続き使用して影響を分析しています。
このブログシリーズでは、食料・栄養安全保障の変化を早期に評価するために行われた、最新のモデル評価と調査(世帯・企業・主要な情報提供者への電話調査を含む)の結果を報告します。始まってから半年で40を超える記事があり、その数は今も増え続けています。
本書は、世界的なパンデミックが世界の貧困、食糧安全保障、栄養、食料貿易、サプライチェーン、ジェンダー、雇用にどう影響しているか、また、さまざまな政府介入およびこれらの教訓をどのように使用して将来のパンデミックに備えられるかについての考察を行い、主要な洞察と分析をまとめています。 各章では、概念的な議論、グローバルおよび国レベルのシミュレーションモデル、国内調査、ケーススタディ、専門家の意見を組み合わせています。 これらを合わせて、新型コロナウイルスの現在・将来の影響と、世界的な食料・栄養安全保障に対するパンデミックへの政策対応の包括的な図を提示しています。
また、IFPRIはさまざまな追跡ツールも開発し、公表しています。世界レベルでは、主食の価格変動(Food Security Portal)や貿易に関する追跡ツール(COVID-19 Food Trade Policy Tracker)があります。アフリカや南アジアの国の一部では、日常の食料価格の監視システム(Food Price Monitor)が市場に導入されているところもあります。公共政策の対応の違いを測るために、世界銀行の社会保障追跡システムを補完する、国別の政策対応追跡システム(CPR Portal)も構築しています。
参考文献
IFPRI (2020) Covid-19 & Global Food Security. Edited by Johan Swinnen & John McDermott
https://www.ifpri.org/interactive/covid
IFPRI. Food Security Portal
http://www.foodsecurityportal.org/
IFPRI. Covid-19 Food Trade Policy Tracker
https://www.ifpri.org/project/covid-19-food-trade-policy-tracker
IFPRI. Covid-19 Food Price Monitor
http://tools.foodsecurityportal.org/COVID-19-food-price-monitoring
IFPRI. Covid-19 Policy Response (CPR) Portal
https://www.ifpri.org/project/covid-19-policy-response-cpr-portal
[all accessed on Aug 3]
(文責:研究戦略室 白鳥佐紀子)