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1189. 世界食料栄養安全保障の懸念事項

1189. 世界食料栄養安全保障の懸念事項
2025 年は、COVID-19 パンデミックの発生から 5 年、持続可能な開発目標 (SDGs) の 2030 年の期限まであと 5 年という、極めて重要なタイミングです。しかし、世界的に食料栄養不安は依然として差し迫った課題であり、多くの国が気候変動・食料価格の高騰・紛争によって引き起こされる度重なる危機によって、健康的で栄養価の高い食料へのアクセスに問題を抱えています。
多くの国は、食料と栄養の安全保障の進捗を把握するうえで深刻なデータ不足の問題に悩まされています。世界銀行のブログは、世界食料安全保障に関する5 つの憂慮すべき統計を取り上げ、飢餓との闘いにおけるデータ イノベーションの重要性を強調しました。
1. 栄養失調の急増
昨年の「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」報告書によると、2023年には世界で最大7億3,300万人が栄養失調に苦しんでおり、2019年から1億5,200万人増加、飢餓と食糧不安の危機が深刻化していることを浮き彫りにしています。
2. 28億人が影響を受ける隠れた飢餓
同報告書では、食料価格上昇と所得格差により、2022年には28億人が健康的な食事をとることができず、「隠れた飢餓」と呼ばれる状況につながっていると結論付けています。食料価格の上昇は、収入のより大きな割合を食費に費やす貧困世帯に不釣り合いな影響を与えます。
3. 極度の貧困を助長する食料価格
世界の食料価格は2022年のピークから下落していますが、価格動向は2025年も食料安全保障の重要な決定要因であり続けるでしょう。2022年の急激な価格上昇の間、世界食料価格がわずか1%上昇するだけで、1,000万人が極度の貧困に陥ることがわかりました。このことは、一見些細な市場変動に対しても低所得層が脆弱であることを示しています。
4. 非効率性の高コスト
昨年、オックスフォード大学とロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの研究者は、市場の失敗と非効率性が世界の食料システム内で毎年10兆ドルの隠れたコストの原因になっていると結論付けました。これらの損失は、食料システムをより効率的で公平で無駄の少ないものに変革するための体系的な変更の必要性を浮き彫りにしています。
5. 介入がなければ見通しは暗い
大胆な投資と政策がなければ、2030 年までに 9 億 5,000 万人以上が深刻な食糧不安に直面するリスクにさらされる可能性があり、飢餓ゼロという世界目標の達成からさらに遠ざかることになります。
このような統計はすでに懸念すべき状況を示しています。食料安全保障の状況が悪化する中、意思決定を改善するためのタイムリーで正確な洞察がこれまで以上に緊急に求められています。ブログは、データシステムに投資し、技術革新を活用して、断片化されたデータ環境を統合的で実用的な環境に変換する必要を訴えました。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)