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1070. 報告書「2024年世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」
1070. 報告書「2024年世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」
7月24日、国連機関(FAO, IFAD, UNICEF, WFP, WHO)による「世界の食料安全保障と栄養の現状(The State of Food Security and Nutrition in the World Report: SOFI)」の2024年版が公表されました。今年の副題は「飢餓、食料不安、あらゆる形の栄養不良をなくすための資金調達("Financing to End Hunger, Food Insecurity and Malnutrition in All its Forms.")」です。
世界で低栄養問題に直面する人々の割合は、COVID-19パンデミックを機に急増したあとも、3年連続して高止まりしています。2023年、世界で11人に一人に相当する7.13億人~7.57億人の人々、アフリカでは5人に一人が飢餓に直面していた可能性があると推計されました。
飢餓人口はアフリカでは増加し、アジアではほぼ一定であった一方、ラテンアメリカとカリブ地域では進展が見られました。
栄養価の高い食品への経済的アクセスに焦点を当てて更新された推定によると、2022年には世界の3分の1以上(約28億人)が健康的な食事をとる余裕がなかったことが示されています。不平等は明らかで、人口に占める健康的な食事をする余裕がない割合が最も大きいのが低所得国で(71.5%)、低中所得国(52.6%)、高中所得国(21.5%)、高所得国(6.3%)と続きます。
食料安全保障の改善の欠如と、健康的な食事への経済的アクセスの不均一な進歩は、2030年の期限から6年後に世界で飢餓をゼロにする可能性に影を落としています。10年後には5億8,200万人が慢性的な栄養不良に陥り、その半数以上がアフリカに住んでいると予測されています。
SDG2飢餓撲滅の実現には、より費用対効果の高い資金調達を増やす必要があります。飢餓と栄養不良が深刻な国々で食料安全保障と栄養のための資金を拡大するためには、革新的で包摂的かつ公平な解決策が必要です。
参考文献
FAO, IFAD, UNICEF, WFP and WHO. 2024. The State of Food Security and Nutrition in the World 2024 – Financing to end hunger, food insecurity and malnutrition in all its forms. Rome.
https://doi.org/10.4060/cd1254en
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)