Pick Up

310. 6月は「環境月間」

関連プログラム
情報

 

6月5日は世界環境デーです。1972年ストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念し、日本の提案を受けて国連が定めました。また、本日6月8日は世界海洋デーで、1992年6月8日にカナダがブラジルリオデジャネイロの地球サミットで提案したもので、2009年に国際デーと承認されました。我が国では6月を「環境月間」とし、環境保全の重要性を認識し、意識を高めるためのイベントが行われています。

2021年のテーマは「生態系の回復」です。また、2021年から2030年を「国連生態系回復の10年」と定められており、今年がその最初の年です。人類は、地球が持続的に再生産できるエコシステム・サービスの1.6倍の消費を行っており、環境劣化は既に、世界人口の40%に相当する推計32憶人の人々の生活に影響を与えているとされます。毎年、人類は世界経済生産高の10%相当のエコシステム・サービスを失っているとされ、このトレンドを反転させることが極めて重要です。

海洋はまた、毎年大気中に排出される人為的な二酸化炭素の23%相当を吸収しているとされ、気候変動のインパクト緩和に一役買ってきました。しかし二酸化炭素は海水と反応し、海洋酸性化状況をもたらすことで、水産・養殖を脅威にさらし、フードセキュリティに影響を及ぼしています。海洋酸性化と熱波はまた、海洋エコシステムに欠かせない珊瑚礁に負のインパクトを与えています。

生態系の現状について、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)が「生物多様性と生態系サービスに関する地球規模アセスメント報告書(2019)」に公表した概要を再掲します。 

・800万の動植物種のうち、100万種が今から数十年内に絶滅しかねないという、人類史上いまだかつてない状況に直面しています。

・主な陸上生息環境の生物種の豊富さは、1900年以来、平均で少なくとも20%減少しました。両生類の40%以上、珊瑚礁を形成する珊瑚の約33%、海洋哺乳類の3分の1以上、昆虫については暫定的な推定で約10%が絶滅の危機にさらされています。16世紀以降少なくとも680種の脊椎動物が絶滅に追いやられ、食料生産や農業に用いられる家畜品種については、2016年までに9%が絶滅したほか、少なくとも1000品種が現在絶滅の危機にあります。

・生物多様性の減少は人間活動に起因するものであり、影響の大きいものから順に、(1)土地及び海洋の利用の変化、(2)生物有機体の直接利用、(3)気候変動、(4)汚染、(5)侵略的外来種が要因と考えられます。

・生物多様性の悪化は、貧困、飢餓、健康、水、都市、気候、海洋、森林等に関連する44のSDGs目標のうち35(80%)の進捗を遅らせる要因となっています。

・地球上で最大の生物多様性を誇る熱帯地域での生態系システムの喪失が問題になっています。例えば、1980年から2000年の間、主にラテンアメリカにおける牧牛場(4200万ヘクタール)と東南アジアにおけるプランテーション(750万ヘクタール、内パームオイルが80%)の拡大を原因として、合計1億ヘクタールの熱帯雨林が失われました。

・持続可能性のためには、農業、森林、海洋、淡水、都市、エネルギー、金融等のセクターを横断する取組を進めるとともに、食料生産とエネルギーのトレードオフ、インフラ、淡水と海洋のマネージメント、生物多様性保全等を総合的に考慮する必要があります。

参考
World Environment Day:
https://www.worldenvironmentday.global/
Global Assessment Report on Biodiversity and Ecosystem Services:
https://www.ipbes.net/news/Media-Release-Global-Assessment

(文責:情報プログラム 飯山みゆき、情報広報室 金森紀仁)
 

関連するページ