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308. 熱帯・亜熱帯地域のトマト栽培に遮熱フィルムを利用

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トマトは南米アンデス地方が起源といわれていますが、今では世界中で食べられている重要な野菜であり、近年、東南アジアなどの熱帯・亜熱帯地域でも需要が高まっています。2008年には東南アジア、南アジアのトマト生産量はそれぞれ100万トン、1500万トンでしたが、2018年にはそれぞれ1500万トン、2600万トンにまで増加しました(FAOSTAT, 2018)。一般的にトマトの栽培適温は15-25℃といわれており、熱帯地域など高温な環境で栽培すると収穫量や果実の品質が低下することが知られています。そのため、ハウスなどの施設を利用し、トマトが成長しやすい環境を整える環境制御技術は、安定したトマト生産のために非常に重要です。また、猛暑などの異常気象が頻発している日本にとっても、高温環境下でのトマト栽培は重要な課題となってきています。

ハウスを利用した施設栽培で行われる高温対策としては、換気や遮光、ヒートポンプによる冷房、気化熱を利用した細霧冷房など様々な研究が行われてきましたが、最近はハウスを被覆している素材についても研究が進められています。亜熱帯地域である沖縄県石垣島で行われた研究によると、一般的なハウス被覆素材である農PO(農業用ポリオレフィン)を使用したハウスと、農POと比較して植物が光合成に使う光の波長域(400~700nm)を22%、近赤外線域(700~1050nm)を59%、紫外線域(250~400nm)を66%遮光する特殊な遮熱フィルムを使用したハウスとで夏期のトマト栽培を比較したところ、遮熱フィルムのハウスではPOハウスと比べて日最高気温が最大3.6℃、日平均気温が0.4℃低下しました。その結果、夏期のトマト栽培では収穫量は遮熱フィルムハウスで農POハウスよりも増加し、果実の品質も改善しました。このことから遮熱フィルムの利用は石垣島や石垣島よりもさらに南方の熱帯地域での栽培環境を改善する可能性が示されました。

参考文献:
Nakayama M. et al., 2021. The effect of greenhouse cultivation under a heat insulation film covering on tomato growth, yield, and fruit quality in a subtropical area. Hort. J. https://doi.org/10.2503/hortj.UTD-249
(文責:熱帯・島嶼研究拠点 中山正和)