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303. 5年以内に一時的に1.5℃気温上昇に達する可能性

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2021年5月27日、世界気象機関(WMO)は、イギリス気象庁(UK Met Office)などの協力機関と行った予測(the Global Annual to Decadal Climate Update)に基づき、次の5年以内に一時的に年間平均気温が産業化以前よりも1.5℃以上に達してしまう可能性があると発表しました。 2021-2025年の間に、2016年の最高値を上回る最高気温を記録する年がある可能性が90%であるほか、1981-2010年平均と比べ高緯度地域やサヘルはより湿潤となり大西洋では熱帯サイクロンの頻度が増加する可能性を指摘しました。

パリ協定は今世紀における世界気温上昇を産業化以前とくらべて2℃以内、できれば1.5℃以内に抑えることを目指しています。気温上昇は一時的な出来事よりも、長期的なトレンドではかるものです。今回の予測では、次の5年間を通じた年間平均気温が産業化以前よりも1.5℃に達する可能性は少なそうですが(10%)、一時的にもパリ協定の気温上昇抑制ターゲット下限に達する可能性を示しています。


気温上昇は、氷の溶解、海面上昇、熱波などの異常気象の頻度増加をもたらし、食料安全保障、健康、環境と持続的開発に影響を及ぼします。WMOは、本予測を受けて、温室効果ガス排出削減とカーボンニュートラル達成努力を加速すると同時に、保健・水・農業・再生エネルギー分野での気候変動適応策や早期警告サービスの強化の重要性を強調しました。

パリ協定の1.5℃目標達成に向けた各国の温室効果ガス排出削減のコミットメントは十分足りていないとされています。2021年11月はCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)が予定されており、気候変動がコントロール不可となるのを回避できるかどうかの運命の分かれ道(make or break chance)とされています。

今年予定されている主要国首脳会議でも気候変動は大きなアジェンダになっています。フードシステムの直面する問題をプラネタリー・ヘルスの視点から取り上げる国連フードシステムサミットでも、農林水産業分野における気候変動対策の重要性が議論される予定です。

参考文献
World Metrological Organization New climate predictions increase likelihood of temporarily reaching 1.5 °C in next 5 years. 27 May 2021. Press Release Number: 27052021 https://public.wmo.int/en/media/press-release/new-climate-predictions-i…

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)