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904. 世界平均気温が産業革命以前比で一時的に2.0℃超え

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904. 世界平均気温が産業革命以前比で一時的に2.0℃超え

 

11月20日、欧州連合の地球観測プログラム コペルニクスの研究者が、11月17日の世界平均気温が1991-2020年比で1.17℃高く、1850-1900年比で初めて2℃(2.06℃)を超えた可能性があると発表しました。
 

気候変動問題に関する国際的な枠組みであるパリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命以前比で2℃より十分低く抑え、1.5℃以下に抑える努力をすることが目標とされています。このとき問題になる気温は1850-1900年比での30年間世界平均気温上昇であり、今回のように一時的にパリ協定の限界を超えたことがすぐに問題になる訳ではありませんが、よくない傾向であることは確かです。

おりしも、11月20日には、国連環境計画(UNEP)が、「記録更新 ― 史上最高気温、だが世界は排出削減に苦心している(再び)」と題した2023年排出ギャップ報告書(the Emissions Gap Report 2023: Broken Record – Temperatures hit new highs, yet world fails to cut emissions (again))を発表しました。

報告書は、2015年のパリ協定合意以降の進展により、2030年の温室効果ガス排出増加は2015年比で16%と予測されていたところ、3%増に抑えられる見込みとしつつも、2030年の温室効果ガス排出を2℃ゴール達成には28%削減、1.5℃ゴールの達成には42%削減する必要性があるとしました。

報告書は、パリ協定で合意された無条件の「国が決定する貢献(NDC)」を完全に実施したとしても、産業革命前に比べて2.9℃の温暖化が起こりうると警鐘を鳴らしています。条件付きNDCsの実施は2.5℃に抑止が可能と見なされています。

 

世界平均で既に基準期間に対して1.2℃近く温暖化している中、科学者は温暖化抑制のための各国の努力強化、とりわけ排出削減の余力のある国々に野心的な削減策を求め、途上国の脱炭素化経済成長を支援するようを訴えています。

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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