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1265. 気候変動:今後5年間で世界平均気温が1.5℃の上限を超える可能性

1265. 気候変動:今後5年間で世界平均気温が1.5℃の上限を超える可能性
2024年は記録上最も暑い年でしたが、猛暑はまだ収束には程遠い状況です。世界気象機関(WMO)は、世界の気温は今後も上昇し続ける可能性が高く、現在から2029年までの少なくとも1年間は、さらに気温が高くなる確率が80%であると警告しています。
WMOは、2024年の世界平均気温が産業革命以前の水準(1850~1900年)より1.34~1.41℃高くなると推定、2015年から2034年までの20年間の平均気温上昇は産業革命以前の水準より約1.44℃上昇すると予測しています。
WMOによると、今後5年間のうち少なくとも1年間は、世界の平均気温が産業革命以前の水準より1.5℃を超える確率は86%と、驚異的な数字となっています。また、そのうち1年間で気温上昇が2℃を超える確率は1%です。
WMOは、パリ協定の1.5℃目標は20年間の長期平均を指しており、その閾値はまだ破られていないことを強調しました。しかしながら、これらの短期的な気温上昇の急上昇は、加速する気候危機の兆候です。予測では、アフリカのサヘル地域、北欧、南アジアで例年より多雨となるなど、地域的な降水量への影響も強調されています。一方、アマゾン地域では干ばつが続く可能性があります。
北極圏の状況は、世界の他の地域よりもさらに壊滅的です。今後5年間の冬(11月から3月)の北極圏の平均気温は、1991年から2020年の平均気温より2.4℃高くなると予想されており、これは世界平均気温の上昇幅の3.5倍以上です。海氷は、特にバレンツ海、ベーリング海、オホーツク海で縮小し続けると予想されており、海面上昇と世界的な気象パターンの乱れに寄与しています。
世界が重要な局面を迎える中、今後数十年間でさらに危険な温暖化を防ぎ、長期的な気温上昇を1.5℃以下に抑えるための気候変動対策が強く求められます。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)