315. より健康で包摂的で強靭なフードシステムのための生物学的栄養強化作物・食品の規模拡大

生物学的栄養強化（biofortification、バイオフォーティフィケーション）は、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素不足の解決策の一つであり、食品に後付けで栄養強化をするのではなく作物自体の栄養価を高めることで微量栄養素の摂取を促す取り組みです。この欄でもこれまでに何度か取り上げてきました（pick up 34. , pick up 127.）。

16 年前に最初の品種が農家にリリースされて以来、生物学的栄養強化は低所得国および中所得国で多くの注目を集めてきました。これらの摂取を支えているのは、栄養と健康上の利点に関する確固たる科学的エビデンスです。 

生物学的栄養強化は、農家のニーズと条件に合わせて調整された上で行われます。農家による追加の投資を必要とせず、収穫後に栄養価の高い収穫を提供する、実証済みで実用的で費用対効果の高い技術です。米、小麦、豆、トウモロコシなど、その地域で主に消費される主食を通じてその地域で不足しがちな必須微量栄養素を提供することで、生物学的栄養強化の主な対象となる女性や幼児を含む家族全員が栄養上のメリットを享受できます。 

生物学的栄養強化を進めてきたHarvestPlus から発行された最新のポリシー ブリーフ「より健康で包摂的で強靭なフードシステムのための生物学的栄養強化作物・食品の規模拡大」では、生物学的栄養強化作物・食品の利点と影響をまとめ、政府、企業、国際機関によるスケールアップへの行動を促しています。また、今こそが急速に拡大を図る時機として、今年9月の国連食料システムサミットと12月の東京栄養サミットで関係者が行うべきコミットメントを提言しています。 

参考文献

HarvestPlus. Policy Brief Urges Commitments at Food Systems and Nutrition Summits to Scale Up Biofortification
https://www.harvestplus.org/knowledge-market/in-the-news/policy-brief-u… Accessed on June 9.

HarvestPlus. Scaling Up Biofortified Crops and Foods for Healthier, Inclusive, and Resilient Food Systems https://www.harvestplus.org/sites/default/files/Biofortificiation%20and… Accessed on June 9.

（文責：情報広報室　白鳥佐紀子）