情報・戦略
気候変動、感染症、地政学的リスク、物流や需給の変動などにより、世界の食料安全保障をめぐる国際環境は一層不確実性を増しています。開発途上地域では、脆弱な食料システムや制度基盤の下で、こうしたリスクが生計や栄養安全保障に直結しており、科学的エビデンスに基づく政策形成と国際協調の重要性が高まっています。研究開発成果を現場や政策に結び付けるためには、外部環境や国際ルール、政策動向を的確に把握し、戦略的に活用していくインテリジェンス機能の強化が不可欠です。
情報・戦略プログラムは、「国際情報の収集・分析及び戦略立案とインテリジェンス機能の強化」を軸に、国際的な情報収集・分析に加え、熱帯作物を対象とした遺伝資源情報基盤のハブ機能強化、食品産業ニーズや制度動向を踏まえた社会実装の加速、気候変動適応・緩和技術や環境調和型技術の現地実証などを一体的に推進します。対象国の研究機関や国内外の企業と連携し、品種と生産技術を組み合わせた実証研究や実装戦略の策定を進めることで、研究成果を政策・現場・ビジネスへ橋渡しします。さらに、「グリーンアジア+」を通じて、ASEAN各国を含むグローバルサウスで日本発の農林水産業基盤技術の普及を加速させ、地域実装と国際的プレゼンスの向上を目指します。
また、国際連携ネットワークとデジタル技術・AIを活用し、ウェブサイトやSNS、イベント等を組み合わせた広報活動を展開します。研究成果の社会的インパクトを可視化し、その結果を研究戦略やコンテンツ企画に反映させることで、「研究・実証・発信」をつなぐインテリジェンス機能の高度化を図ります。
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1571. 世界のイネ研究を支えるIRRI―日本とともに考える、気候変動下のコメ生産―
日本の食卓に欠かせないコメも、気候変動の影響と無縁ではありません。高温、水不足、病害虫、環境負荷や温室効果ガス排出の低減など、世界の稲作は複数の課題に同時に向き合う必要があります。こうした課題に国際的に取り組んできた研究機関の一つが、フィリピンに本部を置く国際稲研究所(IRRI)です。日本とIRRIは、60年以上にわたり、イネ研究と研究者交流を通じて協力を重ねてきました。
2026年10月には、IRRI、国際農研および農研機構が共同で、「耐暑性イネ生産システムに関する国際戦略フォーラム及びテクニカルワークショップ」を東京都内で開催します。本記事では、IRRIの役割と日本との協力の歩みを紹介するとともに、気候変動下のコメ生産に向けて、今後どのような研究連携が重要になるかを考えます。
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1570. 暑さからコメを守るには―高温不稔を理解し、耐暑性イネ生産システムをつくる―
近年、日本の年平均気温は長期的に上昇しており、気象庁によると、1990年代以降は高温となる年が頻出しています。気候変動に伴う気温上昇や熱波は、イネの収量や品質にどのような影響を及ぼすのでしょうか。本記事では、高温不稔が起こる仕組みと、耐暑性品種、栽培技術、気候影響評価や将来予測を組み合わせた取組の重要性を紹介します。10月13日・14日には、国際稲研究所(IRRI)、国際農研及び農研機構が共同で開催する国際フォーラム及びテクニカルワークショップにおいて、耐暑性イネ生産システムの構築に向けた研究課題と国際連携の方向性を議論します。 -
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1569. 2026年8月、観測史上最も暑い月に並ぶ―世界平均気温は産業革命前比1.65℃上昇
欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービス(C3S)によると、2026年8月の世界平均地表気温は産業革命前の1850~1900年平均を1.65℃上回り、2023年7月と並んで、観測史上最も暑い月となりました。北緯60度~南緯60度の海域の平均海面水温も、8月として過去最高を記録し、赤道太平洋ではエルニーニョ条件が強まりつつあります。西欧では観測史上最も暑い夏となり、熱波が続きました。また、西欧のほか中・東欧の広い地域では乾燥がみられ、深刻な干ばつ、山火事の発生・拡大、河川流量の低下が報告されました。 -
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1568. 東南アジア連絡拠点だより:タイの珍しい黒い卵「チャイヤー塩漬け卵」
過去の東南アジア連絡拠点だよりでは、タイの地理的表示(GI:Geographical Indication)登録産品の一例として、ドリアンを紹介しました。今回は、タイ南部の特産品である「黒い卵」、チャイヤー塩漬け卵を取り上げます。地域の自然環境、アヒルの飼養、塩分の浸透を利用した加工技術、そしてGI制度が、食品の品質と地域ブランドの形成にどのように結び付いているのかを紹介します。 -
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1567. 1.5℃超過を見据え、上昇幅と超過期間を最小化する:UNEP報告書「Limiting Overshoot」
2026年9月2日、国連環境計画(UNEP)は報告書「Limiting Overshoot: Navigating exceedance of 1.5°C and pathways towards return」を公表しました。本報告書は、世界平均気温の上昇が今後数年以内に産業革命前と比べて1.5℃を超過する可能性が高いとの認識を示した上で、その影響を最小限に抑え、可能な限り早く世界平均気温上昇を1.5℃未満へ戻すために必要な対応を整理したものです。