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429. 多様化を通じたフードシステムの強靭性

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429. 多様化を通じたフードシステムの強靭性

多様性(diversity)は時代のキーワードです。フードシステムにおいても、圃場・農家世帯・市場レベルで生産を多様化(diversification)することは、気候変動・極端現象・市場寸断などのショックに対するフードシステムの強靭性を向上する可能性を秘めています。

Nature Food誌にて、多様化を通じたフードシステムの強靭性についての論説が公表されました。概要を紹介します。

作物・作付方法の多様化による生産の多様化(diversification of production)については、気候変動や苛烈さを増す極端現象への強靭性を構築するだけでなく、生物多様性に恵まれたエコシステムを維持することで作物収量にプラスの影響をもたらしうるというエビデンスも報告されています。ただ、生産の多様化がフードシステム強靭性にどの程度貢献するかは、地域の自然環境(とりわけ土壌、気候、地理的要因)だけでなく、既存の農業システムを規定する社会経済・文化的条件にも依存しています。作物多様化による生態学的な便益もありますが、多様性維持の経済的費用が上回るというトレードオフにも配慮する必要があります。生態学的・経済的・社会的に適正な多様で持続的な生産・農業システムと農業世帯を支援するための政策が求められます。

生産リスクは農家に多様化を促す一方、市場への統合が進むことで世帯所得を増加させるために特化が進む場合もあります。生産多様化と、食生活や市場の多様化といったその他のフードシステムとの関係は必ずしも一元的ではありません。強靭性を評価するフードシステムモデルフレームワークは、まだ改善の余地があるものの、食料、生態系、社会との間の複雑な関係性の理解を深め、フードシステムの強靭化向上のための多様化に伴うトレードオフの分析上、役立ちます。

 

12月6日にオンライン開催されるシンポジウムでは、人類・地球にとって持続的なフードシステム構築にとり不可欠である野菜・果物について議論します。ぜひ、ご視聴ください。

シンポジウム:野菜・果物―地球と人間の健康のための研究と行動の機会
プログラム:https://www.jircas.go.jp/ja/symposium/2021/e20211206 
開催日:2021年12月6日(月)
場所:オンライン(要・事前登録)
受付期間:2021年11月15日(月) 09:00 - 2021年12月6日(月) 15:00
申込受付:https://www.jircas.go.jp/ja/symposium/2021/e20211206/entry
申込締切:2021年12月6日(月) 15:00

問い合わせ先:国際農研 情報広報室
Email: event-jircas@ml.affrc.go.jp
URL: https://www.jircas.go.jp/ja/form/inquiry

参考文献
Hertel, T., Elouafi, I., Tanticharoen, M. et al. Diversification for enhanced food systems resilience. Nat Food 2, 832–834 (2021). https://doi.org/10.1038/s43016-021-00403-9

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)