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525. 気候変動に強靭なフードシステム構築における農業多様性の重要性

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525. 気候変動に強靭なフードシステム構築における農業多様性の重要性

昨今、気候変動のもとで、我々のフードシステム ―農業・林業・水産養殖業を含む― は、気温上昇・森林火災・干ばつや洪水などの異常気象や、気温・雨量変化による新たな病害にさらされる頻度が高くなっています。

The Guardian誌は食料システムに関する特集記事を組んでおり、 中でも4月14日の記事は、遺伝資源の多様性が気候変動適応のカギとなると論じています。
 

過去100年間、人類は大量生産体制のもと、多様性を犠牲にし、高収量かつ世界的な流通システムでの取引に適したごく少数の品種への依存を高めてきました。人類はこれまで少なくとも6000種類の作物品種を栽培してきたと考えらえていますが、今日は9種の作物にカロリー摂取の殆どを依存し、コメ・小麦・トウモロコシだけで50%、イモ、オオムギ、大豆、砂糖、パーム油合わせて25%、を占めると推計されています。記事は、作物の種類だけでなく、バナナ、アボカド、コーヒー、を例に挙げ、それら作物の遺伝資源の多様性も急速に失われているとしています。

IPCC報告書の最も楽観的なシナリオのもとでも、地球温暖化は、今日の大部分のカロリー供給を担う作物の生育に適していた環境を改変してしまう懸念があります。気候危機に対する何のアクションも講じなければ、気温・雨量の変化は作物に対する新たな病原体の発生頻度を高め、破滅的な不作が予測されています。

他方、作物の中には、高温や少雨に適応できない種もある一方、環境変化は別の種にとっては好条件を提供することもあります。遺伝資源の多様性は人類に何を植え、何を食すかについて選択肢を広げてくれます。

各地域の食文化の多様性に貢献し、気候変動・気温や降雨パターン変化に伴う病害に対する強靭なフードシステムのためには、多様な遺伝資源の重要性を再認識し、保全と活用に関する研究への投資がこれまで以上に重要になっていきます。

(参考文献)
The Guardian. Our food system isn't ready for the climate crisis - The world's farms produce only a handful of varieties of bananas, avocados, coffee and other foods – leaving them more vulnerable to the climate breakdown by Nina Lakhani, Alvin Chang, Rita Liu, and Andrew Witherspoon. April 14, 2022. https://www.theguardian.com/food/ng-interactive/2022/apr/14/climate-cri…  

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)