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1130. 農業と食料システムにおいて生物多様性が重要な理由

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1130. 農業と食料システムにおいて生物多様性が重要な理由

 

2024年10月21日から本日11月1日まで、コロンビアのカリにおいて、国連生物多様性条約(CBD)第16回締約国会議(COP16)が開催されてきましたが、生物多様性、とりわけ作物遺伝資源の多様性は、気候変動や環境危機が加速する時代の食料安全保障の維持において極めて重要です。

10月にScience誌に公表された論文は、農業とフードシステムにおいて生物多様性が重要な理由について論じています。

 

私たちの食を支える作物遺伝資源の多様性が消える世界を想像してみてください。これはディストピアの未来ではありません。私たちの生態系と食料システムの生命線である生物多様性は、危機的状況にあります。気候変動、生息地の破壊、そして容赦ない農地の拡大に駆り立てられ、私たちは前例のないスピードで遺伝的多様性の喪失に直面しています。この喪失は、科学的または環境的な懸念にとどまらず、世界の食料安全保障、ひいては人間の生存に対する脅威です。

生物多様性の喪失・環境悪化・栄養不良という絡み合った危機は、喫緊の対応を必要としています。生物多様性は、変化する状況に適応可能なレジリエントな食料システムの支柱です。私たちの未来を確保するためには、生物多様性を保全する農業にシフトする必要があります。農業の生物多様性の喪失を逆転させるには、保全・持続可能な農業慣行・科学的イノベーションを組み合わせた多面的なアプローチが必要であり、私たちの食料システムを支える遺伝資源の保全がその中心となるべきです。

 


今年のJIRCAS国際シンポジウムは、11月22日(金)、「地球沸騰化時代におけるレジリエント遺伝資源の機会と課題」をテーマに取り上げます。近日中に特設ページを公開する予定です。

 


(参考文献)
Ismahane Elouafi, Why biodiversity matters in agriculture and food systems
Science, 10 Oct 2024, Vol 386, Issue 6718
https://www.science.org/doi/10.1126/science.ads8197


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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