現地の動き - Pick Up

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    77. ワールド・アグロフォレストリー:クライメート・スマート・アグリカルチャー優良事例集講評

    国際農業研究機関CGIARの一つであるワールド・アグロフォレストリー(World Agroforestry: ICRAF)は、HPにて、国際農研も編纂にかかわったクライメート・スマート・アグリカルチャー優良事例集に関し、復元生態学学会議長をつとめるJim Hallett氏からの講評を掲載しました。ワールド・アグロフォレストリー、国際農研、WeForest、メケレ大学、オレゴン州立大学の共編による本書は、とりわけ土壌劣化と砂漠化に直面する地域において、生態系サービスと生業を維持する持続的土地利用の技術・アプローチの重要性を論じています。

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    76. Science of The Total Environment論文:COVID-19:の気候変動非常事態への教訓

    2020年6月、Science of The Total Environment誌は、「新型コロナウイルス感染症:気候変動非常事態への教訓 (COVID-19: Lessons for the climate change emergency)」をオンライン公表しました。論文は、COVID-19危機と迫りくる世界気候非常事態の類似性と差異を比較し、現在のパンデミック危機から世界気候危機を乗り切る心構えについての教訓を引き出そうと試みています。

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    75. Nature Climate Change論文:相互に関連する異常事象についての理解と対応のための考察

    2020年6月、Nature Climate Change誌にて、「相互に関連する異常事象についての理解と対応のための考察:Understanding and managing connected extreme events」論文が発表されました。異常気候を含む異常事象(extreme events)とそれらのインパクトは、物理的な要因と社会的事情の相互作用を通じて複雑に絡み合っています。様々な人為的対応がフィードバック・ループを通じて事態をさらに深刻化させる場合もあります。相互に関連する事象の発生について異分野連携を通じた議論が必要であり、著者らは意思決定を促すためのアプローチを提案します。

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    74. 世界銀行: アフリカにおけるデジタル・テクノロジーの潜在性

    2020年6月、世界銀行はアフリカにおける生産的雇用創出のためにデジタル・テクノロジーの潜在性を開花させる条件について議論した報告書 (The Future of Work in Africa: Harnessing the Potential of Digital Technologies for All) を公表しました。世界的には新たなテクノロジーにより雇用が失われる懸念が議論されているところですが、アフリカでは技術水準の低い労働者に機会を与えることで、包括的な開発の推進力になり得ます。ただし、この機会を生かすも殺すも、政策環境整備と生産的投資が行われるかにかかっています。

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    73. FAO特集論文 COVID-19:世界医療危機から世界食料危機へ

    2020年6月、食糧農業機関(FAO)は、「COVID-19:世界医療危機から世界食料危機へ」と題する特集論文を公表しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という形で生涯において未だかつてない医療危機に世界が直面している今、この特集論文は、現在のパンデミック、すなわち「大封鎖:グレートロックダウン」の影響を国際食料市場に焦点を当てて検証し、市場の機能が正常な状態に戻る手立てについて、基礎となる有益な情報を提供しています。本Pick Upは、著者であるヨゼフ シュミットューバーFAO貿易市場部・副部長の許可を受けて、論文の全内容を紹介します。

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    72. Global Food Security論文: アフリカにおける農業機械化にまつわる俗説・現実・研究アジェンダ

    Global Food Security誌は、論文「アフリカにおける農業機械化にまつわる俗説・現実・研究アジェンダ」をオンライン公表しました。アフリカ農業システムは、世界で最も機械化が遅れており、長年機械化導入の機が熟していないとの見方が主流の中、「機械化は失業を生み出す」などの言説が広まりました。他方、近年、農業機械化が再びアフリカの開発アジェンダに挙げられるようになっています。著者らは、農業機械化に関する言説の殆どは、エビデンスが弱い「俗説(myths)」であり、持続的で包括的な農業機械化を検討する上で、エビデンスに支えられた政策を支援するための研究アジェンダの提案しています。

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    71. 土地利用変化と新規人獣共通感染症

    2020年6月、Mammal Review誌は、論文「哺乳類由来の新規人獣共通感染症:人為的土地利用変化の影響に関するシステマティック・レビュー Emerging zoonotic diseases originating in mammals: a systematic review of effects of anthropogenic land‐use change」を発表、森林破壊、都市化、農業集約化などの人為的土地利用が、哺乳類から人間への人獣共通感染症の感染に与える影響について、システマティック・レビューを行いました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、人為的な土地利用変化が原因となり、哺乳類由来の人獣共通感染症が人類に拡散するリスクを理解する喫緊の必要性を炙り出しています。

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    70. Nature Food論説: 持続的食料生産のための農業研究開発(R&D)における官民の役割

    2020年6月、Nature Food誌は、持続的食料生産のための農業研究開発(R&D) における官民の役割分担についての論説 (Public-private roles beyond crop yields) を発表しました。近年の公的部門における育種プログラムへの資金難は、2050年までに約100億人の人口を養うための農業生産性改善を目指す官民セクターによる協調を脅かしています。民間部門がマーケット・利益重視というビジネス視点から応用作物技術を重視する傾向に対し、公的部門は高い社会的リターンがありながらも利益率が低い研究に偏る傾向があります。公的機関によるR&D削減は、農業システムの持続性に影響を与えかねません。官民セクターは、フードシステムについて長期的・社会的な視点から協力して取り組まなければなりません。

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    69. 新型コロナウイルス・パンデミック - 国連貿易開発会議(UNCTAD) :国際貿易と外国直接投資の収縮

    2020年6月、国連貿易開発会議 (UNCTAD)は、2020年、国際貿易と外国直接投資が大幅に落ち込むとの見通しを示しました。6月11日にUNCTADが公表した最新データによると、商品貿易は今年の第一四半期に5%落ち込み、第二四半期には27%下落する見込みであり、2020年に20%の落ち込みが予測されています。UNCTADはまた、6月16日に外国直接投資に関する報告書を公表、2020年に40%と急激に落ち込むとの予測を示しました。国際貿易・外国直接投資の収縮により、途上国が最も打撃を受けるでしょう。

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    68. 気候変動枠組条約 (UNFCCC):京都議定書の目標達成視野、一方、より野心的な介入が必要

    2020年6月17日、国連気候変動枠組条約 (UNFCCC)は、温室効果ガス(GHG)を1990年比で18%削減することを目標とした京都議定書第二約束期間の目標が実現可能であると伝えました。ただし、この評価はドーハ改正案での排出量削減に合意した37か国のみに限定され、世界的には排出量は増加を続けており、野心的な介入が必要です。2020年は、全ての国が参加してGHG排出削減に取り組む国際枠組みであるパリ協定のもとで、各国の気候変動対策への本気度が試されるタイミングです。現状の排出傾向が続けば世界の平均気温は3℃以上上昇しかねませんが、パリ協定では、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く保ち、可能な限り1.5℃に抑える努力を追求することを明記しています。

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    67. 新型コロナウイルス・パンデミック - 国連政策提言: COVID-19の食料安全保障と栄養へのインパクト

    2020年6月9日、国連は「COVID-19の食料安全保障と栄養へのインパクトThe Impact of COVID-19 on Food Security and Nutrition 」とするポリシーブリーフ(政策提言)を発表しました。新型コロナウイルス感染症パンデミックは、それ以前から飢餓と栄養失調に苦しんでいた人々の食料栄養安全保障を脅かす保健医療・人道危機です。COVID-19対策と迫りくる世界経済不況への緩和策に関する大規模な協調なければ、フードシステムの機能は破綻し、保健・栄養危機に陥りかねません。フードシステムは、また、気候変動・地球の環境危機の要因の一つでもあり、フードシステムをより包括的・持続的で強靭なものに転換すべき時期に来ていると言えます。

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    66. 砂漠化および干ばつと闘う世界デー (Desertification and Drought Day)

    6月17日は、国連が制定した「砂漠化および干ばつと闘う世界デー (Desertification and Drought Day)」です。2050年までに約100億人の需要を満たすには、人々によるライフスタイルの変化と意識改革が必要です。土壌劣化の最大の要因の一つは、急速に増え続ける人口を養うための農地拡大です。また木炭生産のために木が伐採され、土地劣化につながります。アフリカでは、都市化によって高まる食料・燃料等への需要が農村エコシステムの喪失や土地劣化の要因となっており、持続的な管理法を模索していくしか対応策はありません。

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    65. 新型コロナウイルス・パンデミック ― IMF: COVID-19時代におけるアフリカ食料安全保障の防衛

    国際通貨基金(IMF)はブログを通じ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のもと、サブサハラアフリカの食料安全保障が危機に陥っていることについて警鐘を鳴らしました。サブサハラ・アフリカは、世界で最も気候変動の影響を受け、食料安全保障に問題を抱える地域であり、度重なる自然災害や災厄はさらに問題を悪化させています。サブサハラ・アフリカは、パンデミック対応のための財政刺激パッケージの一環として、食料安全保障のリスクを緩和する政策に優先順位を置き、経済成長/雇用創出と同時に格差解消への貢献が期待される、農業生産増強と世帯のショック対応能力強化に注力すべきです。

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    64. 国連食糧農業機関 (FAO) 2020年6月食料価格動向速報

    国連食糧農業機関(FAO) は、世界・地域・国レベルでの最新価格動向について、食料価格動向速報(Food Price Monitoring and Analysis: FPMA Bulletin Monthly Report)を公表し、とくに価格上昇が観察される国々の事情について詳細な情報を提供しています。2020年5月に関する速報によると、国際小麦価格は2020/21年収穫期における恵まれた供給見通しを受け、前月の上昇が下落に転じました。メイズ輸出価格は十分な輸出・供給見込により価格下落傾向が続き、しばらくは価格上昇の兆しは見られません。他方、コメ価格は、5か月連続での上昇を記録しました。

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    63. 新型コロナウイルス・パンデミック ― COVID-19による貧困への影響 最新推計

    2020年6月8日、世界銀行は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を織り込んだ世界貧困率の最新推計値を発表しました。2020年6月世界経済見通しの成長予測モデルに基づき、パンデミックの世界貧困水準へのインパクトについて検討した結果、COVID-19により、7100万人~1億人が絶対的貧困に陥ると予想されています。2020年4月の見通しではサブサハラ・アフリカが最大の打撃を受けるとされていました。今回の予測はとりわけインドについて悲観的であり、南アジアで貧困層の拡大が予測されています。

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    62. 食糧農業機関(FAO) 2020年 世界漁業・養殖業白書

    国連食糧農業機関は、2020年 世界漁業・養殖業白書 (The State of World Fisheries and Aquaculture: SOFIA) を公表しました。1995年「責任ある漁業のための行動規範」採択から25年が経ち、漁業・養殖資源の責任ある有効利用の重要性が広く理解され、科学に基づく運営政策実施の必要性が認識されるようになっています。世界の漁業生産は2018年に1.79億トン、売上高4010憶ドル相当に達し、うち8200万トン、2500憶ドル相当が養殖であると推計されました。人間消費用は1.56億トン、年間一人当たり消費量は20.5kg相当となります。

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    61. 2020年 世界環境デー 生物多様性

    2020年の世界環境デーのテーマは生物多様性です。生物多様性は陸上・水中の全ての生命を支える基盤を提供し、その変化や部分的欠損はシステム全体に負の影響をもたらします。毎年、人間による自然の恩恵への需要を満たすには、地球1. 6個分が必要とされます。この傾向が続く限り、食料・保健システム崩壊をはじめとした人間社会の破綻をもたらしかねません。

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    60. 気候変動状況下における国際河川流域の水資源不足と誘発要因の展望

    2020年5月にFuture Earth誌で公表された論文は、多くの国際河川流域が近い将来水資源の不足(stress)に直面すると警鐘を鳴らしました。著者ら(Munia et al.)のシナリオ分析によると、国際河川流域の中でも既にストレスにさらされている地域で水資源不足が悪化すること、対策としてローカルな需要の管理が重要な戦略となること、温暖化と人口増加が急速に進行すれば2010年比で今世紀半ばまでに水不足にさらされる人々が3.8憶人追加的に増えること、とりわけ既に水資源不足に悩まされる中東、北アフリカ、南・中央アジアが影響を受けること、を推定しました。

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    59. 2020年5月の気温・二酸化炭素濃度 ― 世界レベルで過去最高値を記録

    世界気象機関(WMO)は、2020年5月は記録上最も暖かく、1981-2010年の間の5月平均気温に比べて0.63℃高かったとするコペルニクス気候変動サービスの報告を発表しました。直近の12か月間も平均より0.7℃高く、過去最も暖かかった12か月間記録を更新しました。また、ハワイのマウナロア観測所で計測される二酸化炭素濃度は、2020年5月、月別の最高計測値を記録しました。

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    58. 新型コロナウイルス・パンデミック ― グレート・リセット

    1929年~の大恐慌はグレート・ディプレッション (Great Depression)、2008年~2010年代の世界金融危機はグレート・リセッション(Great Recession) 、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う世界経済危機はグレート・ロックダウン(Great Lockdown)と称される中、現在ここからグレート・リバーサル(Great Reversal:大逆行)、或いはよりよい社会に向けたグレート・リセット(Great Reset:仕切り直し)となるか歴史的な分岐点にあるようです。クリスタリナ・ゲオルギエヴァ国際通貨基金(IMF)常務取締役は、グレート・リセットとして歴史に刻まれる上で、持続的で(greener)、スマートで(smart)、公平(fairer)な世界のための投資の必要性を訴えました